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Saturday, October 21, 2017

映画『ミックス。』

【10月21日特記】 映画『ミックス。』を観てきた。僕は映画を観る時は7割方監督で決めているが、今回はそうではなく単純に予告編を見て面白そうだったから。ちなみに監督は石川淳一。

で、後から気づいたのだが、脚本を書いたのは、前にも書いた「僕と相性の悪いほうの古沢」である古沢良太だ。

でも、今回は何の屈託もなく、世の中に大ヒット原作もの/続編/リメイクばかりがはびこる中、本当に見事なオリジナル作品だったと言える。これを以てこの人の脚本に対する苦手意識が拭えそうな気がする。

弱小チームが一念発起して活躍するスポーツものには、いくつかキャラクター設定の型がある。

まずは、事情があって一度辞めてしまい今は忘れられている伝説的な名選手。そして、この競技では初心者だがスポーツ選手としては能力の高い他競技からの転向者。運動を理屈で捉え科学的に実践して行く理論家タイプ。そして、そういう設定が許されるのであれば外国人。そこに訳アリの名コーチ。

ざっとそんなところである。

今回もそのうちの幾つかの設定を使っている。まず、主人公の冨田多満子(新垣結衣)が元天才卓球少女。多満子とミックスを組む萩原(瑛太)は元全日本2位のプロボクサーである。

で、この映画のミソは単なるスポーツものではなく、パンフレットによると「ロマンティック・コメディ」であるところである。

鬼コーチであった母(真木よう子)が死んで漸く卓球漬けの生活から足を洗えた多満子が、少女時代から好きだった(そして今は卓球の日本代表クラスに成長している)江島(瀬戸康史)に再会して恋に落ちる。

恋愛は順調に進んで、「ほんとに王子様が迎えに来ることってあるんだ」と思っていたら、江島とミックスを組んでいた愛莉(永野芽郁)に寝取られてしまう。

一方、萩原は目を痛めてボクシングを引退してからは何の仕事をやっても続かず、挙句の果てに妻の上司を浮気相手と勘違いして殴り、家を追い出されてしまい、今は建設現場で働いている。

そんなふたりが多満子の実家である卓球スクールでめぐり逢う。

この潰れかけた卓球スクールでコーチ役を続けており、元ヤンで今は医者の妻・吉岡弥生(広末涼子)。何が動機で卓球を始めたのか分からないが夫婦で参加している近所のミニトマト農園主の落合夫妻(遠藤憲一、田中美佐子)。そして、学校に馴染めず不登校で進級も危ういのにここには通っている高校生の優馬(佐野勇斗)。

そういう役者をそろえて、このコメディは進んで行く。

これ以外にも、小日向文世、蒼井優、吉田鋼太郎、生瀬勝久、TEAM NACS の森崎博之、トレンディエンジェルの斎藤司、池上季実子、松尾諭(最後までどこに出ていたのか分からなかったがw)、他に石川佳純ら何人かの有名卓球選手も含めて、ものすごい豪華キャストである。

ともかくよく書けた脚本なのである。登場人物それぞれの設定とエピソードが見事で、笑えるし泣ける(田中美佐子にはウルウルしてしまった)。最後の試合の終盤にもうひとひねりあるかなと思ったが、この辺りは意図的にシンプルにしたようだ。

なんで卓球スクールの外にあんなにたくさん旗があるのかと思ったら、なるほど遠景でも識別できるようにか、と変なところで感心してしまった。

あるシーンについて監督は「役者さんによっては号泣して見せる方もいると思うんです。でも、新垣さんは、その一歩手前くらいの感情表現で成立させていて、そこがすごくいいところですよね」と言っている。

脚本家は「多満子も最初はもっとガサツというか、いかにもコメディのヒロインという感じの人物にしていたんですが、新垣さんは普通の人物をやらせたほうが魅力が出ると思ったので変えていきました」と言っている。

この辺り、監督も脚本家もガッキーの本質をほんとうによく掴んでおり、それが勝因であり、そのまま映画の魅力になっている。

瑛太の自然な演技も良かった。如何にも汚らしいおっさん風に登場して、それがどんどん爽やかになっていく。多満子が江島にひどいことを言われて落ち込んでいるときに、多満子を追いかけて行って慰め、そこで一瞬笑うのがとても素敵だった。

撮影監督は佐光朗。この人はあの『ピンポン』を撮った人。どっちもすごいよね。それ以外にも『風が強く吹いている』や『ボックス』など、スポーツものを撮らせると巧い人だ。

今回卓球のボールは恐らくほとんどが CG なのだろうけれど、それだけに逆にすごいと思う。ラリーのシーンはとても面白い。

他愛のないコメディなんだけれど、よくできた上質の娯楽作品だった。ちなみに映画館は大入り満員だった。

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