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Wednesday, June 29, 2016

ありがとう、僕の人生に参加してくれて

【6月29日特記】 僕が勤めているのは放送局だということもあって、会社にはいろいろな個性がいる。

僕の同期のひとりなんぞは、大学院でテクノロジーと芸術の両面から音を極めた、つまり音響学だけではなく音楽的な面から見ても音の専門家と言える人物であった。

技術職で入社してからはもちろん音声だけではなく、他の担当もやっていたが、やはり本職は音響で、自分で新しい装置を開発して賞を受けたり、番組の BGM を作曲・演奏・録音したりもしていた。

そういう人は決して「単なる変人」ではないのだが、ま、でも、ある種変人であるとも言えるのであって、我々凡人はついつい除け者、外れ者扱いしてしまいがちなのである。

その彼も、社内では結構そういう目で見られてきた。でも、音の専門家として、今では彼はその道の有名人であり、達人である。

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Tuesday, June 28, 2016

『ジョージ・サンダース殺人事件』クレイグ・ライス(書評)

【6月28日特記】 僕はクレイグ・ライスの大ファンで、彼女の作品はほとんど読んでいる。

ミステリの作家ではあるがシリアスな作風ではなく、所謂スクリューボール・コメディと言われる、如何にもアメリカらしい、減らず口から皮肉や茶化しが溢れ返る喜劇である。

だから、正統的なミステリ・ファンが読むと、「なんだ、これは?」と思うかもしれない。

時としてトリックや謎解きの妙よりも、トリックにうっかりひっかかってしまったり、お門違いの推理をして泥沼にはまったり、それを突破するためにあまりに無茶苦茶な手段に訴える主人公のドタバタのほうが面白かったりするのである。

だから、ライスは、この文章をここまで読んで興味が湧いた人だけが読むべき、いや、ひょっとしたら興味が湧いた人しか読んではいけない作家であると言えるのかもしれない。

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Sunday, June 26, 2016

映画『クリーピー 偽りの隣人』

【6月26日特記】 映画『クリーピー 偽りの隣人』を観てきた。(今回は少しネタバレっぽいところもあるので、これから観る人でそういうのが気になる人は読まないほうが良いかもしれない)

海外での高い評価に比べ、日本では過小評価されがちな黒沢清監督。前作『岸辺の旅』では珍しく“良い話”に仕上げてカンヌでも賞を獲り、これで日本でもいよいよ人気監督の仲間入りかと思われたが、それほど盛り上がらなかった。

だからというわけでもないのだろうが、今回はまた原点回帰して、黒沢監督が本来得意とするホラーものである。今回もものすごく怖い。

『クリーピー』というタイトルからしておぞましいが、これには前川裕による日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作の原作がある。

しかし、おぞましいホラーであるか、ほろりとする良い話なのかは、黒沢清の作品を評価する上での判断材料にはならない。彼の場合、どんな話を撮っても底流を形作っているのはある種の狂気であり、死に対する意識であるのだから。

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Friday, June 24, 2016

東京新生活

【6月24日特記】 かなり難航したけど、漸く東京での住まいが決まった。

狙った地区で僕ら夫婦の希望を満たす物件がなく、最後はエリアをかなり広げて探したのだが、最終的にたどり着いたのは偶然にも僕らが新婚時代の3年間をすごした街だった。

何十年ぶりに歩いてみると、当たり前のことだが、変わっていないところも変わってしまったところもあり、そして一番多いのは記憶のはっきりしないところである。

ふたりの記憶のはっきりしないところ、しっかり憶えているところを照らし合わせながら歩いていると、ごく自然にあの頃の気持ちというか心の動きというかが風景と一緒に甦ってくる感じがあり、それは我ながら良い感じのものである。

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Monday, June 20, 2016

音楽の効用

【6月20日特記】 何を思ったか、妻が急に古い CD をかけた。彼女が「嫁入り道具」に持って来たアール・クルー(笑)

