掌中
【8月1日特記】 会社の近所に時々昼飯を食べに行く居酒屋がある。そこにこんな貼り紙がしてある。
焼酎に入れる梅やレモンなどは、どうしてもということであればご用意いたしますが、杜氏が丹精込めて作ったお酒ですので、できるだけそのままの味をお楽しみください。
等々。
僕は下戸なので基本的に酒のことはよく分からないのだが、ただ、こういうことが書いてあるお店は嫌だ。
大阪に有名な生醤油うどんのお店があり、そこには「醤油は一往復半」とか何とか書いてあって、醤油のかけ方がそれより多くても少なくても店主に咎められると言う。それと同じ嫌ぁなものを感じる。
一往復半だか二往復半だか知らんが、その「半」という辺りに如何にも値打ちをこいている感じがあって、その話を聞いただけで僕はその有名な店を訪れる気にならない。
杜氏(焼酎の場合も「杜氏」って言うのかな? 僕の記憶違いでなければ良いのだが)が一生懸命作った酒だから梅やレモンを入れるなと言うのであれば、お百姓さんが一生懸命作ったきゅうりだから何もつけずに食べろというのと変わらない。
良い銘柄の米だから必ず白米で食べろ、炊き込みご飯になんかするんじゃないぞ、と言うに等しい。
そりゃ、分からないでもない。人が腕によりをかけて作った料理に、味見もせずにいきなり醤油やマヨネーズをかけられるようなもんだ。ひでぇな、という感覚は僕にも理解できる。
しかし、そこは心の中で「ひでぇな」と思いながらも泰然としているのが名人というものではないだろうか?
もちろん、「俺はそういう客にしか料理を出さねえ」という店主のあり方もあるだろう。しかし、その場合はもっといかめしい門構えとかしつらえの店にして、客が敷居をまたぐ前に少し警戒するように持って行ってほしいな、と思ったりもする。
超高級ホテルに入っている超高級フレンチとか、日本を代表する老舗の和食の店とか、そういうところに行くのであれば、(これは僕らの弱みではあるのだがw)これは醤油かけて良いのかな、レモン頼んで大丈夫かな、と少しは身構える。
でも、僕が時々昼飯を食うあの店は、どう見てもコスト・パフォーマンスを求めて入ってくる客が多いのではないだろうか。
「ウチはそんな店じゃねえ」って意気込みがあの貼り紙なのかもしれないが、どこか商いの上で矛盾があるような気がする。
ま、いいか。いずれにしても僕は焼酎なんか頼まないからどっちでも良いのだが、飲むにせよ飲まないにせよ、焼酎の飲み方なんぞ指図されたくないと思うのだが、皆さんは如何だろう。
ひょっとしたら僕が狭量なだけかもしれないが…。
Comments
酒飲みのMです。
私の場合、焼酎にはわさびを入れます。飲みやすくなり、翌日も爽快です。ただ、出来ればチューブ入りのわさびではなく、おろしかねですったものが欲しいのですが。
初めての人には、「???」な反応をされますが、おいしく飲めればそれが一番です。いちいち注釈をつけられたくはありません。
もうすぐ、上野のMになります。
Posted by: 名古屋のM | Thursday, August 03, 2017 09:22