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Saturday, August 06, 2016

映画『TOO YOUNG TO DIE!』

【8月6日特記】 映画『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』を観てきた。

僕は『池袋ウェストゲートパーク』も『木更津キャッツアイ』も『あまちゃん』も『ゆとりですがなにか』もほとんど観ていないので、宮藤官九郎のファンであるとは言いがたい。

でも、『タイガー&ドラゴン』『流星の絆』『うぬぼれ刑事』は毎回楽しみに観たし、彼が監督した映画もここのところ4本連続で観ている。

この映画を観て最初に思ったのは、コメディである前に音楽映画であるということ。音楽こそがこの映画の真骨頂だと思う。

最初のほうのシーンで「なるほど、地獄だから音楽もデスメタル系なのか」と思ったのだが、観ている途中で、そうではなくて、多分これはデスメタルという単語から地獄を連想して、そこから脚本を書き始めたのではないと思えてきた。

この想像は中らずと雖も遠からずで、パンフを読むとクドカンはロックの歌詞にはよく Kill! とか Hell など威勢の良い言葉が並んでいるところから発想したと言っている。

ともかく音楽が先にある感じがする映画だったし、その音楽が素晴らしかった。

地獄でいきなり Char と野村義男のギター・バトルが始まったり、おでこから角が生えた木村充揮が歌い出したり(と言うか、これは画が出る前に歌声で木村だと判る)、皆川猿時が分身の術でマーティ・フリードマンと ROLLY に分裂したり、ロック・ファンにはたまらないシーンが続出する。しかも、それがおかしい。

チョイ役でみうらじゅんが出ていることさえ(分かる人は分かると思うが)微妙にロックに繋がっている。

テーマ曲の歌詞がロックええとこどりで、片桐仁が扮する鬼野楽器(ロゴが山野楽器を真似ている)店長が往年の名ギタリストから切り取った腕を売っているなんて設定もおかしい。

いや、特殊メイクがきつすぎて、これが片桐仁だとは家に帰ってパンフを読むまで分からなかった。主演の長瀬智也も全然分からない。鬼になってからはともかくとして、丸メガネかけて生きていた時代のシーンでも分からない。

同じく鬼役の桐谷健太は喋り方で分かるが、顔だけだと分からない。女の鬼役だった清野菜名などは元の顔が思い出せないくらいで、エンディングのキャストを観て初めて「あ、『TOKYO TRIBE』のあの娘か!」と気づく(しかし、顔は思い出せない)。

烏丸せつこや田口トモロヲもパンフで初めて確認できたが、上映中は見当がつかなかった(笑)

そんな中に宮沢りえや尾野真千子などというめちゃくちゃ巧いトップクラスの女優が混じっている。しかも、この2人の味がほんとうによく効いている。途中から出てくる古舘寛治も良い。

当然皆川猿時や荒川良々など大人計画の役者がいて、閻魔大王役では古田新太などという大物を呼んできていて、なんと贅沢なキャストかと驚いた。

ストーリーは主人公の高校生・大助(神木隆之介)が乗った修学旅行のバスが崖から転落するところから始まる。ほとんどの生徒は死んで天国に行くが、何故だか大助だけ地獄に落ちて、赤鬼のキラーK(長瀬智也)に迎えられる。

そこからの地獄の設定は、日本古来の伝承にちゃんと則っていながら、それを見事にギャグにしているあたりがクドカンの本領発揮という感じ。音楽系のギャグもてんこ盛りである。

そんな中で大助は好きだったのにキスもできなかったひろ美(森川葵)にもう一度会いたくて、輪廻転生して人間界に戻ることを画策するが、閻魔大王によって何度も畜生道に落とされ…、というもの。

このひろ美が、ものすごい美女ではないけどなんとなく男好きする感じで良い。顔に見覚えがあるのに、(鬼ではないので特殊メイクしていないにも関わらず)思い出せなかったのだが、終わってから「ああ、『表参道高校合唱部』のあの娘か」と気づいた。

クドカンのギャグは冴え渡り、劇場内で小さな笑いと大きな笑いが交互に起きる。伏せてきたシーンの断片を後半に少しずつ見せて笑いを取る手法は非常にうまく機能していた。

終わってみると場内に「ああ、面白かった」との声がそこかしこから聞こえる。いや、その前に、もう公開もそろそろ終わるかという時期なのに、場内は高校生を中心に満員に近い入りであることのほうが驚き。

で、クドカンらしい、人をコケにしながら人の良さが出た脚本で、読後感が良いのである。

このドラマでは勘違いや勝手な解釈で地獄に落ちてくる人が何人かいて、そういういい加減さが面白いのだが、それこそクドカンが「ま、そんなもんだよ。でも、いいじゃん」って言っているような気がする。

地獄のシーンばかりが目立つが、現世のシーンも全体にカメラが良い。例えば宮沢りえが娘と語るシーンをカメラがゆっくり動きながら長回しで撮ったところなど(その後、遠景でトボトボ歩く犬を撮ったところも含めて)、とても印象的な画になった。誰だろうと調べてみたらカメラは相馬大輔だった。

で、結論は何かと言うと、僕はやっぱり、「ああ、音楽は良いなあ、ロックは良いなあ」というところに帰結した。いつものクドカンのコメディの底流に、今回ははっきりと音楽に対するリスペクトが流れている気がした。

向井秀徳の書いた曲もこれまた良いし、長瀬や神木が歌うシーンも良かった。うーん、これはやっぱり音楽映画だよね。しかも、かなり優秀な。

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