当時は大ざっぱにジャズ/フージョン系のギタリストに分類していたが、今聴くとクラシックの素養もある人だと判る。

でも、もっとよく聴いてみると、単音で弾いているパートが結構多いし、ハーモニーがついていても、オクターブ奏法だったり、あるいは、3度や6度のずっと同じ間隔の積み重ねで平行移動していて、有り体に言うと単調で、割合つまらない(笑)

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Sunday, June 19, 2016

6/19サイト更新情報

【6月19日特記】 サイトを更新しましたのでお知らせします(このブログではなく、併設している私のHPの更新案内です)。

今回はいつもの言葉のエッセイの更新と、読書コラムの新作が1本あります。

言葉のエッセイは何度か取り上げている敬語周りの話題。読書コラムのほうは、読んだ本が3冊になると取り上げるという方針に従って、角田光代さんについて書きました。

ということで、今回の更新は下記の通り:

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Saturday, June 18, 2016

すっと言える

【6月18日特記】 東京転勤が決まって、社内の多くの人が「東京希望やったんやて?」と話しかけて来る。決して東京に嫌々行くわけではないのだが、「東京希望だった」というのはちょっと違う。

現に自己申告書の転勤希望の欄には「今さら転勤しても仕方ないっしょ」(原文ママ)と書いていたのだから。

多分誰かの思い込みが広がったのだろう。

一方で逆の思い込みをした人もいる。かつての上司で、今はシニア・スタッフとして働いているT氏である。

T氏はエレベータで僕と一緒になると、僕の目をじっと覗き込んでこう言った。

「東京行くんやて? 希望と違うんやろ?」

これまたどうしてT氏がこんな風に思い込んだのかは謎だ。「希望に反して東京に飛ばされた」というのも違う。違い方としては「東京希望だった」というのより遥かに違う(笑)

でも、そう言われて、この人はなんと素敵な人だろうと思った。

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Thursday, June 16, 2016

血圧が上がる

【6月16日特記】 血圧計を買ったことは去年の 11/27 の記事に書いた。

今は原則として週2回計測している。

それで面白いことに気づいた。精神状態が悪い時に測ると本当に血圧が高いのである。

そんなこと当たり前じゃないか、と言われるかもしれないが、僕としては「怒ったら血圧が上がる」とか「びっくりすると心臓に悪い」なんて言うけど本当にそうなんだ!という驚きを覚えたのである。

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Tuesday, June 14, 2016

Sumally 退会

【6月14日特記】 Sumally を退会した。

ご存じない方のために書くと、Sumally はまあソーシャル・ネットワークの一種と言って良いと思う。

twitter のようにフォローしたりされたりという関係はあるのだが、常に写真を伴うという意味では Instagram や Pinterest に近いのかもしれない。

しかも、投稿に共通のテーマがあって、それは買い物である。自分がほしいもの(あるいは既に手に入れたもの)の記事をネット上で見つけて、その写真を投稿する。「欲しいモノと持っているモノでつながる SNS」というキャッチ・フレーズもある。

Sumally という名前は、買い物(ほしいもの)の要約という意味で summary と掛けてあるのは想像に難くない。

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Sunday, June 12, 2016

無題

【6月12日特記】 この3日間、自分の中のネガティブな感情と戦い続けて、それ以外に何もしていない。

ウクレレも弾いていない、ブログも書いていない。本当に消耗した。

消耗するってこういうことなんだな、と思った。

それでこうやって、書いている本人しか何のことだか分からんことを書いてみる。書いてみると鎮まるような気がして書いてみる。

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Friday, June 10, 2016

映画『ヒメアノ~ル』

【6月10日特記】 映画『ヒメアノ~ル』を観てきた。

この映画が前半と後半で印象がガラリと変わることは予告編を見て知っていた。

前半は無邪気にコメディと言っても良い内容である。その中心は安藤さん(ムロツヨシ)である。いい年をしたフリーターで、現在は清掃業のバイトをしている。

他人と話すときに決して目を合わせない態度、どこか気持ちの入っていない棒読みみたいな喋り。頭のネジがどこか外れた感じで、対人関係が上手くさばけない。しかし、喋っている内容は脳天気に希望に満ちている。―そんなムロツヨシを見ているだけで笑えてくる。

