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Sunday, December 13, 2015

映画『orange -オレンジ-』

【12月13日特記】 映画『orange -オレンジ-』を観てきた。橋本光二郎監督。

僕は年の割にはこの手の青春恋愛物をよく観ているほうだと思うのだが、こういう映画を撮らせたらまず右に出るものはいないと言えるのが三木孝浩監督だと思う。そして、もう一人挙げるとすれば、それは熊澤尚人監督だろう。

橋本光二郎監督は、相米慎二をはじめとする多くの名監督の下で助監督を務めてきたらしいが、最近ではその熊澤監督の『君に届け』で助監督を務めている。ちなみに今作品が長編での監督デビューということになる。

主人公の高校2年生菜穂(土屋太鳳)に10年後の未来の自分から手紙が届く。

そこにはこれからの自分の未来が書いてある。新学期に東京から翔(山﨑賢人)という転校生がやってくることも、自分が翔と恋に堕ちることも、そして、翔が死んでしまうことも。

26歳の菜穂は16歳の菜穂に何とか翔を救ってやってほしいと嘆願している。

大ヒット漫画が原作らしいが、この設定はなかなか面白い。

だが、そこからの展開は、どうしてもありがちな青春物になってしまう。そして、それよりも何よりも、どうして未来の自分が今の自分に手紙を送ることができたのかの説明がないのはどうかな、などと思ってしまった。

ただ、少し見進めているうちに気がついた。そんな辻褄合わせはどうでも良いのである。

この話では10年後の自分という姿を借りているが、要は自分とちゃんと向きあいなさないというのがこの映画のメッセージなのである。

そう思ってみるとやや薬臭い作品に思えてくるが、まあ、悩み多き若者たちにはこういう薬も必要である。考えてみれば随分飲みやすい薬ではないか(笑)

ただ、それだけではひねりがない、と思っていたら中ほどにちゃんとサプライズが用意されていて(ネタバレになるので書かないが)、そこからは新しい展開に入る。この部分は原作の設定を少し書き換えたらしいが、映画としては成功していると思う。

そして、そこからは単に「自分に向き合え」だけではなく、「自分の頭でよく考えなさい」というメッセージも加わる。なかなか良いお話である。終映後のトイレで男子高校生3人組のうちの2人が泣いたという話が耳に飛び込んできて、ああ、良い薬になったんだなあと嬉しくなった。

ただし、この映画の中にも出てきたけれど、最近の若い子たちはすぐに「後悔したくない」と言うが、僕はむしろ「後悔すればいいじゃないか」と思う。

「後悔したくない」という気持ちはとかく人の動きを止める方向に働くのだ。後悔するからこそ、新たな進歩があるのである。頑張って後悔すれば良い。累々たる後悔の山の上にしたたかに立つことによってしか、成功や幸福には手が届かないのである。

──なんてことをおっちゃんは思った次第である(笑)

さて、そんな感じの良い映画ではあったのだけれど、冷静に分析すると、残念ながらまだ「これぞ三木孝浩!」とか「さすが熊澤尚人!」みたいなものは見えて来ない。台詞にも映像にも、まだ観客に先が読めてしまう部分が多かったと思う。

美しいシーンはそれなりに多いのだが、例えばプールの水面に花火が映るというのは、そういうシーンを作りたい気持ちは理解するが、少し現実離れしているのではないか?(ちなみにカメラマンはここのところ素晴らしい映像を撮り続けている鍋島淳裕なのだが)

持ち上げたマットから手を離すときに、その重みでマットが弛むシーンが今回の映像の白眉だったと思う。ああいうカットがたくさん撮れる監督になってほしいなと思った。

僕は近年、NHK の朝の連ドラを全く観ていないので知らなかったのだが、『まれ』のコンビなのだそうだ。土屋太鳳のほうは他の映画でも何度か見て知っているが、山﨑賢人のほうはよく知らなかった。

一見線は細いが意外に笑顔が良い。でも、どこかで見たような気がすると思っていたら、TV版の『デスノート』で L をやってた奴だ。まあ、あの時も線が細いと思ったが、松山ケンイチと比べるのは可哀想だったかもしれない。

他の4人の共演者たち(竜星涼、山崎紘菜、桜田通、清水くるみ)もそれぞれに個性が出て良かった。特に桜田はおいしい役だった。おいしい役といえば、憎まれ役の真野恵里菜もなかなかの好演だった。

たまには大人も馬鹿にせずにこういう映画を観ても良いのではないだろうか。

そして、若い人はどんどん映画を観て、たとえば今回の橋本光二郎と三木孝浩や熊澤尚人のどこが違うのか、どこに力量の差が現れているのかなどを考えてみてくれたら良いのではないだろうか。

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