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Monday, February 12, 2018

映画『犬猿』

【2月12日記】 映画『犬猿』を観てきた。

最初にこんなこと書いて良いのか悪いのか分からないけれど、吉田恵輔監督、今回は随分まろやかだなあ、というのが正直な感想。

いままでは見ていてこっちがバツが悪くなるような、人間の弱いところを遠慮なくぱーっと暴露するような感じだったのに、何と言うか少しだけマイルド。

いや、今までの吉田恵輔の線から外れてしまった訳ではないのだけれど、何と言うか、少しだけ良い話になっている。そのほうが一般には受けるのかもしれないけれど。

でも、良い話とは言いながら、この監督は決して“めでたしめでたし”にはしない訳で、そこは相変わらず偉い(笑) しかし、こんな映画でよくこれだけ客が入るな、と感心するぐらいの入りであったのはやっぱり窪田正孝の人気なのだろう。

2組の兄弟姉妹が出て来る。印刷会社に務める和成(窪田正孝)は真面目で堅実、地味で地道、そしてやや気弱な男である。そこに刑務所から兄の卓司(新井浩文)が帰ってくる。こいつは文字通りの極道だ。まるで反省がない。無茶苦茶な金遣い。相変わらずの恐喝と暴力。

一方、和成の会社の下請けの印刷所の社長の由利亜(江上敬子)と同じ印刷所で働く妹の真子(筧美和子)。由利亜は病気で倒れた父の後を継いで会社を切り盛りする。頭が良くて仕事もできる。ただ、容姿にはコンプレックスがある。

それに対して真子は姉と違って頭は弱いが顔もスタイルも良く、時々グラビアなどで芸能活動もしている。

この4人の関係をずっと追った映画だ。兄弟と姉妹の関係が並行して走るところが面白い。

卓司は和成の家に勝手に住み着いて銀行から勝手に預金を降ろしたりする。それだけではなく何かにつけて身勝手で押し付けがましい兄が和成は(半ば諦めているとは言え)鬱陶しくてかなわない。

一方、由利亜は和成に淡い恋心を抱いている、というか、ほとんど妄想の世界に入ってしまっているのだが、その彼が妹の真子とつきあい始めたのを知って、嫉妬に狂い、仕事の上での和成との関係も含めてハチャメチャになってくる。

吉田恵輔監督の作品は途中で作風ががらっと変わったりする(前作の『ヒメアノ~ル』がその最たるものだ)ので、ともかく油断がならない。この辺で誰かが逆上して誰かを刺し殺したりするのではないかと、ずっと緊張して見ていた。

ま、そこから先は書かないでおこう(笑) 終盤の展開は結構面白いよ。

ともかく人間の感情というのは本人でさえ理解できないほど御しきれない時があるし、人間同士の関係というものは一筋縄では行かないものだ。結局のところ、そういう意味で、これはいつもの吉田恵輔なのである。

ところで、(ちょいネタバレになるが、)映画が始まる前になんかえらく安っぽい青春恋愛映画の告知スポット(映画が安っぽいのではなく、告知スポットが安っぽい)が始まったと思ったら、そうではなくていつの間にかこの映画が始まっていたというオープニングがとても面白かった。

4人の役者にとても良い脚本でとても良い芝居をさせて、随所で笑いも取れてたし感慨も深かった。

しかし、それにしてもタイトルのつけ方はいつも通り下手だなあと思うのであった(笑)

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