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Friday, October 21, 2016

『破門 ふたりのヤクビョーガミ』試写会

【10月21日特記】 映画『破門 ふたりのヤクビョーガミ』の試写会に行ってきた。

『後妻業の女』に引き続いて在阪民放各社の出資映画であり、しかもどちらも黒川博行の原作である。たまたまの巡り合わせらしいのだが、あちらは読売テレビ出身のベテラン監督、こちらはまだ新進気鋭と言っても良い小林聖太郎監督で、少し色合いが違う。

結局先に公開した『後妻業』が大ヒットしてしまったが、小林監督作品では僕は『毎日かあさん』と『マエストロ』を見ており、特に前者が素晴らしかったこともあって、こちらの取り組みに対する期待度のほうが高かった。

原作は読んでいない。そもそも黒川博行という作家を読んだことがない。後からこの原作が人気シリーズの第5作だと知って思ったのは、この映画は原作シリーズのファンが観たらもっともっと楽しめたのだろうな、ということ。

僕は全く中身を知らずに観に行ったのだが、そういう観客にとっては、このタイトルは少し分かりにくい。

まず「破門」と言われて思い浮かぶのは「芸事」か「宗教」である。僕はまさかそれがヤクザの舎弟が親分に放逐されることだとは思わなかった。

そして、サブタイトルの「ふたりのヤクビョーガミ」である。

映画の中で主人公の建設コンサルタント(と言ってもヤクザとくっついて商売しているものすごい零細事務所)の二宮(横山裕)が、仕事で絡みのあるヤクザの桑原(佐々木蔵之介)のことを疫病神呼ばわりしていたので、僕はずっと「もうひとりのヤクビョーガミはいつ出てくるんだろう?」と思っていた。

「ふたりの疫病神」と言われると、一般的にはひとりの主人公にまとわりつく疫病神のような存在が2人いるか、あるいは主人公が2人いて、そのどちらにとっても疫病神だと思われる人物がいるか、つまり「ふたりいる疫病神」か「ふたりにとっての疫病神」かのどちらかだろう。

それが、2人の主人公がお互いを疫病神だと思っているという意味だと解ったのは、残念ながら映画を見終わった後である。

つまり、このサブタイトルは2人の主人公が所謂「腐れ縁」で結ばれていることを表していたのであり、即ちこの映画は、『相棒』や『探偵はBARにいる』のような、所謂バディ・ムービーだったのである。

この点はこれから観に行く人は是非とも先に押さえておいたほうが良いと思う。

主人公2人の関係性を楽しむ作品だから、2時間の映画よりもトータルで10時間以上かける1クールのテレビドラマのほうが面白いと思う。そして、そのドラマが何年にも亘ってシリーズ化されるともっと面白くなるのではないか。

マンネリになればなるほど、視聴者が『よしもと新喜劇』の定番ギャグや『水戸黄門』の印籠を出すシーンを待ち受けるように、二宮と桑原のやり取りを楽しむようになると思う。

今回は映画としては初作であり、しかも、原作自体がある程度の分量のある小説なのに加えて、そこまでの4作で描いてきた背景も含めて、映画では2時間で決着させなければならないというハンディキャップがあったと思う。

だから、この映画は続編ができればもっと面白くなるのではないかと思う。その製作のためにふたたび在阪5局が結集できるのかどうかは分からないが。

ただ、脚本はよく書けている。キレたヤクザの桑原と対比して、ヘタレのくせに口だけは達者で減らず口を叩くカタギの二宮を置く構造が良い。原作はもう少しハードボイルドっぽい味付けだったようだが、上手くコメディに寄せている。

これをシリーズ化して行けば、2人のキャラは自然にもっとデフォルメされるだろうから、楽しみ方も深まるのではないだろうか。毎回毎回、逃げてばかりの二宮が気を取り直して桑原を救いに戻ってくる、という展開は、それはそれで、重ねれば重ねるほど胸がすくと思う。

さらに、『相棒』や『探偵はBARにいる』といった警察や探偵を主人公にしたドラマではなく、存在自体が完全に違法のヤクザと、違法スレスレのところでやっているコンサルタントという裏社会的な設定が逆に小気味良いのである。

しかし、それだけにバイオレンスの描写も激しく、強烈に痛々しいので、そういうのが苦手な方は気をつけたほうが良い(笑) この映画は単純な喜劇ではなく、歴としたアクション映画であり、ある種のヤクザ映画でもあるのである。

メインの出演者のうち橋本マナミを除く全員を関西出身者で固めたのも大成功。2時間の映画を観て「大阪弁が気持ち悪いな」と思うところが全くなかったが、これは滅多にあることではない。

佐々木蔵之介も横山裕も「好演」と言えるが、それよりも木下ほうかのヤクザが妙に新鮮でおかしかった(笑)

公開は来年1月28日(土)。

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