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Saturday, February 28, 2015

映画『くちびるに歌を』

【2月28日特記】 映画『くちびるに歌を』を観てきた。

僕は三木孝浩監督の劇場用長編映画については、デビュー作の『ソラニン』以来、『管制塔』を除く全ての作品を観てきたのだが、この監督、見れば見るほど好きになってしまう。

今回もとても良い映画だった。

まず、舞台が良い。良いと言うのは映画向きだという意味で。

舞台は島だ。島の高台から見下ろす港の画とか、海岸沿いのくねった道路とか、とても絵になる。そして学校だ。他のところにも書いたが、学校というロケ場所は高さも奥行きもあって、風景の中に人工的な幾何学が埋まっているのが美しい。

しかも、その島は長崎の五島列島だ。キリスト教の古い歴史がある。主人公が通う教会がある。教会もこれまたとても絵になる建物である。

その島に通うフェリーの甲板上から右手に流れる向こう岸を狙ったのがオープニングの構図。向こう岸を見せたいのではない。甲板上のベンチに横たわる女性の後ろ姿を見せている。

それが島の中学に赴任してきた音楽教師・柏木ユリ(新垣結衣)。彼女の中学の同級生で、生まれ故郷のこの島で音楽教師をしていた松山ハルコ(木村文乃)の産休代用教員である。

音大出の、元は有名なピアニスト。それが「ピアノは弾かない」という約束でやってきた。生徒たちに「テキトーによろしく」などという挨拶をする。ふてくされている。ピアニスト時代に何かあったらしい。

柏木は松山が顧問を務めるコーラス部の指導も引き継ぐことになった。

部長は仲村ナズナ(恒松祐里)、しっかり者のツインテール。両親はおらず祖父母と暮らしている。コーラス部には元々女子しかいなかったが、美人の先生が来たというので、冷やかし半分に男子が何人か入部してくる。

その中の一人(と言っても彼は柏木先生目当てではなく純粋にコーラスに魅せられて入って来た)が、声変わり前の、背も伸びきっていない、本当に華奢な中学生体型の桑原サトル(下田翔大)。

サトルには自閉症(と言うより、知的障害に見える)の兄・アキオ(渡辺大知)がいて、毎日サトルが送り迎えをしている。

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Thursday, February 26, 2015

Chrome の右クリックから保存しようとするとフリーズする

【2月26日特記】 僕はブラウザは主に Google Chrome を使っているのだが、時々フリーズしてしまうことがある。それは右クリックから「名前を付けて保存」メニューを選択した時である。

「画像を保存」でも「リンク先を保存」でも良いのだが、ともかく「名前を付けて保存」しようとすると、エクスプローラが保存先を表示しようとしたところでフリーズして、にっちもさっちも行かなくなる。

そうなると Chrome を強制終了するしかなくなるのである。開いていたタブは全てパー(ま、今の Chrome は賢いから、再起動したらちゃんと復元してくれるけど)。

これが、どういう条件の時にそうなるのか分からない。決して毎回ではない。ただ、僕としてはそんなにしょっちゅう使う機能ではないのでついつい忘れてしまって、いざ保存しようとしたらフリーズするもんだからストレスが溜まるのである。

で、僕だけなのかどうかググってみたら、これは Chrome の代表的なバグのようだ。しかも、結構古い記事も出てくるので、昔からあるけどちゃんと解決できないままになっているバグのようだ。

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Tuesday, February 24, 2015

体重計の予断

【2月23日特記】 このブログにも書いたことがあると思うが、僕は毎日入浴後に体重を測っている。

最近の体重計は単なる体重計ではなく体組成計なのでいろんなものが測れる。体脂肪率とか、体水分率とか、推定筋肉量とか、基礎代謝量とか。それらのデータの一部を僕は iPhone に入っているヘルスケア・アプリに記録している。

