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Sunday, March 05, 2017

映画『ハルチカ』

【3月5日特記】 映画『ハルチカ』を観てきた。今年2本目の市井昌秀監督作品。原作は「人気青春ノベル」だそうな。タイトルのハルチカは主人公の名前ーー春太と千夏。

高校に入ったら吹奏楽をやろうと思っていた千夏(橋本環奈)。勇んで入部申し込みに行ったら、吹奏楽部は既に廃部が決まっていた。

そこから千夏は、ヘタレだけれどホルンが吹ける幼馴染の春太(佐藤勝利)を巻き込んで、吹奏楽部継続の条件である最小限9人の部員集めにかかる。

ありがちな話である。クラスには超高校級の演奏者もいる。力になってくれる先生は指揮者のコンテストで2位になったことがある。

ますますありがちな設定だ。底が浅く、先が見えてしまう。

9人のエピソードを描くにはそれなりの時間がかかるが、ドラマは9人集めて終わりではなく、吹奏楽のコンクールまでたどり着かなければならないので、時間をかけている余裕がない。

だから、必然的に描写が薄くなる。展開がたどたどしく見える。この辺が一番残念なところだ。

だが、その後から市井監督は巻き返してくる。

無事に吹奏楽部が続けられるようになった後、次第に部員が集まってくる様をミュージカルみたいなワン・カットで撮ったり、部員同士がバラバラになって揉めるシーンを、ロングの撮り切りで大勢の出演者に長い芝居をさせたり...。

俄然映画的な面白さが出てくる。

春太が髪の毛をくるくる触りながら、いろんなことに気づいて行く展開も面白い。最初は千夏に(文字通り)暴力的に従わされていた少年が、次第に千夏を支える側に回る。

後半のメインは、練習しても練習してもソロの速いパッセージが弾けない千夏を巡る話。

演技なのかそのままなのか判らないが、フルートを下手に吹くのがほんとに見事。最初のシーンでは三連符かと思ったら、十六分音符だった。もたつく感じがよく出ている証拠だ(笑)

で、弾けない一人のためにみんながこんなに頑張って、こんだけ引っ張るか?という展開なのだが、音楽の力は絶大だ。楽曲の良さもあって、無理やりに盛り上げてくる。

走っている途中でポニーテールを解いたりするシーンが、意味は解らないがリアリティを感じる。泣いてる千夏の顔をアップでずっと映していたり、頑張ってる感じが如実に出ている。

何よりも映画の表現が説明的になっていないところが良い。観客は状況から結果を知る。だからくどい説明はいらない。それが映像である。

リアリズムに照らすとちょっと無理のある話だと思ったが、結局は引き込まれて後味良く終わった。

それほど素晴らしい出来の作品ではないと思ったが、市井昌秀演出の片鱗は見えた。また観てみたい。

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