報告
【11月17日特記】 セミナー等に参加すると「帰ってきたらリポートを出せ」と言う上司がいる。
僕が若い頃は大概がそんな上司だった。「会社に行かせてもらったんだからリポートぐらい書け」と言う。つまり、リポートは懲役刑の強制労働みたいなものだ。さぞかし良い報告書が書けるだろうと思った。
僕は自分が上司の立場になった時に、そんなつまらないものを求めるのはやめようと思った。
そもそも自分が出席していない講演会やパネル・ディスカッションのプレゼン資料やまとめ資料を読まされたってちっとも実感が湧かないし頭にも入らないのである。
もし出席しなかった僕に知りたいことがあるとすれば、それは出席した君が何を得たのかということだ。
もし、君の得たものが個々の具体的な知識であり、それはとりあえず君がつぶさに知っていてくれたら事足りて、わざわざ僕が知っておく必要のないことなのであれば、それを僕に知らせてくれなくて良い。
もし、君の得たものが個々の知識ではなく、もっとエッセンスめいたもので、今後仕事を進める中で何かヒントになりそうなものなのであれば、そのままその線で進めてくれれば良い。
要は君がそのセミナーで何かを得て血肉になったのであればそれで良いのである。逆に、せっかく参加したのに何も得るところのないセミナーだった場合(そんなこともあるだろう)は、端から報告することなんてないはずだ。
僕はよく若い人に「網羅的に語るな。象徴的に語れ」と言う。セミナーの報告も同じで、そこで聴いてきたことを漏れなく教えてもらう必要はない。
「いろいろ聴いたけど、中でこのことがとても印象深かった」というような台詞で、皆を考えに巻き込んでくれれば良い。
リポートなんぞを書くと、往々にしてそれで終わりになってしまう。せっかく君がいろいろ聴いてきたことを、そんなところで終わらせるのは非常につまらないことだ。
報告書なんぞ書く必要はない。聴いたことをよく考えて、未来に繋げてほしい。
――ちなみに今日明日と僕は民放連のセミナーを聴いている(笑)
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