毎日眺めていると日々の推移はそれなりに納得の行くものであったのだが、それがある日突然、体脂肪率が一気に7~8%も上がってびっくりしたのである。

おかしいと思って測り直してもほぼ同じ値。そんなに脂肪分採ったかなあ? 甘いものをドカ食いしたわけでもないし…、と思い当たるフシがない。

しかし、翌日も、翌々日も体脂肪率は増えたまま。もっと言うと、推定筋肉量もかなり、5%以上落ちている。推定骨量と基礎代謝量は変わらない。なんじゃ、こりゃ、ひょっとして未知の難病か何かか!?と怖くなる。

ところが5日目にやっと気づいた。先日体重を測ろうとした時に間違って設定画面を呼び出してしまい、すぐにキャンセルしたつもりだったのだが、その時に不要なボタンに指が触れてしまったらしく、僕の性別が「女」になっていたのだ。

で、設定を戻したら、全てが元の水準に戻った。おかげで僕の体脂肪率グラフはこんな形になってしまった(笑)

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Monday, February 23, 2015

映画1000本ノック

【2月23日特記】 昨日観た『悼む人』が、僕が生涯映画館(もしくは試写会場)で観た1000本目の映画となった。

あれ?ブログにちょくちょく記事書いてる割にはまだそんなもんかい、と言われるかも知れないが、年間50本ペースで観るようになったのはここ数年のことである。

前から映画をよく観ていたからブログを始めたのではなく、ブログを始めてから暫くして映画の本数が増えてきたので、漸く映画の記事を書き始めたというのが正しいところである。

それ以前は、「ある程度のボリュームがないとコンテンツにはなり得ない」と思っていたので、映画を観ても記事にはしなかったのである。

僕は人生の目標みたいなものを立てるのが大っ嫌いなのだが、映画に関しては珍しく目標があった。それは「50歳までに500本」というものであった。

これもテレビやビデオで観たものは含まずに、あくまで映画館や試写室で観たもののカウントである。

そういう区別をしていたのは、当時「人物が実物より大きく映るのが映画、小さく映るのがテレビ(ビデオ)」という捉え方をしていて、やはり自分より大きな人物を見たいという思いから、映画館で観ることを一段上に置いていたからだ。

今ではテレビがかなり大型化、高精細化したので、そういう意味で区別する意味合いは薄れてきたが、いまだに僕はその定義に基づいて、映画館や試写会で観たものだけをカウントしている。

「よくもまあ生涯の記録があったものだ」と言われるかもしれないが、そこは生来の記録好きである。中学以降はかなり正確な鑑賞記録が残っていた。ただし、大学受験の浪人時代がきれいに抜けていた。それから、小学校時代の記録もない。

空白の時代については記憶を頼りに遡った記録を復元してみた。これは我ながら少し怪しい気がする。しかし、観たのに忘れていることはあっても、観てもいないものを観たと勘違いしているケースは少ないだろうから、そこそこ真実に近いのではないだろうか?

そう考えると、多分昨日の映画が1000本目なのではなく、もう少し前に1000本を達成しているのではないかという気もするが、まあ、どっちでも良い(笑) そこにそんなに拘る気もない。

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Sunday, February 22, 2015

映画『悼む人』

【2月22日特記】 映画『悼む人』を観てきた。

天童荒太という人の小説は読んだことがない。どうも力が入り過ぎのような気がして、却々読む気にならないのである。それでもこの映画を観たのは、堤幸彦が監督をしているからである。

堤幸彦の作品は何本か観ている(そのうちの『包帯クラブ』は同じく天童荒太原作だったということには見終わってから気づいた)が、今まで「これは失敗だった」と思った映画は1本もなかったので。

で、結論から言うと、面白かった。力は入り過ぎではなかった。むしろ、うまく力を削ぎ落としてあった。

自身が映画監督でもある大森寿美男の手がけた脚本が目を瞠る出来なのである。登場人物の多い、入り組んだストーリーだが、それぞれの人物造形がしっかりしており、エピソードの構成も見事に整理できている。

映画の冒頭、旅の風景をバックに、<悼む人>の声が右のスピーカーからぼそぼそ、左のスピーカーからぼそぼそ、ひとりの人間の2つの声が重なりながら移り変わって行く。

個別具体的には違っていても、<悼む人>は常にこんな風に言う:

