動員の終焉?
【11月7日特記】 11/5 の全国民放大会のシンポジウムでのやりとりについて書き残しておきたい。さらっと流れて行ったので、あまり引っかかりを覚えなかった人がほとんどなんだろうけれど、僕は非常に強いショックを受けた。
それはコーディネーターを務めた津田大介さんと、パネリストのひとりであった博報堂ブランドデザイン若者研究所の原田曜平さんのとのやりとりだった。
原田さんは最近流行りの「マイルドヤンキー」というカテゴリを提唱した人物として有名であるが、肩書のとおりずっと若者の研究をしてきた人だ。
その時のテーマが何で、どんな流れの中での議論であったか、ちゃんと憶えていないのだが、シンポジウムの終盤で津田さんが「twitter を通じてそれが拡散して」という、いつもの津田さんの持論、と言うよりむしろ twitter の定説となっている論を展開し始めた。
するとそこで原田さんが割って入って、「津田さん、それは昔の話で今はそんなことありませんよ。若い子たちは鍵を掛けている子が増えてますし、不特定多数に広がって行くことはありません」と言ったのである。
津田氏の著書には『動員の革命』というタイトルのものがあり、これは言うまでもなく、「アラブの春」に代表されるような、twitter などのソーシャル・メディアを通じて人が集まり、それが現実社会を動かしたという事例を指している。
ところが、原田さんは津田さんに対して、日本の若者に限れば、「これはからは動員の革命など起こり得ない。彼らは自分の周りの、直接の友だちとしか接触しない」と全面否定したのである。
会場でそのことにピンと来た人はどれくらいいたのだろう? 僕はかつて津田さんの著書を何冊か読んで、なるほどその通りと頷いた口だからかもしれないが、大変大きなショックを受けた。
確かに最近 twitter では所謂「鍵をかけた」状態にしてツイートを非公開にしている人が増えている。
僕は twitter の魅力は「繋がって広がる」ことだと思っているので、ストーカー行為に遭ったなどのやむを得ない状況にある場合を除いては、あまり取るべき手段ではないと考えている。
でも、若者の間で、そういう閉鎖的な設定が半ば常態化しつつあるのも事実である。
僕は人を動かすのが人の仕事だと思っている。社会を動かすのが人生最大の醍醐味だと感じている。
しかし、原田さんの指摘が事実であるなら、今後人を動かす、社会を動かす若者は出て来ないのだろうか?
恐ろしくて仕方がない。
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