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Sunday, May 07, 2017

映画『追憶』

【5月7日特記】 映画『追憶』を観てきた。

「降旗康男監督、木村大作撮影」というのが売りのようなのだが、僕にとっては全く見る気が起こらない名前である。

とは言え、単に見る気にならなくて今まで一作たりとも見たことがないと言うだけのことであって、何かを見てげっそりしたというのではない。だから、良さそうだと思ったら観に行く。

今回は岡田准一、小栗旬、柄本佑、長澤まさみ、木村文乃という組合せに惹かれた。青島武、瀧本智行という、もう少し下の世代が脚本を手がけている(厳密には原案脚本)というのも観に行った理由だ。

日蝕のあった日という設定の暗い暗い画面で始まる。で、大仰な音楽が、と思ったら千住明の名前。うーむ、古風なコンビが古風なトリオになったな、という感じ。この後、いいシーンではずっと BGM 鳴りっぱなし。

子供の頃の罪の意識を抱いたまま、真実を胸の奥に閉じ込めて大人になった3人の男の話。そのうちのひとりが殺される。残った2人のうちのひとりは刑事、ひとりは容疑者。──舞台装置としてはうまくアレンジしてある。

でも、何なんだろう? 昔の人が作っているという先入観があるからかもしれないが、なんだか古ぼけた感じで乗れない映画だ。日本の四季の様々な表情が見事に織り込まれていたりはするのだが、教科書みたいな味気なさを感じてしまう。酢の効いていない酢飯のような感じ。

そして、何よりも岡田准一の演技が硬い。小栗旬と柄本佑の2人は普段通り緩急のある演技をしているのに、岡田准一だけが硬い。と言うか、初めっから終わりまでずっと苦悩を背負いっぱなしの役で、これでは岡田准一が可哀想な気もする。

本来はもっと巧い役者である。見栄を張ったり、照れたり、無邪気に喜んだりと、いろんな表情を見せることのできる役者なのにな、と思う。

パンフによると、降旗組は基本的にテスト1回、本番1回で終わりなので、撮影も早く終わってしまい、その後3人とも不安で、自然とサウナに集まって、「俺たち、ちゃんとできているのかな」と話してたとのこと。

岡田准一という役者は小栗旬などとは対象的に、とても不器用な俳優なのかもしれない、と勝手に想像した。もっと何度もテイクして追い込んで行くべきタイプなのかもしれない。

それと、観ていてこの脚本に乗り切れなかったのも確かである。小栗旬が自分の役について「その心理がつかみにくくて、難しかった」と語っているのは、まさにそれを裏返した表現なのではないかな?

僕には彼が、いや、彼らが何故あれほど頑なになるのか飲み込めない部分があった。

それと、全ての人物を良い人に、映画全体を良い話に描こうとしているような感があって、そこにもどうしようもなく抵抗感がある。そのくせ、殺人を犯した人間の苦悩については一切描かずに単純な悪として蚊帳の外にしてしまう(だからこそ、この3人は悪くないように見えるのだ)というご都合主義も気に食わない。

さっきから随分貶してしまったけど、これは全部僕の先入観のなせる業なのかもしれない、とちょっと気にしながら映画館を出てきたら、エレベータの中で同じ映画を観ていたと思しき女性が、「あくびが止まらなかった」と言っているのを聞いて、ちょっと安心してしまった。

いや、その女性は単に前の晩遅かっただけかもしれない。名監督と名カメラマンが撮った映画なのだから、きっと大半の観客は満足して帰ったのだろうと思う。

しかし、それにしても「追憶」とはカビの生えたようなタイトルである。

まあ、僕とは相性が悪かったと言っておこう。あるいは僕には見る目がないのかも。映画の勉強をしている人なら学ぶ点も多いんだろうか?

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