あなたは誰々に愛され、誰々を愛しました。これこれをして皆に感謝されました。そんなあなたが生きていたことを、私は覚えておきましょう

<悼む人>は坂築静人(高良健吾)。

彼は大好きだった祖父の死をきっかけに人の死に対して強い意識を持つようになり、親友が死んだ時に何もしてやれなかったこと、そして、1年後にはその彼の死を忘れてしまっていたことに気づき、激しく自分を責め始める。

やがて彼は、日本中を野宿しながら、自分とは縁もゆかりもない人の死を悼む旅を始める。自分を責めれば責めるほど、人生は重苦しいものになり、がんじがらめになり、悩みが悩みを深めてしまう。

そのことを静人自身が認識していること、そして、映画がそれをちゃんと描いているところが良かったと思う。

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Saturday, February 21, 2015

映画『でーれーガールズ』

【2月21日特記】 映画『でーれーガールズ』を観てきた。

最初に観た作品、それも監督デビュー作かそれに近い時期の作品が、ずっと頭から離れないことがある。年間ベストテンに選ばれるほどの作品だとまでは思わないのだが、不思議に心の奥底に沈み込むように残る作品。

僕にとってそれは、例えば飯塚健監督の『放郷物語』であり、安藤桃子(当時はモモ子)監督の『カケラ』であり、そしてこの大九明子監督の『恋するマドリ』だった。

その後の大九監督作品では『モンスター』を観ている。これは結構キワモノっぽい映画であった。今回のような映画が多分大九監督が一番得意とする題材なのではないかなと思う。

原作は原田マハ。この人の小説が映画化されたものとしては『ランウェイ☆ビート』がある。僕は良い映画であったと思うのだが、評判にはならなかった。

この『でーれーガールズ』もそうなのだが、あまり劇的な事件は起こらない。描かれているのはありふれた青春の、しかし、ありふれているからこそ普遍的な青春の痛みである。

ここで登場人物たちが悩んだり苦しんだりしているようなことは、大人の眼から見れば「つまらないこと」と集約できるかもしれない。

現に今の僕らは日常生活でこの程度の行き違いや悲しみに遭遇しても、簡単にそれをなかったことのようにして、明日を迎え、明日を暮らしている。そんな風にして、僕らが置き去りにしてきた青春時代の敏感な感性がここでは見事に描かれている。

女子高生同士の友情、というか、友だちづきあいというのは僕にはよく分からない。でも、ああ、こういうのあるだろうな、と思う。男子高校生にはなかったことかもしれないが、でも、青春期にはみんなが共有した類の思いではある。

とはいえ、セーラー服をめぐるいろんなエピソードなんて、とても男性には書けない話である。その辺りのディーテールの確かさが映画のリアリティを支えている。

そして、『モンスター』でもそうだったのだが、女の人にしか多分撮れない画がここにはある。例えば、ホテルに着いた佐々岡鮎子(白羽ゆり)がベットにうつ伏せに寝そべって膝を曲げて足を浮かせているところを足の側から撮っている。

ああ、このアングルは男には無理だなあと思った。

学校というのは映画には持って来いのロケ場所であり、そこでは高さと奥行きを活かしたいろんな画が撮れる。川とか橋とかも同じ条件である。中村夏葉のカメラはそれを巧みに切り取って本当に綺麗な画を撮っている。

調べてみたら『三年身籠る』のカメラマンである。あの時の自分の映画評を読み返してみたら「奥行きの深い、重層構造の構図」「短めのカットで繋いで行く手法」などと書いていて、当時も印象に残ったようだが、今回も同様の趣向である。

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Thursday, February 19, 2015

2/19サイト更新情報

【2月19日特記】 サイトを更新しましたのでお知らせします(このブログではなく、併設している私のHPの更新案内です)。

今回はレギュラーのことばのエッセイの更新のほかに、ちょこちょこした手直しの類がいくつかあります。

まずことばのエッセイは、随分前にこのブログにも書いたエピソードを含む、漢字の憶え方についてのものです。

それ以外では、ひとつめは読書コラムへの加筆。これは村上春樹の短編集を読み終えたので、それに従って読書コラム末尾のリストにリンクを追加したもの。

それから、継続的に更新している「転調名曲リスト」に2曲を加えました(例によって、それがどの曲なのかは書きませんがw)

