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Saturday, September 12, 2015

『映画 みんな!エスパーだよ!』

【9月12日特記】 『映画 みんな!エスパーだよ!』を観てきた。園子温監督。

テレビ東京で放送したシリーズは全12話を1回も逃さず観た。こちらは園が総監督を務め、半分の6話を自ら演出し、残りは入江悠など他の監督が演出している。

しかし、テレビ・シリーズのほうが楽しかったなあ、というのが映画を見終わった直後の正直な感想である。

このドラマは女子から見たら単にエロくてバカバカしい話かもしれないが、男子の目から見ると、青春の性衝動の間抜けさというか、性欲の煩悩とでも言うべきものを、ある意味中二病的な観点から非常に的確に捉えた、極めて切実なコメディである(笑)

園監督自身に「テレビ・シリーズの映画化だからと言って一見さんお断りにはしたくない」という思いがあって、テレビでの設定を少し展開を変えながらなぞってくれているので、全然観たことがない人でも充分に楽しめる構成にはなっている。

ただ、やっぱりこれはテレビ版のファンであった人のほうが圧倒的に楽しめるだろうと思う。

テレビでは12話という長さを使って、それぞれの少年少女が超能力に目覚め、性欲と超能力の間でバカバカしく懊悩するさまをシッチャカメッチャカに描いていて、そこが面白かったのだが、映画版では頭の20~30分でさっと設定を紹介して、すぐに事件を起こし、ストーリーを転がし始めており、あまりディーテールを楽しませてくれるところがない。

また、テレビ版では地上波放送の制約の中でよくあれだけエロを描いたなあと関心したのだが、少しハードルが低い映画に於ても(パンチラの回数は増えたにしても)基本的に同じレベルでやってしまったために、逆に物足りない印象が残ってしまった。

おっぱいくらいは露出したほうが良かったのではないだろうか。

ただ、テレビでのキャラクターはほぼそのままで、つまり、ほぼあのままのアホらしさなわけで、これはこれでやっぱり笑えるのである。

主人公の鴨川嘉郎は東三河に住む高校生で、頭の中はセックスで一杯である。とりわけ転校してきた同級生・浅見紗英(真野恵里菜)への妄想がどんどん広がっている。そしてある日、彼にテレパシーの能力が発現する。

東三河という設定が絶妙である。テレビでも使われていた、あの畑に挟まれた細い一本道を嘉郎が歩いて来る奥行きのある構図。そして、出演者ほぼ全員が語る三河弁。ここらはテレビと同じ手法で笑わせてくれる。

さて、テレビを見ていた人には言うまでもないが、この嘉郎を演じているのが染谷将太である。役柄的にこの間出演したばかりの『寄生獣』とかぶる部分があるのだが、こちらはかなりの猫背で、変顔で、あちらより遥かに情けない。

嘉郎の幼なじみで同級生の美由紀はエロいスケバンである。彼女もまた(性体験がないということを含む)一定の条件を満たしたために、テレパシーの能力に目覚める。

この役はテレビでは夏帆がパンツ丸見えで熱演したのが、最近では『海街diary』での好演もあり、さすがにそういうイメージを嫌ったのか(どうかは知らないが)唯一テレビとは別人が演ずることになった。それが池田エライザである。

僕は全然知らなかったのだが、「ニコラ」や「CanCam」の専属モデルだった人で、twitter ではフォロワーが18万人もいるそうなのである。

当然のことながら、彼女もまたパンツ丸見えの飛び蹴りなどを披露するわけだが、エロ云々よりも演技全般に却々健闘していたと思う。ひとりだけ新顔というプレッシャーもあっただろうに、見事である。

かなりの美形でもあり、夏帆のイメージを上手に引き継ぎながら、個性も充分アピールして、鮮烈な映画デビューとなった。

それ以外の登場人物はほぼテレビそのままである。

テレキネシスの能力に目覚めるが、エロい物しか動かせない喫茶店の中年マスター・輝さんにマキタスポーツ、テレポーテーション能力を持ち、素っ裸で瞬間移動する高校生・榎本に深水元基、透視能力を身につけた根暗の高校生・矢部に柾木玲弥などで、この辺りのメンバーが悪のエスパー集団と戦うことになる。

そして、彼らを率いるのが超能力研究者の浅見教授(安田顕)と助手の秋山(神楽坂恵)である。

非エスパーでは、嘉郎の同級生で、頭の中にエロ以外は何もないヤス(柄本時生)や、嘉郎のエロい両親(イジリー岡田と筒井真理子)もテレビに引き続いての出演となる。

しかし、テレビでは紗英が浅見教授の娘であることは終盤まで伏せられていた(ま、どちらも「浅見」姓であることに気づけばすぐにピンと来るのだが)のだが、映画ではいきなりバラされる。

それはあくまで一例でしかないが、ことほどさように映画版では作りが淡白で、その点が面白みに欠けてしまうのである。

それから、紗英もまた、映画でも引き続いてパンチラ連発だった(これはよく頑張ったと思う。真野恵里菜と夏帆のパンツが見えるというのがファンにとっては驚異的なサービスであったのだから)が、テレビ版の紗英はもっとタカピーで意地の悪い女であった。その辺の描かれ方も随分平板になってしまって残念ではある。

ストーリーはテレビも映画も茶番の一言に尽きる(笑) それだけにディーテールを楽しむのがこの作品だと思うのだが、そこが少し薄くなってしまった。

ただ、サービス精神旺盛な園監督は、どの映画を観ても同じような役者が出ていると思われるのを嫌って、まだあまり名の知られていない俳優(とりわけグラビア系の美女)をてんこ盛りに投入してきたので、まあ、そういう楽しみ方はある。

前述のとおり、ここにひとりぐらい AV女優を入れて強烈な演出をしても良かった気がしないでもないが。

テレビ版では高橋優の OPテーマ、石崎ひゅーいの EDテーマなど、非常に音楽が良かったのだが、これは映画でも引き継がれている。その2人の曲が劇中に出てくるだけでなく、なんと EDテーマは岡村ちゃんである。

タイアップ取れちゃったから嫌々エンディングで流しているというのではなく、園子温自ら岡村靖幸に依頼したというだけあって、見事に内容にマッチした、めっちゃナイスなファンク・チューンである。最後の最後まで盛り上がった。

まあ、テレビ版のファンだった人ならそこそこ楽しめるというのが、僕のまとめかな? 観なきゃ良かったというような思いは全くない。パンフの表紙デザインがテンガ柄なのは(電車の中で広げるのも憚られて)困ったけど(笑)

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