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Sunday, March 12, 2017

映画『一週間フレンズ。』

【3月12日特記】 映画『一週間フレンズ。』を観てきた。

『ラ・ラ・ランド』を先延ばしにして、とりあえず『きょうのキラ君』の飯豊まりえを見に行こうと思ったのに、ネットでチケット取る際に勘違いして第3候補だったこの映画を予約してしまった。年は取りたくないものだ(笑)

日曜日の晩に、前の週にあったことのうち友だち関係のことだけをすっかり忘れてしまい、月曜日の朝にはクラスメイトの名前も分からなくなる記憶障害──という、いくらなんでもそんな病気はないだろうという設定である。

しかも、そんな病気を抱えながら、それをひた隠しにして高校に通っている。本人だけが気づいているならともかく、両親も知っていて医師の診断も受けているのにそれはないだろう──という、あまりにドラマ作りのためのご都合主義である。

さすがにちょっと茶番だなと思って見始めたのだが、しかし、見ているうちに意外に悪くないな、と思えてきた。

記憶障害の少女は藤宮香織(川口春奈)。彼女はそんな訳でクラスメイトから孤立している。その香織に、何度忘れられても月曜日に明るく自己紹介しながら声を掛けるのが長谷祐樹(山﨑賢人)。同じ高校の2年生。

映画はこの2人の卒業までを描いている。

祐樹は香織に何度「友だちになってください」と言っても「無理」と断られる。ずっと解せない気持ちでいたが、やがて彼女の障害のことを聞き、彼女に交換日記をしようと持ちかける。

香織はいつも友だちのことを憶えていないのでみんなに疎まれていると思っていたのに、祐樹の一途さと明るさに惹かれて結局彼の提案を飲む。

台詞回しが非常に良い。脚本を書いたのは泉澤陽子。映画は今回が初めてだそうだ。コミックスを原作とする基本的な設定は荒唐無稽だが、登場人物の行動は決して図式的ではなく、ちゃんと血が通っている。

ちょっとネタバレのことを書いてしまうが(これから先入観なしに見たい人はここで読むのをやめてください)、過保護で無理解な親が子供を間違った方向に導くとか、心のねじ曲がった同級生が2人の邪魔をするとか、そういう展開になりそうに見せておいて、実はそうならない運びが良い。

九条(上杉柊平)の最後の行動も、それまでにちゃんと伏線を引いてあるから違和感がない。

人物を良い人と悪い人に分けようとはしていない。香織と祐樹だけではなく、他の登場人物も含めて、人の心の暖かさを描こうとしている。だから、後口が良いのである。

山﨑賢人は今やかなりの人気者である。今回は三枚目の線が非常に良かった。純真な少年なのだが、如何にもイケメンにはかなわなさそうなところが良い。

それに対して、川口春奈のほうは、キャリアも長く、それなりにファンもついているのだが今ひとつブレイクできないでいる感じがあったのだが、この映画では陰のある難しい役を的確に、そして可憐に演じられていたと思う。

さて、この映画、どうやって終わるかな?と見始めてすぐに思った。

当然、冒頭で出てきた分厚い本が何かの鍵を握っているにせよ、いずれにしても、香織がどうしてこんな病気になったか原因を説明して、記憶を取り戻すという展開にするしかなかろう、というのが僕の予想だった。

果たして映画は概ねその方向に進んで行く。彼女が何故月曜日には記憶が消えてしまうのかという説明も、科学的にはともかく、心情的には納得の行くものだ。そして、途中から転校生・九条という新しい人物を投入したことによって、筋に変化がついた。

そして結局、絵空事の解りやすい話に持って行って終わるのではなく、悪く言うとちょっとうすぼんやりした形で終わった。そういう意味でややカタルシスに欠けると思う人もいるのかもしれないが、僕は良い展開だなあと思った。

通学路の桜並木、校舎の屋上、雨の校庭など、ロケ風景も情感たっぷりで、ちょっと感心した。

監督は村上正典。知らない人だと思ったけれど、12年前に『電車男』を観ていた。うん、あの映画もまんざらでもなかったな。

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