発見
【7月1日特記】 引っ越しを控えていろんなことを決めて行かなかければならない中、我々夫婦の間でうまく調整のつかないことがここに来て増えてきた。それは我々がものを考えるプロセスが全く違うからだ。
今ごろになってそのことがよく分かってきた。
例えば、(これは以前どこかに書いたような気がするが)物を買うときのやり方が、我々は全然違う。
僕は今目の前にある商品を買うか買わないかを判断しているだけだ。仮にカジュアルなジャケットが1着ほしいなと思って買いに行き、最初に入った店で最初に手に取った商品が気に入ったら、そこでそれを買って買い物は終了である。
他にもっと良い商品があるかもしれないなんて全く考えない。
もちろん、気に入ったら片っ端から何でも買うというわけではない。これはすごく良いけど、さすがにちょっと高いな、と思ってやめることもある。概ね気に入っていてもどこか一点が気に入らなくて買わないこともある。
しかし、いずれにしても僕は目の前の商品に○✕をつけて、買うか買わないかを決めているだけのことだ。買う商品が決定するまで、様々な商品について、あるいはあちこちの店舗で同じことを繰り返すだけのことだ。
ところが、妻はそうではない。妻は1軒目の店で買うことはない。何故なら彼女は個々の商品について採点をしており、最後に一番高得点の商品について買うかどうかを判断するからだ。
彼女がものを買う時に僕と決定的に違うのは、僕が「カジュアルなジャケット」みたいな曖昧なキーワードだけを持って買いに行くのに対して、彼女は最初から商品についてのかなり具体的なイメージがあるということだ。
色はこうで形はこうで、ここにこんなボタンがついていて、ここにスリットがあったらなお良くて、背ベルトがついているのは絶対に嫌、等々。
で、彼女は点数をつける。デザインはすごく良いけど色がちょっと暗いから82点。ボタンが大きすぎるのと形が嫌だから68点。値段が高すぎるから75点、等々。それを幾つか重ねた上で、最終的に最高得点のものを買うかどうかを決める。
別に彼女がそうやって買うことを僕は嫌っていない。必然的に買い物に時間がかかるが、それにつきあうことも別段嫌ではない。
というわけで、買い物については夫婦の間でそれほど調整がつかないことはなかったのである。
ただ、引越しを前にしていろいろ決めなければならいことが多い中で、僕らの違いはそれだけではないことに気づいた。
僕はともかく選択肢を減らすことを考える。パズルの最初のピースを嵌めることを考えるのだ。だから、もちろん最初にはいろいろ考えはするけど、その結果、よし、この部屋のここの隅にクローゼットを置こう、と固定する。
そうすることによって、その場所には本棚やテレビ台を置くことはなくなる。そして、その結果、隣の部屋にはクローゼットを置く選択肢はなくなる。選択肢が減るから次が決めやすくなる、という手筈だ。
僕は物を決めるというのは基本的に選択肢を減らして行く作業だと明確に意識している。
しかし、妻は選択肢を減らすことを不自由に感じるらしい。そのことはつい最近になって知った。
彼女は1つを決めてしまって次の選択肢が減ることを嫌がって固定しない。だから却々決まらないし、決めたかと思ったことをひっくり返すのでしょっちゅう一からやり直しになる。
それでも、あそこにクローゼットを置くと決めてしまったがために、ひょっとしたらクローゼットはこっちに置いたほうが良かったかもしれないという可能性を捨てたくないのである。
一理はある。そう、一理ぐらいはある。でも大きな理はないと僕は思う。それはまるで、他にもっと良い人がいるかもしれないと思っていつまでも結婚できないようなものではないかと、思ってしまう。
おまけに、僕は早く決めたい。10日後がタイムリミットだとしたら、もし3日目に決められたら、残りの7日は他のことに使えるフリーな時間が増えたとメリットに感じる。
いや、そもそも、早くに事が片付いて、ああ、もうやることないや、今日は何しようか、と感じるのが最大の幸せなのである。
ところが、妻はどうやら、10日間の猶予があるのに、それを3日しか使わないのはもったいないと感じるらしい。だから、考えられるありとあらゆる案を検討した結果、ギリギリの間際で決めたいと思っているようなのだ。
そういうわけで、僕らの仕事はなかなか調整がつかない。とは言え、だからと言って夫婦生活の危機に直面しているわけでも、一時的な不仲に陥っているわけでもない。
長く一緒にいるといつまでたっても新たな発見があるな、という話である。
Comments
あはは。分かります。
私は女性ですが、買い物の仕方はyama_eighさんと同じです。
なので、同性の友人となかなかペースが合いません。
友人が店員さんと話し込んでいる間に、会計が済んでしまうタイプなんです。
友人からは「男前な買い物」と評されています。
そういうのってタイプだから、変えようがないんですよね、きっと。
あとはお互いに受け入れられるかどうか、なんでしょうね。
私は自分とずいぶん違うタイプの買い物を見ているのが楽しいです(笑)。
ちなみに部屋のレイアウトなんかは、とりあえず置いて、生活してから不便が出たら変えようと思うタイプです。
何年経っても、新発見がある。
そうですね。私も最近、夫の新しい一面を知って、びっくりしました。
Posted by: リリカ | Thursday, July 06, 2017 19:59
> リリカさん
いつもコメントありがとうございます。ま、そういうことですよね。何ごとも鷹揚に構えて臨んだほうが楽しいよ、ということかなと思います。
Posted by: yama_eigh | Thursday, July 06, 2017 22:44