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Thursday, August 03, 2017

『先生!』マスコミ試写会

【8月3日特記】 広瀬すず主演の映画『先生! …好きになってもいいですか?』のマスコミ試写会に行ってきた。青春恋愛ものの名手・三木孝浩監督の、息を呑むような圧倒的な映像表現である。

仮に全く同じ脚本、全く同じ出演者であったとしても、他の監督が撮ったら全く違う表現になったはずである。そして、ここまでの表現ができる監督は、恐らく三木孝浩以外にはいないのではないかと思う。

これまで普段あまり映画を見て来なかった人、特にこの先何本もの映画を見ることになる若い人たちに、是非この映画で確かめてもらいたい。役者をどう動かしてどう切り取ったら良いのかを、この監督が如何に完璧に心得ているかを。

カメラはどの角度から、誰を、何を、どのサイズで切り取っているのか。人物のアップになっているのか、それとももう少し引いて周りの風景や事物も一緒に画面に取り込んでいるのか。

そして、奥行きのある構図の時に、カメラは手前と奥とどちらの人物に焦点を当てて、どのタイミングでそれを切り替えているか。

カメラは止まっているのか、動いているのか。横に移動しているのか縦に動いているのか、首を振っているのか寄ったり引いたりしているのか。直線的なのか弧を描いているのか、動くスピードはどのくらいなのか。そして、それは何を捉えるために、何を見せるためにそういう動きをしているのか。

カットは頻繁に切り替えられるのか、それとも流れを切らずに役者に長い芝居をさせているのか。

いや、三木監督はそれほど長回しを使う人ではないので、見るべきところはそこではないかもしれない。むしろ光だ。どっちの方向から、どんな色と透明度の光が当たっているか──そういうところにいつも心配りをしている監督だ。

監督によって、役者にはあまり何も言わず好きに芝居をさせる人と、こと細かく演技をつける人と、そして、現場で言うよりも本番前のディスカッションに力を入れる人など、いろいろなタイプがいると聞く。

いずれにしても、出来上がった映画に映っているものが、最終的に監督が OK を出したものだ。この広瀬すずと生田斗真の表情を見てほしい。どういう演技指導をしたかということは問題ではない。出来上がった映画の中の人物が演出の結果なのである。

原作は例によってベストセラーの少女コミックだそうだ。先生と生徒の純愛ものだ。それは大昔からあるテーマである。

最初、高校2年生の島田響(広瀬すず)が世界史の伊藤先生(生田斗真)を好きになる。一目惚れではない。長い時間をかけて、自分が伊藤を好きだということに気づくのである。この設定が素晴らしいではないか。

弓道部の仲間である千草(森川葵)と浩介(竜星涼)もそれぞれ数学の関矢先生(中村倫也)と美術の中島先生(比嘉愛未)に恋をしている。そして先生方の中にもどうやら微妙な三角関係がありそうだ。近隣の高校の弓道部の藤岡(健太郎)も絡んでくる。

典型的な青春恋愛ものである。そして、こういう映画を撮らせたら三木孝浩の右に出るものはいないと言って良い。何というか、どこを押さえれば良いのか、それは台詞のタイミングであったり、カメラの角度であったり、いろんなことがあるわけだが、それぞれのそのツボを完璧に掴んでいるのである。

山田康介のカメラワークが絶妙であったこともあるし岡田麿里の脚本が素晴らしかったこともあるが、その人物と言葉に息吹を与えた広瀬すずの瑞々しさが半端ない。多分この作品は彼女のキャリアの中でも光り輝くものになると思う。

そして、興行的にはヒットを連発しているのに、今まであまり高い評価を得られなかった三木孝浩監督に、今年こそは大きな賞を贈っても良いのではないだろうか。

「そんな甘っちょろい恋愛ものなんて…」と敬遠する人もいるかもしれない。そういう人こそ台詞の作りやカメラの捉え方など、客観的な部分をじっくりと観察してもらいたい。三木孝浩のすごさに気がついてもらえるのではないかと思う。

10/28公開予定。

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