『赤々煉恋』(映画)
【5月25日特記】 WOWOW から録画しておいた映画『赤々煉恋』を昨日観た。2013年に見逃した小中和哉監督の作品。
あの時はまだ名前も知らなかった、ブレイク前の土屋太鳳が女子高生・樹里の役で主演している。
が、僕にはどうも彼女の魅力が分からない。この映画でもそうだった。個性的なのは良いと思うが、好き嫌いの分かれる女優ではないだろうか。
冒頭、巨大マンション、と言うよりむしろ団地と言ったほうが良い建物の風景が美しい。こういうところに住みたいと思うかどうかは別として、僕はこういう都市の建造物を美しいと思う。
横断歩道の真ん中で中央分離帯の切れ目に座る土屋太鳳のシーンなどもそうだが、この映画はそういう都市(大都市ではないかもしれないが)の美しい景観をしっかりと捉えていて、そういう印象が一番強い。
ストーリーとしては、自殺した女子高生・樹里の話だということもあって、やりきれない読後感の残る作品だった(ちなみに、これは貶して書いているのではない)。
見終わってから調べたら、原作は朱川湊人による短編ホラー小説だというから驚いた。多分、原作のトーンを引き継いだのだろうと思う。
ただ一点割り切れなかったのは、そのトーンに時々ぶれがあること。「虫男」の振舞いや、樹里が喫茶店でカップルの喧嘩を目撃するところなどにコミカルな味付けがある。
特に樹里の行動にはコミカルな色合いは要らなかったのではないかな。
そう、全体に霜が降りた地面のような、重くてしっとりとしたトーンの効いた映画だったと思う。
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