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Saturday, December 24, 2016

回顧:2016年鑑賞邦画

【12月24日特記】 今年も恒例の「『キネマ旬報ベストテン』の20位以内に入ってほしい邦画10本」を選んでみる。

今年は45本の邦画を見たが、そのうち『破門 ふたりのヤクビョーガミ』は来年公開なので、これを外して、その代わりに昨年のうちに試写会で見た今年公開の映画『エヴェレスト 神々の山嶺』を加えた45本から選んでみる。

で、毎年書いているように、これは「『キネマ旬報ベストテン』の20位以内に入るであろう10本」ではなく「入ってほしい邦画10本」であるから、今年のベストテンを当てようとしているのではない。

と言いながら、「入るであろう」と「入ってほしい」はそれほど大きな違いもなく毎年書いてきたような気もするので、今年は思い切って『シン・ゴジラ』『君の名は。』を除外してから選考を始めることにした。

この2本は間違いなく「『キネマ旬報ベストテン』の20位以内に入るであろう」映画である。いや、この2本は間違いなく入るのである。入ってほしくないかというと全然そんなことはなく、もちろん入ってほしいのだが、しかし、僕がどう思おうがそんなことには関係なく、この2本はベストテンに、しかも、かなりの上位に間違いなく入る映画なのである。

だから、今年はそれを外してみた。それで10本を選ぶとこうなった。例年通り、これは僕が観た順であって、評価の高い順ではない。

  1. ピンクとグレー
  2. リップヴァンウィンクルの花嫁
  3. 海よりもまだ深く
  4. ヒメアノ~ル
  5. 葛城事件
  6. セトウツミ
  7. 怒り
  8. 湯を沸かすほどの熱い愛
  9. アズミ・ハルコは行方不明
  10. ぼくは明日、昨日のきみとデートする

最後は『オーバー・フェンス』と『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』のどちらを採るか迷ったのだが、「入ってほしい」という原点に立ち戻って後者を選んだ。

1)は公開が早かったので賞レースでは不利を被るだろうが、映画史に残るほどの見事な脚色だったし、今年のベストに選ばれても不思議はないと思っている。久しぶりに行定勲監督の力量を見せつけられた感じ。

2)もまた監督の才能をまざまざと見せつけられた感じで、こちらは久しぶりの岩井俊二。9)と並ぶ、寓意に満ちた作品だった。

同じく大御所的な監督で言うと、3)の是枝裕和監督。「円熟」などと評すとファンの皆さんに「それは違う」と言われそうだが、今回は過去のキャストとの被りもあり、既視感がある中で、表現としては完成度が高まった印象があった。

李相日監督の7)もまたべらぼうな作品だった。これも間違いなく「入るであろう」映画である。この監督らしい、「痛み」を描いた複雑な物語で、この重層的な構成には驚かされた。演者も文句なしに素晴らしくて、強烈な印象が残った。

キャリア(作品本数)でその次に来るのが10)の三木孝浩監督ぐらいになるのかな。ずっと贔屓にしているし、毎年「入ってほしい」に選んでいる。この映画も「他の監督には撮れないな」と思わせてくれる、キレのある作品だった。

それから大森立嗣監督の6)。今までの大森監督の色とは少し違う。よくまあこんな作品を撮ったなあと思わせると同時に、どうしてこんなうだうだ喋ってるだけの映画が面白いのだろうと思わせる、不思議な作品。

そして、映画監督としてはまだそんなにたくさんの作品はないが、舞台の方ではかなりの大物である赤堀雅秋監督の5)。映画の組立て方も秀逸だったが、出演者が全員驚異的な演技をしており、誰が演技賞をもらっても不思議ではない。

残ったのが4)と8)と9)。この辺りをえらんでこそ「入ってほしい10本」だと思う。

4)はワンランク・アップした感じの吉田恵輔監督。いつもにもまして後半がガラッと変わるところが、今回は恐ろしいほど。吉田監督らしい嫌な感じがよく出ている。

8)は初めて観た中野量太監督。綿密な仕掛けと手際の良い運びに驚いた。宮沢りえと杉咲花の好演もあって、非常に完成度の高い作品になっていたと思う。

9)は去年も期待を込めて選んだ松居大悟監督の作品。この映画はほんとに深かった。アンビバレントで含蓄の深い映画で、とりわけ編集の妙を感じさせてくれた。去年の『私たちのハァハァ』は第28位だったが、それを上回ることを期待したい。

あとは年明けの発表を待つのみ。

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