青春ドラマ考
【3月1日特記】 キネマ旬報ベストテンの順位を検証した時にも書いたが、青春映画に対する世間の評価というものが押しなべて低いように思う。特に主役にアイドルっぽい役者を起用していると、それだけで舐められるような気がする。
そんなことを思いながらふと気がついたのだが、それは裏返せば、僕が青春ドラマを好きだということだ。世間一般の大人たちに比べて。
いい年をしたおっさんが、と言うか、もうそろそろじいさんに近づきつつあるおっさんが、いつまでも青春ドラマなんて、一般的にはあまりないことなのかもしれない。
そう言えば僕の父親もそんなものは見ようとはしなかった。いや、彼はテレビドラマ自体を嫌っていた。「嘘くさい」と言って。
いや、僕だってそりゃ嘘くさいドラマは嫌いである。しかし、テレビドラマは、あるいは青春映画は嘘くさい、というのは偏見でしかない。安っぽい子供だましのドラマがある一方で、シビアでリアルなアイドル青春恋愛ドラマというのも立派に成立するのである。
あるいは、この歳になってそんな青臭いものは見たくない、などと言うのだろうか?
まあ、確かに青臭いかもしれない。しかし、それは単なる色合いである。それを嫌うのは「青系の服は着ない」と宣言するようなものだと思う。
そんなものはもう過ぎたことだ、と言いたいのかもしれない。
うーん、みんなそんな風に感じるのかな? 僕は自分が青春時代と何も変わっていないように感じる。
いや、言葉尻を捕えられる前に訂正すると、確かに同じじゃない。変わっている。あの頃の感受性は今の僕にはもうない。そして、逆にあの頃の自分にはなかった何かが(贅肉以外にも)今は身に付いているとも言える。
でも、少なくとも異次元ではない。違う階層でもない。それは今と地続きである。
随分遠く離れてしまったかもしれないが、そこには僕の根っこがある。そこから僕は、どんなに変化しても、決して途切れることなく伸びてきた。
だから、青春ドラマを見ることは、僕にとって今の自分の座標を確かめる作業になる。それは決して嘘くさい作業ではない。
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