その安藤さんが清掃会社の同僚の岡田(濱田岳)に、実は恋をしていると告げる。恋の相手は仕事場近所のコーヒーショップの店員・ユカ(佐津川愛美)。安藤さんは岡田に仲を取り持ってくれと頼むが、岡田は「若いし可愛いし、動物の種類が違うから無理」と尻込みする。

しかし、そこは空気読めない分だけ妙に押しの強い安藤さんと、とにかく無類のお人好しの岡田の組合せなので、結局岡田が安藤に請われるままに間を取り持つことになる。

で、これは予告編の中にもあったシーンなので書いてしまって構わないと思うのだが、岡田が必死に愛のキューピッド役を務めようとしていたら、ユカから自分が好きなのは岡田だと告白される。

岡田は嬉しいものの、安藤さんへの気兼ねから断ろうと思うのだが、ユカから「黙っていればバレない」と言われて結局隠れてつきあい始める。しかし、すぐに安藤さんにバレて、安藤さんがまた発狂したみたいな反応を示して...。

―と、この辺りは、台詞回しの上手い吉田恵輔監督の脚本(今回は単独)ということもあって、面白くて仕方がない。いつも通り細かいところがリアルで、見ていて何度も笑える。

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Metal Guru

【6月9日特記】 一昨日、東京転勤の内示を受けた後、突然脳内に Metal Guru が流れ始めた(今もまだ時々流れている)。

―中学時代に熱狂したバンド T.Rex の大ヒット曲。

それで僕は、なんとなく、ほんとに何の根拠もなく突然、「あ、そうか、俺はこれになりたかったのか」と思った。

当時のロックにはまだ(ヘビー)メタルというジャンルはなかったが、この歌詞に Marc Bolan が込めた意味は、言うまでもなく「ロックの伝道師」あるいは「ロック・スピリッツの伝道師」であったはずだ。

当時僕らはその気概にしびれた。そう、Marc Bolan こそはロックの伝道師であり、革命の申し子(Children of the Revolution)のひとりだったのだ。

で、僕が「俺はこれになりたかったんだ」と気づいたというのは、Metal Guru そのものではなく、カッコつけて言うならば Digital Guru である。デジタルの伝道師(笑)

地上波もデジタル化した今となってはデジタルもクソもないのだが、要はテレビ/ラジオとインターネットを繋ぐ伝道師になりたかったのである(ご存じない方のために書いておくと、僕は放送局に務めている)。

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Wednesday, June 08, 2016

東京の夏

【6月8日特記】 「10年ぶり3回目」―どこかの高校の野球部の甲子園出場回数ではない。覚醒剤をやめられない芸能人の逮捕の回数でもない(笑)

僕の東京暮らしである。

今月の末に3回目の東京勤務となる。転勤は5回目:

大阪 → 東京 → 大阪 → 東京 → 大阪 → 東京

大阪を本社とする放送局なので、本社と東京支社以外にはほとんど勤務地がないこともあってこんな形になっているが、逆に生涯全く転勤しない人も決して珍しくない。

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Monday, June 06, 2016

憤慨の果て

【6月6日特記】 若いころは「こっちの気も知らないで」「これだけやってやってんのに」「あまりにも自分勝手じゃないか」などとよく憤慨したものだ。

でも、年を取って今考えてみると、そうやって怒っている自分もまた相手の気も知らずに、相手の恩も感じずに、結局自分勝手に怒っていたにすぎなかったのだなあという気がする。

