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Friday, September 19, 2014

『ふしぎな岬の物語』マスコミ試写会

【9月19日特記】 映画『ふしぎな岬の物語』のマスコミ試写会に行ってきた。吉永小百合の118本目の出演映画。監督は成島出。

うーん、なんと言うか、これはきっとサユリストのための映画なんだろうな。僕はちょっと世代が違う。

吉永小百合が若かった頃は、僕らはまだ(「若い」というところまでは行かず)小さかった。そこからスタートしているから、今日に至るまで吉永小百合を格別好きだと思ったことがない。

今吉永小百合を見て感じるのは(こんなことを書くとサユリストたちが憤慨するのかもしれないが)、若々しくて小ぎれいなおばあさんだという程度のことだ。

でも、僕らよりずっと上の世代にとっては吉永小百合は永遠のアイドルなんだろうし、多分この映画を観ても「少し年はとったけど小百合ちゃんはやっぱり小百合ちゃんだ」と納得する男性ファンも多いのだろう。

これはきっとそういう人たちの映画なんだろう(一方で、サユリスト世代よりずっと下の成島出が監督を務めているところが、ある種のミソではあるんだろうけれど)。

いや、別に出来が悪いと言っているのではない。森沢明夫の小説を原作とした、とても良いお話である。恐らく千葉県辺りかと思われるどこかの岬の突端に女性がひとりで切り盛りしているカフェがある。

彼女の名は悦子(吉永小百合)。絵描きだった夫は随分前に亡くなっている。海に架かる虹の絵を1枚残して。

悦子には浩司(阿部寛)という甥がいる。何故だか悦子を守ることが自分の使命であると信じて、カフェの横の空き地に掘っ立て小屋みたいな家を建て、カフェと悦子を見守りながら生きている。

店には常連客が何人かいる。タニさん(笑福亭鶴瓶)は悦子に思いを寄せる独身の不動産屋。徳さん(笹野高史)は漁師で、漁の後毎朝コーヒーを飲みに来る。冨田先生(米倉斉加年、これが遺作か)は歳のせいか少し視力が落ちてきた町医者、…。

初めのほうで一人につき1シーンを費やして短く彼らを紹介する辺り、手際の良い脚本である。

冒頭のシーンから、ああ、この画が撮りたかったのね、と言いたくなる、海をバックにしたカフェの遠景。入り江を挟んで見る岬とか、屋外での宴会をお花畑ごしに捉えた遠景など、良い画がふんだんにある。

カットは全般的に長く、役者にじっくり芝居をさせている。

ただ、お話がとても甘い。甘いというのは詰めが甘いということではない。筋運びがスウィートなのだ。

常連客たち、地元住民たちだけが織りなす話にせず、東京から小さな娘に導かれてやってきた陶芸家(井浦新)の話や、父親の反対を押し切って結婚したのに、結局夢破れて帰ってきた徳さんの娘・みどり(竹内結子)の話など、アクセントはうまくつけてある。

ただ、繰り返しになるが、やっぱり全般に甘すぎて優しすぎる印象が残るのである。

出て来る人がみんな良い人。不器用だけれど根は優しい、という、なんというか昔風の良いキャラクターで、なんと泥棒でさえ良い人である。

僕はもうちょっとしょっぱかったり苦かったりする話が好きだし、もっとエキセントリックに振れたキャラクターのほうが感情移入できる。

というわけで、これはやっぱりオールド・ファンのための映画かなあという気がする。失礼な言い方に聞こえるかもしれないけれど、必ずしも貶しているのではない。

こういう映画もアリ、と言うか、昔はたくさんあったんだろうし、今これが残っていても良いとは思う。

結局僕の印象に残ったのは(昔からのファンだということもあるが)竹内結子の表情豊かな好演であったり、すっかり巧い役者になった阿部寛のややオーバー・アクション気味な熱演だったりする。それは制作者のメインの狙い所ではないだろう。

結局これを観て改めて判ったのは、僕は吉永小百合のファンであったことは一度もなく、今後もそうだということである。

だからこそ、これはサユリストに観てほしい。そして、どんな風に感じたのか聞いてみたい気がする。

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Comments

お若い、お若い。(おにゃくいと読む。分かってるね。)

Posted by: | Friday, September 19, 2014 23:15

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