というわけで、今回の更新は下記の通り:

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Wednesday, February 18, 2015

モラハラと上から目線と昔の人を考える

【2月18日特記】 セクハラ、パワハラ、マタハラは知っていたが、世の中にモラハラなるものがあることはつい最近になって知った。

モラル・ハラスメントというのは、いろいろ読んでみると却々複雑なもののようだが、解りやすくちょっと乱暴に言ってしまうと、価値観の押しつけを伴う精神的暴力である。

自分が正しいと思い込んでいることが実は間違っているかもしれない、あるいは、自分には当てはまっても他人には当てはまらないかもしれない、という想像力が働かず、自分の幼稚な正義を押しつけて他人を支配し、罠に嵌めるような物言いで操作しようとするらしい。

しかし、考えてみたら、僕らが通っていた頃の学校の教師や、入社した頃の会社の上司にはそんな人は山ほどいたような気がする(笑)(いや、笑っている場合ではないか)

僕らはそれに耐えるしかなかったのであるが、こうやって公の名前をつけてくれると糾弾しやすくなる面がある。ある意味「上から目線」と同じようなものかもしれない(それよりは遥かに深刻なものなのだろうけれど)。

僕らは上から目線にも耐えるしかなかった。と言うか、まあ、そこにはそれほどの抵抗感もなく、上の人が上から目線なのは当たり前だ、仕方がないという、どちらかと言えば大らかな気持ちがあった。

自分が少し上の立場に立った時も、多少上からの物言いをしたほうが良いのだろうけれど、一体どういう言い方が良いのかな、などと真剣に考えたりもしたくらいだ(笑)

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Monday, February 16, 2015

「キネマ旬報」2月下旬号(2)

【2月16日特記】 さて、皆さんお待ちかねの(なわけないかw)キネマ旬報日本映画ベストテン採点表の分解と分析をやります。

キネ旬の投票は各審査員(2014年度の日本映画なら「本誌編集部」を含む59人)がそれぞれ55点を持って、1位には10点、2位には9点、3位には8点、…、9位には2点、10位には1点を投じるシステムです。

これを、1)何人の審査員が投票したか、2)投票した審査員1人あたりの点数は何点か、を調べて「得点=○人×平均△点」という形に分解してみるのです。

そうすることによって、a)それぞれの点数はそれほど高くなくても多くの審査員が投票している=広く人気のあった作品と、b)投票人数は少ないがそれぞれが高い点数をつけている=思い入れ度の高い作品を見極めようという試みです。

毎年書いていますが、統計学的には決して正しい手法ではありません。しかし、1位から10位までに限定して、大まかな傾向を見ようとするのであれば、そこそこ適当な方法ではないかと思っています。

さて、2014年度ベストテンは、

  1. そこのみにて光輝く
    314点=41人×7.66点
  2. 0.5ミリ
    222点=34人×6.53点
  3. 紙の月
    162点=26人×6.23点
  4. 野のなななのか
    134点=18人×7.44点
  5. ぼくたちの家族
    128点=23人×5.57点
  6. 小さいおうち
    107点=16人×6.69点
  7. 私の男
    97点=15人×6.47点
  8. 百円の恋
    94点=17人×5.53点
  9. 水の声を聞く
    70点=14人×5.00点
  10. ニシノユキヒコの恋と冒険
    67点=9人×7.44点
  11. 蜩ノ記
    67点=11人×6.09点

となりました。

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Sunday, February 15, 2015

「キネマ旬報」2月下旬号(1)

【2月15日特記】 今年はすっかり忘れていて遅くなったが、例年通り『キネマ旬報』2月下旬決算特別号のランキングと、僕が 12/28 に書いた「『キネマ旬報ベストテン』の20位以内に入ってほしい邦画10本」の突き合わせをする。

