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Sunday, June 11, 2017

映画『ちょっと今から仕事やめてくる』

【6月11日特記】 映画『ちょっと今から仕事やめてくる』を観てきた。

成島出監督は『八日目の蝉』と『ソロモンの偽証』の印象が強いが、吉永小百合のプロデュース作品につきあわされたり『脳男』の脚本を書いたりと、結構幅広い。それにしても今回のこういうのはまたしても新境地ではないだろうか。

原作はメディアワークス文庫から出版されているベストセラー小説で電撃小説大賞受賞作なのだそうだ。

主人公は青山隆(工藤阿須加)。就活に失敗してなんとかかんとか入った会社は絵に描いたようなブラック企業だった。そこで隆は毎日毎日、絵に描いたような体育会系理不尽パワハラ上司(吉田鋼太郎)に怒鳴られまくっている。

身も心もぼろぼろになり、半ば死のうかという気になってフラフラ歩いていたら、線路に転落して轢かれそうになったところに謎の男(福士蒼汰)が現れて彼を助ける。彼は言う。「久しぶりやのう。俺や、ヤマモトや。小学校以来とちゃうか」と。

ヤマモトに強引に飲みに連れて行かれ、隆はヤマモトのことを今イチ思い出せないが、なんだかよくわからないうちに友だちになってしまう。

そして、ヤマモトの強引で脳天気な励ましとちょっとしたアドバイスで、隆は気分一新して仕事に臨み、トップセールスマンである五十嵐先輩(黒木華)の心遣いも受けて、漸く仕事の成果を上げ始める。

ところが、(予告編でここまで見せているので書いて良いと思うのだが)隆はある日、ヤマモトが3年前に死んでいるいう事実を発見する。

さらに、順調に進んでいた隆の仕事は、自分のミスから灰燼に帰してしまい、また連日連夜上司に怒鳴られ蹴られ土下座させられの針の筵の職場となる。

ここまでが前半である。いくらなんでもそんな企業はないだろうと言いたくなる、あまりに典型的なブラック企業と、いくら声が出るったってそりゃガナリ過ぎだろうという吉田鋼太郎の演技もあるのだが、その割にはあまり興ざめさせずにドラマは後半に繋いで行く。

ヤマモトはなんで霊界から戻ってきたのか、その謎はなかなか明かされない。ただ彼は何故かずっと隆に寄り添って彼を支えようとしている。

隆がまた死のうとしてビルの屋上の縁に立った時、そこへヤマモトがやってきて同じく縁に立つ。それをカメラは最初真上から撮っていて、ぐるんと90度回って正面からの2ショットになるシーンはとても印象的だった。

隆の汚いアパートの部屋もそうだが、真上からのカメラが結構効いていた。

さて、ばらまいた謎をどうやって回収するのかと思っていたら、終盤になって映画は随分趣が変わってくる。いや、舞台自体が都会から田園に、そして海外に飛ぶ。冒頭の星空のシーンがやっとここで繋がってくる。

大変良い話である。ただ、若干尻が長い気がする。良い話にするために無理やりまとめた、と言うか、くっつけた感がある。ヤマモトは死者である必要があったのか? あるいは、そういうことならばヤマモトは隆にもっと早くに正体を明かしても良かったのではないかとも思う。

ただ、読後感はそんなに悪くない。5ヶ月もリハーサルを重ねたというだけのことはあって、演技も繋がりもスムーズである。

僕は教訓の込められた映画は好きではない。それでも、この映画を観て自殺を思いとどまったり、会社を辞めて死ぬほどの苦悩から解放されたりする人が出てくれば良いなあと心の底から思う。

山上部長を演じた吉田鋼太郎も言っている。「全部がひどいパワハラで(中略)自分も病んできそうになりました。山上に共感する部分はほぼありません(後略)」と。

「ちょっと今から仕事やめてくる」──このタイトルは悩んでいる人たちの心を軽くする良いタイトルであると思った。

福士蒼汰の大阪弁は、大阪出身者にはもちろん若干の違和感があるが、このハイテンションな感じは良かった。監督が参考に見せたのが横山やすしのビデオだと言う。そう言われれればやっさん風の大阪弁である。これは大成功だったのではないかな(笑)

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