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Sunday, April 23, 2017

映画『夜は短し歩けよ乙女』

【4月23日特記】 映画『夜は短し歩けよ乙女』を観てきた。

まず何が驚いたかって、観客の中に若い女性2人組が結構いること。確かにタイトルでは「乙女」に呼びかけてはいるが、これはあんたたちに向けて書かれた話ではないぞ、と思った。

こんなに女性客が来るのは、ひとえにポップでキッチュな絵柄のせいだと思うのだが、しかし、これはイケてない京大生と、彼らに多少とものシンパシーを感じるイケてない(あるいは、かつてイケてなかった)男たちのためのストーリーだ(そうだよね?)。

デビュー作の『太陽の塔』ではただウダウダ言うだけで何ごともなしえなかった森見登美彦(の書く主人公)が、この小説では明らかに一歩踏み出したぞ、という作品だった。力づけられた同類も多かったのではないかな。

そう思って周囲を見渡すと、確かに劇場にはイケてない京大生の成れの果てみたいな男性客も少なくない(笑)

ただ、僕が知らなかったことがひとつあって、それはこの映画のスタッフ、すなわち、監督の湯浅政明、脚本の上田誠(ヨーロッパ企画)、キャラクター原案の中村佑介らが、少し前に同じ森見の『四畳半神話大系』のテレビアニメ化と手がけていて、それが好評であったらしいということだ。

だから、これはアイデア一発で変換された作品ではなく、結構読み込まれ、練り込まれた企画であるということだ。

ふーん、と思う。なるほどな、と感心する。しかし、あのイナタい原作をこのようなポップなファンタジーにしてしまうってすごい、と言うか、この精神の営みを高踏な知的遊戯と言わずして何としよう。

造形だけではなく、所作を含めて人物のデフォルメの仕方が独特で面白い。一方で女の子たちの立ち姿のフォルムは、ひとりひとりに個人差をつけながら、いずれもとても美しい。

建物や風景はカメラのレンズを感じさせる、大きな円い動きをする。彩りも鮮やかで、要するに観ていて愉しい画なのである。

で、いつものことだが、原作を読んだとは言え、具体的にどんな話だったかはほとんど忘れている。

理屈ばっかり言ってるヘタレの京大生が勇気を振り絞って憧れの黒髪の乙女にアタックする話だったと記憶するが、原作はもっとその京大生のヘタレ具合と空論ぶりを面白おかしく語ることに心血を注いでいたと思うのだが、このアニメでは明らかに主人公は黒髪の乙女のほうで、ちょっと不思議ちゃんだがとても素直な彼女の魅力を存分に描いている。

女の子が可愛く描けているって、ものすごく大事なこと。

それから、もっと長い期間を描いた小説であったような気がしたのだが、パンフを読むと、原作は四季を巡る話であったのを映画化するにあたって一晩の物語に作り変えたのだそうだ。

登場人物が多く、それぞれが個性豊かで、また、それぞれにエピソードがあり、夢や劇中劇もふんだんに登場して、下手するとバラバラになりそうな物語をよくぞこんなに上手にトータル・コントロールできたなと思う。

お話としても、非常によくまとまっていた。見てて勇気が湧く作品になっているところも偉い。上田誠って良い脚本家だなと思った。もちろん基本的に画の力に負うところが非常に大きく、色使いも動きも見ていてうっとりしてしまう。

最後は進々堂の大きな木のテーブルのシーン。こんなところで自分の記憶とも繋がってきた。懐かしいなあ。まだあるんだろうか。

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