キネ旬10位以内との突き合わせは 1/8 の記事に書いたので、今回は第12位(第10位が同点で2作品あったので)以降の検証になる。

ちなみに、キネ旬ベストテンには、僕が「20位以内に入ってほしい」と思った作品のうち4本が入った。ところが、そこから先がいけない。

結論から先に書くと、12~20位に入ったのは第14位の『舞妓はレディ』だけで、今回はトータル5本に終わってしまった。特に今回に関しては我ながら落胆が大きい。

まずは、例年通り、僕が「20位以内に入ってほしい」と思ったけれど入らなかった残り5本の結果から見て行きたい。

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Saturday, February 14, 2015

映画『味園ユニバース』

【2月14日特記】 映画『味園ユニバース』を観てきた。

僕は監督が誰かを確かめる前にその映画を観ようと決めることはまずめったにないが、この映画はポスターを見た瞬間にそう決めた。

二階堂ふみの姿。そして、画面全体のこの色合い。その中に、見覚えのある「味園」の電飾看板。

僕らの年代の関西人なら、間違いなく子供の時にその老舗キャバレーの安っぽい CM を見たことがあるはずだ。そして、大人になってミナミを歩いている時に、「あ、味園って、ここにあったのか!」と驚いた経験もあるはずだ。

今はキャバレーではなく貸しホール「味園ユニバース」になっている。僕もキャバレー時代は知らないが、多目的スペースになってからイベントで一度入ったことがある。

そして、ポスターの文字列の中から監督名を探すと、これが山下敦弘である。もう何が何でも観ると、その瞬間にさらに固い決意をしたのであった。

しかし、これは物語を期待して観る映画ではなかった。最初にそのことを書いておく。でないと観に行って肩透かしを食う観客も多いだろうから。

と言いつつ、映画の始まりはその後の劇的な展開を大いに期待させる、謎に包まれたものとなっている。

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Thursday, February 12, 2015

『ブルージャスミン』

【2月11日特記】 WOWOW から録画しておいた『ブルージャスミン』を観た。ウディ・アレンの監督作品を観るのは随分久しぶりである。

アカデミー脚本賞にノミネートされたほか、数えきれないくらいの賞を獲った映画だから、僕が今さら語ることもないのだが、まあ、驚くほど衒いのない、堂々たる会話劇であった。

で、話がどうしようもなく哀しい。

主人公のジャスミン(ケイト・ブランシェット)がセレブから転落する話(と言うか、転落した後の話、回想込みの)なのだが、実は転落する前には里子に出されたところから這い上がってきた過去があり、それも含めて見ると、結局のところどの男にくっつくかということに尽きるのである。

そこが一番哀しい。そして、ジャスミンだけじゃなくて、妹のジンジャー(サリー・ホーキンス)の人生もまた、男次第ではないか!

日本よりずっと進んでいるはずの、女性の自立は一体どこへ行ったのだろう?

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Wednesday, February 11, 2015

Negative

【2月11日特記】 最近、と言うか、ここ数年の間に気づいたのですが、僕には嫌いなものが多いみたいです。いや、食べ物の話ではなく、例えば音楽とか、映画とか。

僕には、いくらタダ券があってもコンサートに行きたくないアーティストがいるし、ちょっとその人は勘弁して下さいという映画監督がいます。その人の著書を2度と読む気がない作家がいます。

これがどうやら、他の人にはない、とまでは言わなくても、そんなに多くはない、あるいは、そんなにくっきりとは存在しないらしいということに気づいたのです。

これはとても不思議です。

だから僕は、誘われても、勧められても、タダであげると言われても、どうしても受け入れないものがあるのだけれど、他の人は友だちが良いというものを割合すっと受け入れているみたいで、僕としては少し怪訝に思うのです。

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Monday, February 09, 2015

『女のいない男たち』村上春樹(書評)

【2月9日特記】 村上春樹の本であればいつもは買ってすぐに読み始めるのだが、珍しく放ってあった短編集を読んだ。僕が長編好きで、短編にはあまり食指が伸びないということもある。

