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Saturday, January 21, 2017

映画『牝猫たち』

【1月21日特記】 映画『牝猫たち』を観てきた。ロマンポルノのリブートと銘打たれたシリーズである。

僕は決してロマンポルノを低く見たりしていない。日活ロマンポルノが始まったときはまだ見られない年齢だったが、後期は何本か見ているし、気に入った作品もあった。

日活ロマンポルノが数々の名監督を輩出していることも承知しているし、今回のリブートにも名だたる監督が参加していることも知っている。

それでも今まで1本も見なかったのは、今さらロマンポルノでもあるまい、という気持ちからである。

あの当時のロマンポルノは、紛れもなく男が性欲を満たすために見るものであった(あるいはむしろ性欲を紛らすため、あるいは逆に性欲を掻き立てるために見る人もいたかもしれない)。

今やそんな目的のために映画館に足を運ぶ必要はない。もっと簡便にもっと強烈なものをネットから仕入れることができる。当時あの程度の表現で男たちの妄想を掻き立てられたのは、つまりはそういう時代であったということである。

小さな館とは言え、上映30分前から満席売り止めというのにも驚いたが、もっと驚いたのは女性客が多いこと。僕らがションベン臭い小屋でロマンポルノを観ていた時代には女性客なんて一人たりともいなかった。

つまり時代が違うのである。その違う時代にもう一度ロマンポルノをと言われてても見る気にはならなかったのである。

それでもこの映画を観に行ったのは監督が『凶悪』を撮った白石和彌だったからであり、白石監督の前作『日本で一番悪い奴ら』を見逃していたからということもあった。

で、観てみると、やっぱりこれ、ロマンポルノなんて謳う必要はないのではないか? 風俗嬢たちの日常を描いているフツーのドラマである。だから、もうロマンポルノ・リブートなんて枠組みは必要ないのである。

ただ、描いているのは現代の風俗であっても、作品のトーンとしてはあの時代っぽい感じがある。少し大蔵映画っぽい感じもしないでもないが、ロマンポルノの雰囲気も確かにあるように思う。

だが、正直少し評価に迷う。当時と同じく短い制作日数、安い制作費、短い上映時間内に10分に1回の「濡れ場」(これ、死語ですねw)を織り込むという制約があるので、仕方がない部分がある。

しかし、その制約の中で、3人の「牝猫」たちへの暖かく優しい視点をしっかりと感じる。

「感動の巨編」という表現とは対極にある。でも、そんなに悪くない。それぞれに事情を抱えながらフーゾク業に身をやつす女たちは、それぞれに身勝手だったり、投げやりだったりしてそんなに褒められた者たちではない。

でも、そんな彼女たちに対して監督はとても優しい眼差しを向けていて、そんな彼女たちの中に僕ら自身が抱えているものがしっかりと描かれている気がする。そして、うん、セックスってそういう面があるよな、とも思う。

こういう手法って、でも、今思えばあの頃のロマンポルノがすっかり一般映画として根付いたということかもしれない。逆に言うと、フーゾク業としての映画は滅んでしまったのだろう。

上映前の予告編で園子温監督の『アンチポルノ』を観たが、あの映像はどこから見ても如何にも園子温であって、ロマンポルノのかけらもない。やっぱり今ロマンポルノをという試みには無理があるのではないだろうか。

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