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Friday, March 20, 2015

『予告犯』業務試写会

【3月20日特記】 今年6月6日公開の映画『予告犯』の業務試写会に行ってきた。出資している会社の社員が書いているので割り引いて読まれても仕方がないが、今回は珍しくかなり気に入った。

ただ、隣で観ていた女性の同僚は「全く共感する部分がなかった」と言っていたので、一般論としてはあくまで男性向きの作品なのかもしれないが(笑)

でも、ストーリーそのものでこれだけぐいぐい引っ張って行ける作品には久しぶりに出会った気がする。素晴らしい構成の物語である。

で、この作品も(社内で初めに説明を聞いたのが何ヶ月も前だったということもあって)監督が誰だったのか思い出せないまま観に行ったのであるが、エンド・クレジットを見たらなんと、僕が敬愛して止まない中村義洋だった。

ああ、なんだ、出来が良いはずだ、と思った。

原作は筒井哲也の漫画。脚本は『ルート225』以来中村監督と何度もコンビを組んでいる林民夫。この脚本は見事だった。

ネット上で犯罪の予告をする男。新聞紙で作った頭巾を被っているのでシンブンシと呼ばれている。最初はネット上で炎上した不届きな奴らを懲らしめる程度であったのが、ついに実在の政治家を「抹殺する」と言う。

捜査に当たる警視庁サイバー犯罪対策課の吉野絵里香捜査官(戸田恵梨香)は、極めて正義感の強い、東大卒のエリート。映画はシンブンシと吉野チームのかけひきを軸に展開する。

ところが、ネット上や目撃情報によるシンブンシはやたらと背が高かったり太っていたりして人物像が一定しない。どうやら複数の人間が協力しているらしい。

そう、シンブンシの正体は、もっぱらネット上に姿を現しているゲイツ(コンピュータに詳しいので仲間内ではそう呼ばれている)(生田斗真)の他に、長身の関西人カンサイ(鈴木亮平)、太ったメタボ(荒川良々)、メガネの元ニート・のび太(濱田岳)が加わった4人のチームだった。

映画は、この4人がどうして結びついたか、何故そのような犯罪に手を染めるようになったか、などを振り返りながら、シンブンシ一味の本当の狙いを伏せたまま、警察と犯人の知恵比べを描いて行く。この辺の構成が実に巧みである。

そして、警察内部で吉野らと微妙に対立する公安の連中や、シンブンシ一味への意外な協力者を登場させ、さらにそこに吉野の生い立ちなども絡めて、物語の進行に次々にうねりを加えて行く。

生田斗真の元上司役で出演している滝藤賢一がやたら憎たらしかったりもして、僕はいつの間にかシンブンシに肩入れしながら見ているのだが、映画の中でも弱者の味方として、次第にシンブンシの人気が上がって行くのが描かれる。

それに対して、吉野は何でもかんでも社会のせいにして逆恨みし、挙句の果てにヒーロー気取りの奴らが許せない。もう少しで捕まえるところまで追い詰めながら逃げられ、カリカリ来ている。

それぞれの人物がよく描けている。俳優たちもそれに応える名演である。最後の荒川良々の泣き笑いなんて、他の役者には到底真似のできない顔だろう。ビニール傘を持ったのび太にカンサイが「なんや、今日は雨降るんか」と訊くところなど、台詞としても冴えている。

で、伏せたままにしていた謎が最後の10分か15分で一気に明かされ、大きな展開の後、大きな余韻を残して物語は閉じる。結構カタルシスがある。

「社会派」と言うほど説教臭くならずに、上手に社会問題を織り込んだ犯罪エンタテインメントになっている。うん、これはいいぞ、と僕は思った。

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