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Saturday, December 23, 2017

映画『勝手にふるえてろ』

【12月23日特記】 映画『勝手にふるえてろ』を観てきた。原作は読んでいる。例によってあまり覚えていないのだが、でも、予告編を見て、「あれ? あの小説ってこんな感じだっけ?」と思った。

終わってみれば、これは驚異の脚本である。監督の大九明子が書いているのだが、なるほど、あの小説をこういう風に組み替えるか!という印象。

原作では割合重かった主人公ヨシカ(松岡茉優)のモノローグが、ここではライトでコミカルな会話劇になっている。

会話と言っても、自分の頭の中でどんどん妄想が広がる妄想女子という設定なので、これを全部知人友人に話す設定にはできない。

それでカフェの店員や、バスで隣りに座ったおばあさんや、釣りをしている見知らぬおじさんと会話する。そんな見知らぬ人と話するか?と思うかもしれないが、このからくりは後に明らかにされる。

そういう仕立てにしたことによって、話全体がずっと明るくなった。

ヨシカが中学時代からずっと片思いのイチ(北村匠海)と、職場でキモい感じの同僚で突然彼女に告ってきた二(渡辺大知)。もちろん、イチ・ニは本名ではなく、ヨシカが順位付けしてそう呼んでいるだけだ。

この2人のキャストが見事に嵌っている。特に渡辺はあの『色即ぜねれいしょん』に主演していた彼を彷彿させる。なんともかっこ悪くて情けなくて、でも、ほんとに一生懸命の青春なのだ。

そして映画では、ヨシカの募る想いと絶望は突然ミュージカル仕立てになる。これもよく考えたなあと舌を巻いた。

結構な長回しもあり、本来ならもう少し寄るところを我慢して引いた感じの画もあったりして、映像としての印象も強い。

脇役で出ている片桐はいり、趣里、前野朋哉、古舘寛治らもとても良いのだ。

しかし、これだけ仕立てが変わって、原作者はどう思っているのかが気になった。でも、パンフを読むと、綿矢りさは映画化にあたって特に何も要請せず、その結果、

「元気が出る感じが、とてもよかったです。私自身はこの小説を“元気が出る”という視点で書いてなかったですし、誰かを勇気づけるという部分が欠けていたので、こんなふうに映像化してもらってよかったなと思います」

と述べている。

大九明子監督は初めて観た『恋するマドリ』(2007年)がものすごく良かったのだが、『モンスター』や『でーれーガールズ』は僕にとっては少し物足りない映画だった。

今作は彼女の生涯の代表作になるのではないかな。原作の基本線を活かしながら、原作を書き換えた部分が全てうまく機能している感じがした。

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