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Monday, September 21, 2015

映画『私たちのハァハァ』

【9月21日特記】 映画『私たちのハァハァ』を観てきた。ゆうばり国際ファンタスティック映画祭でも賞を貰ったし、東京での上映も甚だ評判が良かった。漸く関西にも来たので観に行った。

いやぁ、これはべらぼうな映画である。こんな脚本はとても書けない。

台本があって、それを暗記した役者が喋っているとは思えない。どこから見ても女子高生4人の会話である。4人がとりとめもなくいっぺんに喋って、誰が何を言っているのか分からないところまで含めて、これは生身の女子高生の会話である。

知らない女の子4人が出演していると思っていたのだが、さっつん役の大関れいかは、どこかで見た顔だと思ったら、あの VINE に爆笑6秒動画をアップし続けている娘である。

それから、文子役の三浦透子は2代目サントリー「なっちゃん」で(そう言われれば、見覚えがある)、松居大悟作品にはこれが3回目の出演という、松居監督の秘蔵っ子であった。

ギターを持った一ノ瀬役の井上苑子は、随分歌が巧いと思ったら、ツイキャスでの視聴者数が100万人を超える、ソーシャルネット・ワークから出てきたシンガー・ソングライターだった。

そして、4人目のチエ役の真山朔だけがオーディションで選ばれていた。

その4人は福岡の高校生。4人ともクリープハイプというバンドのファンである。

このバンドが架空のバンドかと思ったらそうではなくて、武道館で 2 Days Live をやったというからかなり売れていて、しかも、このバンドの PV をずっと作っているのが松居大悟監督なのだそうだ。

ストーリーはこうである。

4人が福岡でのライブの時に出待ちをしていたら、リーダーの尾崎世界観から「東京のライブにもおいでよ」と言われたことがまずあって、その後一ノ瀬が親と喧嘩したことがきっかけになって、4人で家出して東京に向かうことになる。

──制服を着て、ヘルメットを被って、チャリに乗って。

東京でのライブは4日後である。しかし、どう考えても自転車で東京までは無理である。早々にパンクしたこともあり、自転車を捨ててヒッチハイクに切り替えるが、ヒッチハイクで乗せてくれる車がそうそうあろうはずもない。

それでも何台かの車に乗せてもらって、少しずつ東京に近づいて行く。でも、毎晩野宿で風呂にも入れないし、ヘトヘトに疲れて来るし、その上お金も尽きて来て、必然的に内輪もめが起こる。

この辺の展開が、会話だけではなく、劇中に出てくる twitter やまとめサイトも含めて、ものすごくリアルなのである。4人が4人ともクリープハイプのファンであると言いながら、その微妙な温度差を見事に描いて、それをキーにしてストーリーを転がして行く。

──いやぁ、こんな脚本はとても男には書けないし、中高年にも書けない。脚本を担当したのは舘そらみという人(松居監督と共同)。1984年生まれ。

ロードムービーであるという基本線はあるものの、ほとんど大きな事件が起きない難しい展開である。それをよくここまでまとめた、と言うか、積み上げたと思う。

あの年代特有の衝動と純真さとチグハグさ──そういうものを非常にビビッドに、時にはウザったく描いている。

出だしから暫くは女子高生たちの自撮り映像で構成されており、ひょっとして最後までそのまま行くのかと思ったら客観カメラが出てきたが、その後も折にふれて入ってくる自撮りと引いた画の切り替えがとてもうまく行っている。

あんなところで野宿してたらすぐに補導されるだろうよ、っていうところだけが嘘っぽい部分で、よくもまあ、こんな映画が撮れたもんだと思うほど若者の気分をちゃんと掴んでいる。そう、これは“あの年代”の映画である。

しかし、自分の高校時代を思い出すと、あの頃の自分にはあれほどのエネルギーはなかったなあと思う。ま、それでも(それなのに)ハァハァ言ってたけどね(笑)

ラストの NHKホールから渋谷駅前スクランブル交差点まで一気に走る映像に青春が溢れていた。ウザくて爽快! 良い映画だった。

なお、名の通った役者としては池松壮亮が出ているが、彼もまた松居大悟作品の常連で、私生活でも監督の友人なのだそうだ。

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