この本には珍しく村上春樹によるまえがきがついている。それを読んで初めて、あ、そうか、最初の収録作品である『ドライブ・マイ・カー』は、北海道の実名の地名を使っていて苦情が寄せられて、その部分を書き換えた例の小説なのだと気づく。

2作目も同じくビートルズ・ナンバーのタイトルが付いた『イエスタデイ』である。まえがきによると、こちらは歌詞をもじった部分について、「著作権代理人」から「示唆的要望」を受けて、少し書き換えたと言う。

村上春樹も仕事がしにくい時代になってきたものである。

この短編集にはテーマがある。それがタイトルになっている「女のいない男たち」である。

といっても、「彼女いない歴○○年」の男たちの話ではない。ここでは、死別も含めて、何らかの事情で、何らかの形で女と別れてしまった男について書いてある。6人の男について、女がいなくなったあとの、あるいはいなくなった瞬間の6つのケースが描かれている。

それは「喪失感」とひとまとめにしてしまえるほど単純明瞭なものではない。

特に短編ではとても大事なテクニックだと思うのだが、書ききらない良さというものがある。細部まで説明しきって描き尽くしてしまわないことによって、読者が読後に考える領域が増え、考えが深まる。──それはひとことで「余韻」と言っても良い。

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Sunday, February 08, 2015

映画『繕い裁つ人』

【2月8日特記】 映画『繕い裁つ人』を観てきた。三島有紀子監督。

『しあわせのパン』を見て、「これはひどい映画だ! この監督の作品は金輪際見ないぞ」と思ったのだが、映画評に関してはかなりの信頼を置いている知人がこの映画を褒めていたので、気を取り直して観に行った。

が、結論としては、あまり共感は得られなかった。綺麗な映画ではあるが。

家に帰ってから気づいたのだが、多分僕は『しあわせのパン』の時にも同じ知人の文章に騙されて見たのである。あの時ほどの激しい嫌悪感はないが、これは僕にはお呼びのない映画である。

いや、あの時にも書いたが、僕がこの監督にはお呼びでないのだろう。何にでも相性というものはあるので仕方がない。

今回は大ヒット漫画が原作ということで、オリジナル脚本であった『しあわせのパン』と比べるとしっかり地に足の着いたストーリーにはなっているが、逆にその分原作の強烈さに引っ張られてうまくまとめられなかった感じがする。

林民夫というのはとても良い脚本家だと思うが、今回は型紙通りには裁てたものの、裾がうまく繕えなかったのではないか。

近隣で有名な仕立屋であった祖母の跡を継いで、祖母のやり方そのままに注文生産を続けている、「頑固ジジイのような」洋裁家・南市江を中谷美紀が演じている。

そして、その細々とした仕事をブランド化して儲けようと、彼女の洋裁店に通いつめているデパートの社員・藤井を演じているのが三浦貴大である。

藤井は最初市江の保守性に反感を持ちながら接しているが、いつの間にか彼女の仕事に魅了され、彼自身も自分の人生を考えなおすようになるというようなストーリーである。

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Saturday, February 07, 2015

映画『深夜食堂』

【2月7日特記】 映画『深夜食堂』を観てきた。原作の漫画は読んだことがないが、テレビドラマは3シリーズ30本を欠かさず観てきた。

監督は3つのテレビ・シリーズで必ずトップとトリを担当してきた松岡錠司(全部で14話を演出している)。

松岡錠司と言えば必ずと言っていいほど“『東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~』の”という修飾語が付くのだが、僕には『バタアシ金魚』や『きらきらひかる』などの初期の作品の鮮烈な印象が残っている。

脚本は松岡監督自身と、それから松岡と映画『歓喜の歌』で、またこの『深夜食堂』テレビ版でも何度となく組んできた真辺克彦、そして、その真辺の弟子筋に当たる小嶋健作である。

オープニングは映像・音楽ともテレビ版と同じものを使っている。でも、さすがに映画館の音響設備で聴くと我が家のテレビで聴いているより音に広がりがあるなあ、などと思いながら観ていたら、マスター(小林薫)の顔の傷跡がテレビの時よりくっきりしている。

これは何故なのだろう?