単に勝手な主観と勝手な主観がぶつかっていたにすぎないのだ。何故なら、そもそもむやみに怒っている感性は正しい判断をしないものだからだ。自分と相手を同じ力で突き放して、その中点から物ごとを見ることができていないのである。

「常に相手の身になって考える優しい心構え」などという薬臭いことを言っているのではない。

相手の心中を察せられないのは、単に観察力の不足であり、思慮が足りないのである。

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Sunday, June 05, 2016

『坂の途中の家』角田光代(書評)

【6月5日特記】 最近ついぞ小説を読まなくなった妻が珍しく「読みたいのでついでに買って」と言った本。妻が読み終わって、僕も手にした。

読んでいる時に妻は「どんどん先が読みたくなる本ではあるけど、読んでいるとどんどん気分が落ち込む」と言っていた。確かにそういう小説だ。

裁判員裁判の話だ。被告人は若い女性・水穂。ひとことで言ってしまうと、育児ノイローゼのような状態になり、幼い娘を風呂場で水に浸けて殺してしまう。水穂本人にはその時の明確な記憶がない。

主人公の里沙子はその刑事裁判の補充裁判員に選ばれてしまうのだが、不幸なことに彼女と水穂の置かれた環境に似通ったところが多すぎる。いや、考えようによっては全然似ていないかもしれない。

でも、里沙子は公判を聞いているうちに、知らず知らずに水穂に共感してしまい、自分と彼女を重ねてしまう。そもそも里沙子自身が2歳の娘の育児に手を焼き、自信をなくしていたところだ。

毎日娘を義母に預けてから裁判所に通い、終わると娘を迎えに行って帰宅して、それから夫の夕食を作るような生活が続くうちに、今まで特に不満もなかった夫ともなんだかぎくしゃくし始め、義母にも反感を覚え、気がつくと反抗期の娘にも大人げない怒りを抱いていたりする。

里沙子の頭の中で、水穂の行動や思いが自分自身のそれと重なってくる。読んでいても時々これは里沙子の描写なのか水穂の描写なのか分からなくなることがあるくらいだ。非常によく練られた構成である。

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Saturday, June 04, 2016

6/4サイト更新情報

【6月4日特記】 サイトを更新しましたのでお知らせします(このブログではなく、併設している私のHPの更新案内です)。

今回はいつもの言葉のエッセイの更新と、読書コラムへの加筆です。

言葉のエッセイはシリーズ化している「大和の豊かな言い回し」の第6回です。読書コラムのほうは、例によって読み終わった小説の書評へのリンクを、その作家の回に書き加えたもので、今回はパワーズです。

ということで、今回の更新は下記の通り:

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Friday, June 03, 2016

トイレ掃除の法則

【6月3日特記】 トイレ掃除をしていて気がついたことがあります。

我々男性は洋式便器の便座を上げて小用を足します(男性も座って小用を足そうというムーブメントについてはここでは措きます)。しかるに女性は常に便座を下ろした状態で使います。

というわけで、便座の裏の汚れは女性よりも男性の目に留まりやすいのです。

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Wednesday, June 01, 2016

データ

【6月1日特記】 このブログにも多分過去に同じようなことを書いていると思うのだが、生来のデータ好きということもあるが、iPhone を手にしたことがきっかけになって、ずっと体重などのデータを記録している。

で、長期に亘るそのグラフを眺めていると、体重というのは毎日毎日結構変動しながら、長期的に見ると増えていたり減っていたりという傾向を示しているのが分かる。

僕の場合、前の日と比べて 1.5kg を超えて変動することは滅多にないが、1kg 以上増えたり減ったりすることはざらにある。

だから、逆に、たとえば前の日より 1kg ぐらい増えていたとしても、去年の今ごろと比較すると大体 1kg 減っているなんてこともあるのである。そんな風にしてマクロとミクロの違いが見えてくるのである。

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