機械の賢さ
【1月17日特記】 このところ妻の看病ばかりしてきたのだが、だいぶ良くなってきて、そこで初めて気づいたことがある。
妻の額や首筋を触ってみると明らかに熱も下がってきていて、「ああ、良かったね」と言って、念のために体温を測るとまだ37.7度もある。これはどうもおかしい。
ご存じの通り、電子体温計というのは実際の体温を測っているのではない。
いや、もちろん最初は実際の体温を計測するのだが、その上がり方のカーブから最終的な体温を予測しているに過ぎない。だからこそ、あんな短時間で結果が出るのである。
そういうわけだから、体温計の液晶部分を見ていると、最初は35.3→35.5→35.8などと割合細かく上がって行くのだが、途中から突然36.5→37.5などと急上昇するのである。
この部分が「予測」によって飛ばされているのだと思う。そして、最後にまたちょっと下がったところでピッと鳴る。最後に下がるのは微調整なのか?
測りなおしてもやっぱり37度台後半なので、納得できなくて、昔の水銀体温計を探し出してきた。
で、測ってみると37.0度。
どっちが正しいのだ? 僕の体感としては水銀が正しい気がする。水銀のほうは3分かけてじっくり測ってくれているので、そっちのほうが信用できる気もする。
もうちょっと値段の高い電子体温計に買い換えたら精度は上がるんだろうか? 詳しい人に訊いてみると、高級品でも原理は同じなので買い替えても改善はしないだろうとのこと。
うーん、困った。
さらに困ったことには、翌日の朝になって妻が「朝起きて楽になった」と言いながら、医院に行って体温測るとまたしても37.7度。そう、医院の体温計も電子体温計なのである。
今までそんなに不審に思ったことはなかったので、それなりに正しく予測はできるのだろうとは思う。ただ、今回の妻のケースは明らかにおかしい。それはどこかに計測のメカニズムが予測できない要素があるのではないか?
しかし、家はともかく医院の体温計も同じシステムで測っているとなると、いつの間にかこの予測値が本物の体温として認定されてしまうのではないか? そう思うと怖い気がする。
今回医者は他の検査結果と合せて「体温はまだ少し高いが、薬が効いて着実に良くなってきている」という判断をした。でも、ひょっとすると「いつまでも熱が下がりませんね。解熱剤を増やしましょう」などと言い出す医者もいないとは限らない。
体温計メーカーの皆さんには、計測時間の短縮競争に血道を上げるのではなく、正確性の向上に努めてもらうようお願いしたい。
機械の賢さを過信してはいけない。
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