そして、テレビでは映らなかった深夜食堂の裏口や二階、そしてマスターの自宅なども舞台として使われており、こんな風にセットが拡大してロケも入ってくるとさすがに映画的な広がりが出てくる。

でも、まあ、それ以外はテレビと同じである。

一番懸念していたのは、テレビでは30分でやっているものを2時間に拡大して間延びしないかということだったが、そこは「ナポリタン」「とろろご飯」「カレーライス」という3部構成にして、それらを無難に繋ぎあわせている。

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Thursday, February 05, 2015

10m の不思議

【2月5日特記】 ちょっと必要があって、生まれてから今まで一度も使ったことのなかった銀行に口座を開いた。で、今日のところは別に1000円だけ入れておいても良かったのだが、考えるところがあって、他行から少しまとまったお金を移した。

そもそも行員の要領が悪いところに加えて、不必要な説明をいっぱい聞かされて、辛抱するしかないたくさんの確認事項にサインして、やっと手続きが終わったら、帰り際に粗品をくれた。

多分、預けた金額によって差があるのだろうが、今日もらったのはティッシュとクレラップとタオルである。で、クレラップは 22cm×10m。

うーん、なんだろうな、これは。

こんなものをもらうのであれば、ティッシュもタオルも要らないから、ラップを 22cm×50m、それが無理ならせめて 20m にしてくれないかなと思う。

それらを詰めてくれた紙袋も要らないから、裸でそれだけポンと渡されても構わないから、できるだけ長いクレラップにしてくれないかなと思う。

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Wednesday, February 04, 2015

2/4サイト更新情報

【2月4日特記】 サイトを更新しましたのでお知らせします(このブログではなく、併設している私のHPの更新案内です)。

このところあまり時間が取れなかったこともあって、今回はレギュラーのことばのエッセイ1編のみになってしまいました。ま、ぼちぼち書いて行きます。

今回は映画のタイトルから書いてみました。

というわけで、今回の更新は下記の通り:

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Monday, February 02, 2015

2014年度日本インターネット映画大賞(日本映画部門)結果

【2月2日特記】 いつもは投票しっ放しで結果については書いたことがないのだが、今年はあまりに面白い結果なので、ちょっと触れてみたくなった。

日本インターネット映画大賞の投票結果は今日時点ではまだまとまった形で発表されていないが、投票・告知ブログのほうでは邦画の10位から1位までがカウントダウン方式で順次発表されてきた。

僕はここのところ毎日 twitter で第10位から順番に見てきていて、実のところ第10位から第2位まで見て、第1位が何であるのか想像がつかなくなっていたのである。

で、今日とうとう作品賞の第1位に到達したのだが、それを見てびっくりした:

速報2014年度日本インターネット映画大賞日本映画部門作品賞1位は『超高速!参勤交代』に決まりました

とあるではないか。何この意外性!

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Sunday, February 01, 2015

忙しい一日

【2月1日特記】 多少前後するが、毎年今ごろの土日に忙しい日が来る。それは年賀状を整理する日である。

そう、お年玉の当選番号を照合して景品に替えた後のタイミングである。

皆さん、年賀状はどうされているだろう? 何年分もずーーーっと置いていると言う人もいるだろうけれど、僕は住所録代わりに2年分取っておいて3年目に全部棄てる。

棄てる前にデータベースに記録を打ち込む。この人からは年賀状が来たのか来なかったのか喪中だったのか? 一方、僕(や妻)のほうは(と言っても、今ではこちらはクリスマス・カードだが)出したのか出さなかったのか?

前に何度も書いたことがあるが、僕が PC を最初に買ったのはデータベースを作りたかったからだ。住所録のデータベースと映画鑑賞のデータベース。だから、最初に買ったソフトウェアは Word でも Excel でもなく Access だった。

それで自分で構築したデータベースだから、いろんなクエリを組んでいろんな統計や分析ができ、そこからそのまま出したい人にだけ、僕または妻の名前、あるいは連名で、クリスマス・カードを印刷するところまで繋げていたりする。

そういう訳で、この時期データベースへの記録は欠かせない作業なのである。

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