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Sunday, May 28, 2017

映画『美しい星』

【5月28日特記】 映画『美しい星』を観てきた。デビュー作『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』に魅せられて、以来ほとんどの作品を見てきた(そして一度も裏切られなかった)吉田大八監督の作品だが、今回は妻の趣味とも合致して、初めて一緒に見に行った。

で、今回も先に結論を書くと、僕も妻も結局のところよく解らなかった。けれど、ものすごく印象が深く、これは何の意味なんだろうと悩みながら、一方で勝手な解釈がどんどん膨らみ、ところどころ妙に納得してしまった。

そして、時間が経てば経つほど、自分の頭の中でこの映画の存在が大きくなって行く気がする。ひょっとするとこれは大傑作かもしれない。

パンフレットを読むと、出演している役者やスタッフがそれぞれいろんな解釈をしているのが解る。どれを読んでも楽しい。こうやって多様な解釈を許す映画は間違いなく良い映画である。

原作は三島由紀夫。読んでいない。が、これはどう考えてもかなり大胆に脚色しているはずだ(ちなみに脚本は吉田大八とチーフ助監督の甲斐聖太郎の共同)。そう思ってパンフを読むと、時代も人物も、エッセンスを残しながら大きく変えてある。

でも、原作が発表された際に、批判も多かった中でひとり高く評価していたという筒井康隆がこの映画を褒めているところからして、この改変は成功だったのだろう。

あらすじを書いたほうが良いのだろうか?

気象予報士の大杉重一郎(リリー・フランキー)は、運転中に意識を失い、田んぼの中で目覚めてから、自分が火星人であることを認識し、テレビの天気コーナーで太陽系惑星連邦の一員として、地球温暖化の阻止を訴え始める。

息子の一雄(亀梨和也)はフリーターだったが、プラネタリウムで巨大な水星に潰されそうになり、その後知り合って雇われることになった参議院議員秘書の黒木(佐々木蔵之介)から、自分たちは水星人だと知らされる。

娘の暁子(橋本愛)は路上でライブをやっていた竹宮(若葉竜也)の曲『金星』に感じるところがあって、彼を追って金沢に行き、そこで彼らはともに金星人であることを知る。そして、2人で海岸に立って複数の UFO を呼び寄せる。

妻の伊余子(中嶋朋子)だけは地球人のまま。テレビで変な言動を続ける夫を心配し、息子の上司である黒木になんとなく恐れを抱き、いきなり妊娠してしまった娘を心配する。しかし、そんな彼女もいつしか「美しい水」を売るネットワーク・ビジネスに嵌って…。

ここまでで多分何のことだか解らないだろう。そう、上に書いたように、僕にも妻にも何が何だか解らない。でも、なんだか途轍もなく深い。そして、ちょっぴりおかしい。そして、どこか納得してしまう。

監督は観客が解釈しきれないように描いている。

重一郎がコーナー終わりで取る決めのポーズがとんでもなくおかしい。海辺で竹宮と暁子が UFO を呼ぶ一連のポーズを、彼らを横に並べたり縦に重ねたりして切り取った画がものすごくきれい。

テレビ局での黒木と重一郎の議論に言い知れぬ含蓄がある。そして、屋上での対決の、何だかわからないけれど、とてもスリリングな映像。ラストシーンの解釈の多様性。

うーん、もう一度観たい。映画を観て、パンフを読んだら誰でももう一度観たくなるのではないだろうか。これは今までになかった吉田大八だ。すごい映画かもしれないという思いがどんどん大きくなっている。

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