映画『咲 -Saki- 阿智賀編 episode of side-A』
【1月23日記】 映画『咲 -Saki- 阿智賀編 episode of side-A』を観てきた。思えば去年の2月10日に映画『咲』を観たのが最初だった(その時の記事はここ)。
女子高生と麻雀というミスマッチの妙に加えて、大勢登場するのに見事に描き分けられたキャラクター、そして繰り広げられる黒魔術の如き対戦!──これがもう馬鹿馬鹿しいんだけど面白くて面白くて驚いた。
映画版『咲』は主人公の宮永咲(浜辺美波)の清澄高校麻雀部が長野県予選を勝ち抜いてインターハイに出場するまでを描いていた。それがあまりに面白かったので、その前日譚であり、咲が入部した経緯を描いていたテレビ・シリーズの(特別編を含めて)5回を(しかし、もう放送は終わっていたので)Amazon で観た。
それがまた面白かったので、次のテレビ・シリーズの深夜ドラマ『咲 -Saki- 阿智賀編 episode of side-A』を見逃し配信で、こちらも特別編を含めて5本全部観た。
これは前シリーズから見れば言わば「外伝」であって、清澄高校麻雀部の原村和(浅川梨奈)の小学校時代の同級生・高鴨穏乃(桜田ひより)や新子憧(伊藤萌々香)らが進学した奈良の阿知賀女子学園麻雀部の物語となっている。
ここでは阿知賀女子学園が麻雀部を再建して県予選を勝ち抜き、インターハイ出場を決めるまでが描かれている。そして、このシリーズの最後に、咲の姉である東京の白糸台高校麻雀部の宮永照を浜辺美波が二役で演じることが明らかにされた。
さて、それに続くのが今回の映画である。阿知賀女子学園のインターハイの準決勝までが描かれている。
最初に断っておくが、僕はこういう話が大好きなのである。登場人物がそれぞれ個性的に自分の特技を活かして戦うという構成。それがサッカーであっても麻雀であっても忍術であっても構わない。ともかくそういうのが好きなのだ。
そして、『咲』の時にも書いたように、ひょっとするとこれはもう麻雀ではないかもしれない(笑)
プラマイゼロに持って行く名人とか、カンの達人とか、嶺上開花が得意技とか(以上は宮永咲)、今回の映画では不思議にドラが集まる少女とか、寒がりだから暖色系の牌が集まる少女とか、その辺りまではまあよく考えたもんだという感じである。
しかし生死の境を彷徨って以来1巡先の手が見えるようになった少女とか、山の奥深くで暮らしてきたので牌の「山」の深いところを自分のテリトリーとしてる女子高生雀士とか、「リザベーション」(長くなるので説明しないw)とか、こうなってっくるともう妖術、秘術の世界である(笑)
ツモる手の周りに風が渦巻いたり、それまでの局の最初の捨て牌がオーラスの配牌として集まったり、もう笑わずには見られない。
それは多分麻雀と言うものの性質上仕方がないだろう。麻雀では数多の野球や格闘技のマンガが描いてきたような「必殺技」を描きにくいのである。何しろ牌をツモって牌を棄てる繰り返しなのだから。
もちろん、麻雀にも「技」はある。でも、それは何故この局面でこの牌ではなくあの牌を棄てるのかという、非常に高度な、経験を積み勉強を重ねた雀士にしか解らない世界になってしまう。それをマンガや映画で描くのは却々難しい。
だからこういうオカルティックな話になってしまった(笑) だけど、良いではないか。それが面白いのだから。
前シリーズと同じく、何よりも大勢のキャラクターが見事に描き分けられているのが素晴らしい。そもそも麻雀の場面だけでは殺風景に決まっているので、そこに突風が吹き、閃光が走り、時空が歪み、幻が見えるくらいで画作りとしては丁度良い。
この映画、馬鹿馬鹿しいという人が多いと思うけど、これを楽しめる僕自身のことを僕は嬉しく思っている。ああ面白かった。
で、準決勝で終わったということは、まだどこかで決勝が描かれるわけだ。原村和と高鴨穏乃や新子憧らの、あるいは、宮永照と咲姉妹の対局が見られるかもしれない。めちゃくちゃ楽しみである。
浜辺美波の二役も見事に演じ分けられていたし。
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