映画『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』
【8月1日特記】 映画『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』を観てきた。
まだ part1 が終わったところなので、総括的に語るべきではないと思い、感じたところを断片的に書く。
まず思ったことは、「これは原作のファンが怒るぞ」ということ。
初めに断っておくが、僕は特段のファンではない。原作は第1巻しか読んでいない。テレビアニメは1回も観ていない。そのテレビシリーズの総集編である劇場版は前後編ともに観た。
だから、原作がどうなっているか、つぶさには知らない。ただ、原作に割合忠実であるとされていたテレビアニメとは大きく設定が異なっている。
まず、オープニングで少し描かれているとはいえ、エレン(三浦春馬)とミカサ(水原希子)の少年時代から決定的に変わらない関係性が描かれない。いや、そもそもストーリーが全然違う。
ミカサは一旦行方不明になり、再び現れた時にはエレンとはむしろ対立的な位置に配されている。これはないんじゃないの?という感じ。
映画オリジナルの登場人物がたくさん出てくる。まあ、それは良い。しかし、例えば原作のリヴァイと同じような立場の人間が出てきながら、それはシキシマ(長谷川博己)という別人格に置き換えられている。それもどうよ、と思う。
そして、エレン、ミカサを含めて、原作と同じ名前で出ている登場人物たちも、名前だけを共有していて、人となりが微妙に違っていたりする。特にアルミン(本郷奏多)の弱さがあまり描かれない。うーむ。
でも、パンフレットを読むと、これは樋口真嗣監督が原作者の諫山創に頼み込んで変更を許可してもらったのではなく、第一稿を読んだ諫山のほうから「原作の縛りを一度取り払って考えたほうがいいものができるんじゃないですか」と提案したと言う。
その時の諫山がどんな心境であったのかはそこには書かれていない。でも、僕はなんか深読みしてしまうのである。僕が深読みするぐらいだから、原作のコアなファンはもっと深読みしてしまうのではないかという気がする。
そんな中でハンジ(石原さとみ)だけは見事だった。いや、原作に忠実かどうかという観点から言っているのではなく、これは明らかに女優・石原さとみの新機軸だった。こんなに弾けた石原さとみを僕は観たことがない(笑)
さて、物語の話はこの辺で措くとして、伝統的な特撮と CG を合わせた「ハイブリッドVFX」の出来は、まあ、そういうのが専門の樋口監督だけに、実にレベルの高いものになっている。
予告動画がネットに上がった途端に「見た目の速度が遅い」と大勢のファンに叩かれた(確かに僕も最初に観た時は「なんか、まったりしてるな」と思った)立体機動は、映画本編ではもう少しバリエーションが増えたこともあって、特段気にはならなかった。
そして、巨人たちの食肉行動は、アニメよりもはるかにグロくてはるかに怖い。お陰で襲われるほうの人間たちのパニック感も増幅して描かれる。これが今回のこの映画化の最たる成功面ではないだろうか。
それは巨人たちの食いちぎるという行為を前面に押し出したことにもよるのだが、表現は全般的にアニメよりもえげつなくなっている(ただし、一緒に観た妻は「それまでずっと食いちぎってたのに、どうしてエレンだけ丸呑みするの?」と訝っていたがw)
そういうわけで、大迫力の娯楽作品になっていたことは確かで、原作を全く知らない人には恐らく何の不満もないだろう。
原作との違いが割合気になってしまった僕も、とは言いながら間違いなく part2 を、また夫婦2人して観に行くことになるだろう(笑)
続編が楽しみである。
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