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Monday, November 13, 2017

実話とドラマ

【11月13日特記】 僕は実話に基づくドラマというものにあまり心惹かれることはない。もうちょっと丁寧に言うと、実話が嫌いなのじゃなくて、実話であることを売りにしている作品に反感を覚えるのである。

そもそも実話に基づくと言っても、小説やドラマにしようとした瞬間に、すでにそれは実話ではないのである。

──なんてことを言い出すと、そもそも実話とは何か、事実とは何かという宗教論争みたいなややこしい世界に入ってしまうのであんまり深入りする気はないのだが、とは言え、今見せられているドラマが 100%の事実そのものであるはずがない、ということには誰もが納得するのではないだろうか?

確固たる実話というものがあるとすれば、それは誰も反論できない要約の形でしかないのではないだろうか?

例えば、その時の機長の判断が100人の乗客の命を救った、とか、わずかな水と食糧だけで1ヶ月間生き抜いた、とか。

それをドラマらしく肉付けしようとすると、どうしても必ずしも事実であったかどうか定かでない描写を付け加えることになる。それが歴史小説や実録ドラマであった場合、下手すると読者や観客が一番感動した台詞が実は作者の創作であったりするのである。

それが悪いと言うのではない。ただ、ひとえに実話に基づくことに価値があるように言わないでほしいな、と思う。ひょっとすると実話でない部分に価値があるのかもしれないのだから。

重要なのは完成品としての物語なのであって、事実であるかどうかなんて、僕にはどうでも良いように思えるのである。

それからもうひとつ。

下手でも何でも、自分で創作をしてみたことがある人には解ることだが、ゼロから物語を作るのは大変なことなのである。自分の経験なんてほんとに狭くて浅いものでしかないし、身の周りで仕入れてきたネタもすぐに尽きてしまう。そんなものだけを頼りにストーリーをひねりだそうとしても、そうそう面白いお話は思いつけないのである。

であれば、皆がぎょっとするような実話を仕入れてきて、それを肉付けしてドラマに仕立て上げるほうがよほど楽だと思う。と言うか、逆にそういうものに頼らずに、ゼロからストーリーを編み上げて行くクリエイティビティにこそ、僕は心から深い敬意を表したいのである。

だから、事実に基づいたドラマより、僕は事実に基づかないドラマのほうに強く惹かれてしまう。

いや、だから、事実に基づいて作品を書くなというのではない。ただ、「これは事実に基づいている」と仰々しく言われると、僕はついついしらけてしまうのである。

完全なオリジナル脚本を「これは如何なる実話にも基づいていない」と誰か宣伝してくれないだろうか。僕はついつい乗せられて観に行くと思うのだが(笑)

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