電子書籍とストリーミング
【8月30日特記】 久しぶりに紙の本を読んでいる。いや、「やっぱり紙の本は良い」などという話ではない。むしろ電子書籍しか読めなくなってきた。
紙の本は重いし嵩張る。持ち重りのする、手触り感のある紙の本のほうが好きだという人もいるのだろうが、僕は全然そんなことはない。
電子書籍は便利だ。唯一の難点は引用した時にページ数が書けないことかな。
そして、音楽の世界でも同じような構図がある。でも、それは紙の本と電子書籍の対比とは少し違う。
「最近は CD なんて誰も買わない」「全部ストリーミングで聴く」といった言説をよく目にする。昔に比べると僕も概ねその傾向に乗っかってはいるが、しかし、全面的にではない。
CD という形のあるものを所有したいという欲求はもうそれほど高くはない。ただ、全部クラウドにあるというのはやはり嫌なのだ。形のないデータであっても構わないから、自分の聴きたい曲はやはり自分の手許に、つまり、自分の所有する機器の中に収めておきたいのだ。
形に対するこだわりはなくなっても、所有に対するこだわりは消えない。
電子書籍の場合は、もちろんもはや形あるものに対する執着はないのだが、所有したいという思いもない。とは言え、ネット環境がないところでも読みたいので、クラウド上のものを都度読むのではなく、電子書籍リーダーに入れているに過ぎない。
そういう点で紙の本と電子書籍の関係は、CD とストリーミングの関係と同じではない。
そんなことに突然気づいた。やっぱり本は一度読んだ後は基本的に積んでおくもの(「いや、そんなことはない」と言う人もいるのだろうが)、音楽はそうではなく何度も何度も聴くものだからだろうか。
ものは最初に使う時に喜びが生ずるのかもしれない。だから、何度も取り出すたびごとに、「これは自分の曲だ」という実感がほしいのかもしれない。
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