« Amazon インスタントストア終了 | Main | 『ポケモンGOは終わらない』西田宗千佳(書評) »

Sunday, June 25, 2017

映画『光』

【6月25日特記】 映画『光』を観てきた。

僕は河瀬直美という監督とは相性が悪い。まず観る気にならない。そして、面白くない。

いや、僕は面白くない映画が嫌いかと言えば決してそうではない。途中ちょっとしんどいなと思いながら、なんとなくやめるのは惜しく、結局最後まで見てああ良い映画だった、なんてこともよくある。

ただ、河瀬直美の場合は、途中ひたすら面白くなくて、やめるのが惜しいかと言えば全然そんなことなく、すぐに嫌になって、もういいやと思う。そういうわけで『萌の朱雀』も『殯の森』も見始めてすぐに投げ出してしまった。

もっとも、彼女の作品は家のテレビで見るには向いていないのかもしれないが。

でも、テーマと言い、テンポと言い、どうも僕の食指は動かない。風にそよぐ森の木の葉みたいなシーンはもういいから、という感じになる。

今回見たのは永瀬正敏が出ていたから。僕は『ションベン・ライダー』から永瀬のファンである。そんなこと言うなら河瀬監督の前作『あん』も永瀬ではないかと言われるかもしれないが、それは知らなかった。それだけ普段から河瀬作品を避け続けてきたということだろうと思う。

永瀬が出ているし、評判も良いので、久しぶりに見てみようかと、今回初めて映画館に足を運んだわけである。

尾崎美佐子(水崎綾女)は視覚障碍者向けの映画の音声ガイド作成者である。中森雅哉(永瀬正敏)はかつては名の通った風景写真家であったが、次第に視力を失いつつある。

美佐子が書いた音声ガイドを実際の障碍者に聞いてもらって批評をしてもらうミーティングで2人は会う。僕がそのガイド文を聞いていて、そこは主観が入りすぎてひどいなと思った2箇所を、まさに映画の中で中森が「おしつけがましい」と指摘する。

美佐子はなるほど、確かにその通りだ、と納得するのかと思ったら、ムキになって反発する。絵に描いたような未熟である。

この場面を見ていて、僕は自分が監督の意図通りに見られているのかな、と気になった。ヒロインにこんなに共感できないまま映画に入って行って良いのだろうか?と思ったのである。

だが、それはそれで良かったようだ。監督は彼女の未熟を見せようとしたのだ。だとしたらちょっと作りがあざといな、などと思ってしまうところが相性の悪さなのだろう(笑)

映画は、音声ガイド完成までに何度か開催されるこのミーティングと、劇中劇となっている映画(藤竜也が扮する北林監督の主演・演出ということになっている)、美佐子が上司に頼まれて中森の家を訪ねたことから始まる2人の交流、そして、美佐子が実家に残してきた認知症の母(白川和子)の話、などのシーンで構成される。

良いシーン、良いカットがたくさんある。中森が美佐子の顔を触るシーン、中森が道に吐いてあったゲロに足を滑らせて転ぶところからカメラを取り戻すところまで、逆光の夕陽に照らされた中森と美佐子の2ショットのシルエット、夕闇の中、見えない目で美佐子を撮影する中森、等々。

写真家という職業の男が視力を失うという残酷。すべてを自分の尺度で測ろうとする美佐子の若さと独善。それを時に厳しくたしなめる上司の智子(神野三鈴)。智子の夫で、視覚障碍者であるが、周りをどこかほっとさせる明俊(小市慢太郎)。老いの代表者としての北林監督。

キャラクターの配し方はすこぶる巧い。

静かでとても良い作品だ。終わり方もとても良い。ただ、監督の「どうだ、参ったか!」感が漂っているように思ってしまうのは、やはり相性の悪さなんだろうか(笑)

|

« Amazon インスタントストア終了 | Main | 『ポケモンGOは終わらない』西田宗千佳(書評) »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/110115/65456203

Listed below are links to weblogs that reference 映画『光』:

« Amazon インスタントストア終了 | Main | 『ポケモンGOは終わらない』西田宗千佳(書評) »