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Thursday, November 16, 2017

『伊藤くん A to E』マスコミ試写会

【11月16日特記】 映画『伊藤くん A to E』のマスコミ試写会に行ってきた。同じタイトルでやっていた深夜ドラマの続編ではない。再編集でもスピンオフでもない。基本的に同じ話なのだが、描き方が違うのである。

例えばテレビドラマのほうでは伊藤くんが一体どんな顔をしているのかをほとんど最後まで隠して引っ張って行ったが、映画のほうでは冒頭のシーンから岡田将生扮する伊藤くんが痛男ぶり全開で登場する。

同じ台詞を言っているシーンでも、テレビのときとは明らかにアングルが違う。多分台詞も微妙に違うのだと思う。使い回しのシーンも少しあるのかもしれないが、新撮が相当の割合を占めている。

かつて『東京ドールハウス』という番組で一躍名を売ったがここのところ全然書けないでいる脚本家・矢崎莉桜(木村文乃)の講演イベントで、恋愛相談に応募してきた4人のダメ女がいる。これを仮にA, B, C, D と置いている。

A は都合の良い女、B は自己防衛女、C は愛されたい女、D はヘビー級処女で、それぞれ佐々木希、志田未来、池田エライザ、夏帆が演じている(では、タイトルにある E は誰かと言えば、テレビドラマを観ていた人は知っているが、そうでない人は映画を観てのお楽しみである)。

莉桜がその彼女たちを題材にドラマの脚本を書き始めたところ、なんとその4人ともが伊藤(岡田将生)というとんでもない男と付き合っていることが分かる。

テレビのほうでは伊藤の正体を明かさないために、莉桜が自分の身の周りから「伊藤は多分こんな奴だろう」と想像する男を選んで(かつての恋人でテレビ局のディレクター田村=田中圭や、後輩で売れっ子の脚本家クズケン=中村倫也)、その役者が仮に伊藤くんを演ずるという手の込んだ演出になっていた。

そして、伊藤くんに女たちが翻弄される場面で、実際に莉桜が横に立っていて毒を吐く(つまり、これは脚本を書いている作家の心象風景なのだが)という構成になっていた。

今作では莉桜は(「崖っぷち脚本家・毒女」との触れ込みだが)それほど毒を吐かない。それは焦点が伊藤くんに映っているからだ。その結果、映画はドラマほどコミカルではなくシリアスになってくる。

この「容姿端麗、自意識過剰、無神経、童貞、28歳フリーター」の伊藤を演じる岡田将生が本当にすごい。屁理屈満載で共感ゼロ。岡田将生ってどんな役でも演じられる怪優だと改めて思った。

テレビでは描かれなかった部分が終盤かなりあるし、はっきり言ってテレビドラマ版よりこっちのほうが遥かに良い、と言うか、遥かに感慨深い。

テレビは A to D の一人ひとりに順番に焦点を当てながら、毎週毎週その対照と関連を楽しむ構成であったが、映画には2時間16分のまとまりと深みがある。話の転がし具合も巧いし、描き方も深い。観ていて痛々しい分共感も大きい。

しかし、それにしても、僕は廣木隆一監督の作品をたくさん観ているほうだと思うのだが、今までこんなにアップを多用した廣木隆一を見たことがない。今まで「引き画の人」だ(そして、その引き画に不思議な力ある)と思ってきたのにこの変貌ぶりはびっくりである。

ただ、クライマックスの、テラスでの莉桜と伊藤の対決(と言って良いと思う)は、まさに廣木監督ならではの圧倒的な長回しで、それに耐えた2人の好演もあって見事なシーンになっていた。

ドラマを全然見ていない人でも全く支障なく楽しめるので是非見てほしい。そして、テレビを見ていた人はやっぱり合せ技でもっと楽しめると思う。来年1月12日公開。

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