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Monday, January 12, 2015

ドラマW『埋もれる』

【1月12日特記】 去年の11月に録画したまま放ったらかしてあったドラマW『埋もれる』を昨日漸く観た。これは第6回WOWOWシナリオ大賞を受賞した香坂隆史の脚本作品である。

さて、何に埋もれるのかと言えばゴミである。ゴミ屋敷の大量のゴミ。

ある地方都市の、「頭がおかしい」と言われている老婆(緑魔子)が独りで住んでいるゴミ屋敷。近所から苦情が絶えず、市役所も手を焼いている。何故彼女はゴミを貯めるのか?

というような話なのだが、そこに行き着くまでに別の長い話がある。

主人公は一部上場の食品会社に勤務する北見(桐谷健太)。彼の内部告発によって食品の偽装が暴かれるが、会社は体よくトカゲの尻尾切りで北見の部下を懲戒免職にし、北見については一応円満退社の形で辞めさせる。

北見は英雄気取りの馬鹿者扱いされ、みんなに憎まれて、妻とも離婚する破目に。娘も妻に奪われて、ひとり故郷に戻り、市役所の非常勤職員の職を得る。そして、その町にあったのがゴミ屋敷である。

そこで、北見は中学時代の元同級生2人に再会する。ひとりは職場の上司である加藤係長(水橋研二)、もうひとりは北見の初恋の人で、卒業式の日に告白したが振られてしまった浅尾葉子(国仲涼子)である。

北見は新しい職場に行ってもやはり以前と同じ正義感を捨てられない。しかし、市役所の連中は黒い噂のある市長(大友康平)の言いなりで、明らかに市長と業者の癒着に加担している。

だから、係長の加藤とぶつかり合うことになる。そして、理解してくれると思った葉子にもなじられてしまう。

物語はそういう人間模様の中から北見の成長を描くものかと思っていたのだが、あるところから突然サスペンスっぽくなってくる。と言うか、これはサスペンスだったのである。

そんなことを知らずに見始めたら(かく言う僕がそのひとりだが)、それまでの展開が長いだけに、下手したら途中で飽きて消してしまう人もいるだろう。これは最初からサスペンスと知って観るべきドラマであった。

で、いざサスペンスと判ると、頭の中でいろんな想像が働き始める。

葉子は夫が行方不明になったあと離婚している。北見はたまたま葉子の家を訪れた時に、葉子の息子に勉強を教えたことがきっかけで葉子との関係を深めて行く。

葉子の家の隣が例のゴミ屋敷である。主の老婆は誰ともまともに口さえきかないのに、葉子とだけは心を通わせている風である。

そして、ゴミ屋敷のボヤ騒ぎから意外な展開になる(まあ、放送後随分時間は経っているけど、一応ネタバレは避けて書かないことにする)。

これはちょっと普通のサスペンスとは違う。探偵がきれいに謎解きをして、ハイ一件落着、というような終わり方はしない。完全に描き切らないだけにやけに読後感が深く、それがいつまでも残る。

勘の良い視聴者なら、ある時点で「そういうことか」と気づく。と言うか、わざと気づかせる演出をしている。

しかし、すべての謎を解き明かすことはせず、一応何があったのかという事実は示して見せるが、そのときのそれぞれの人物の思いなどについては視聴者の想像に委ねられる。

北見が謎を暴こうとして予想を裏切られるシーンがとても怖い。でも、それは何もなかったということではないのだ。そのことは後に描かれている。最後まで見ると、途中にいくつも置かれていた布石に初めて思い当たる。

タイトルもやたら意味深長であったことに初めて気づく。

こういう受賞作は、往々にして作り自体はオーソドックスなものだが、この構成は非常にオリジナリティに溢れていて、人の心理の真相に迫っている。見事な作品だった。

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