映画『キングスマン:ゴールデン・サークル』
【1月8日記】 映画『キングスマン:ゴールデン・サークル』を観てきた。前作は映画館で見逃して、WOWOW で観た。こういうの好きなのである。
例えば何が好きかと言えば、今作にも登場するが、銃弾を弾く傘(笑) これ、理論的には作れるのかもしれないが、機関銃の弾丸を弾くほどの強度の合成繊維(?)だとすれば、かなり厚くて重くて持ち運びに難儀するだろうし、差したり畳んだりするのも並大抵ではないだろう。
つまりはマンガなのである。でも、マンガ的なものをカンカンになって作っているところが良い。しかも、出来上がった作品はほんとに楽しい超娯楽大作になっている。
今作でも始まったかと思ったらいきなりの車内での格闘とカーチェイス。スタントも SFX もタダモノではない。
筋の運びに少し荒っぽいところがあり、ご都合主義な展開もある。きれいに収まりきっていない設定を説明のないまま放置したようなところもある。でも、そんなもの関係ないぐらい、息をもつかせぬ面白さだ。
今回は特に舞台がアメリカになり、アメリカとイギリスの両方のカリカチュアになっているのがおかしい。
そもそもがイギリスの秘密諜報機関のメンバーということで OO7 のパロディになっている面があるところに、さらにアメリカ(しかも、バーボンとカントリー・ミュージックのケンタッキーだ)との対比を重ねたところが秀逸である。
イギリス的なものも多くジョークにされているが、今回はそのイギリス的なるものの代表として出てくるのが本人が演じているエルトン・ジョンである。エルトンは麻薬組織のリーダーに誘拐され、そこで無理やり歌わされている。それをイギリス人のエグジー(タロン・エガートン)とハリー(コリン・ファース)が、結果的に助けに行くことになる。
めちゃくちゃカッコいい中にめちゃくちゃお馬鹿なストーリーも含まれているのだが、それでも最後の三者入り乱れての格闘シーンは、もちろん合成はたくさんあるのだろうけれど、長い長い超人的な動きを完全なワンカットで撮ってあって、いやあびっくり、惚れ惚れする。
監督のマシュー・ボーンは「ストーリーが継続されている続編が好き」で、逆に毎回敵役が変わるだけみたいな同じことの繰り返しになるシリーズ化を嫌ったのだそうだ。それでいきなりキングズマンの組織が壊滅状態になって仲間がほとんど死んでしまったりする。
エグジーはどっかの王様の娘とつきあってるし、(ネタバレになるので書かないが)ハリーも随分様変わりしている。僕もこんな風にバリエーション豊かにストーリーが継続される、というより、筋が変わって行く話が好きだ。でも、その一方でやっぱりあの防弾傘は登場する(笑)
エルトン・ジョンは実は前作で出演依頼を受けて断ったのだそうだ。で、「こんなに面白い映画なら」ということで今回の出演になった。必ずしもカッコよくない役柄をめちゃくちゃ楽しんで演っているのが伝わってきた。
大変楽しい作品であった。続編があれば(多分ある)また観たい。
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