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Monday, September 08, 2014

変わる映画評

【9月8日特記】 僕は映画を観たその日に映画評を書くことにしている。

早く書かないと忘れてしまう、というのはもちろん大きな理由のひとつだが、では早く書くほど良いものが書けて、正しい評価が下せる、などとは思っていない。

単に他の映画記事も観たその日に書いているので、バラつきがないようにその日のうちに書いておこうと思っているだけだ。

映画というものは(いや、映画だけではないのかもしれないが)面白いもので、何にもしなくても自分の評価が変わってくることがある。

別に誰か他の人の意見や論評に影響されたわけではない。もちろん、そういうこと、つまり、誰かの評価を聞いて自分の意見が変わるということもないではないが、それはそこに自分が気づかなかった視点を見出した時の話だ。

そういうことではなく、別に誰とその映画の話をしたわけではなく、誰かが書いた分析を読んだわけでもなく、ただ一晩置いておいた煮物に味が染みるみたいに、時間が経つだけで映画に対する感じ方が変わって来るということがある。

僕の少ない経験から言うと、阪本順治監督、風吹ジュン主演の『魂萌え!』(2007年)がそういう映画だった。

鑑賞した日に書いた映画評では、僕はあまり褒めていない。あるシーンについては激賞しているが、全体としては「まとめ方に難あり」などと書いて、最後は「でも、まあまあ良い作品ではあった」と締めている。

以上が2月に書いた記事。ところが、それから10ヶ月経って書いた、毎年恒例の「『キネマ旬報ベストテン』の20位以内に入ってほしい映画」という記事では、きっちりこの作品を選んでいるのである。

その時にも書いたことだが、映画を観てからもう随分時間が経っているのに、いつまでもいくつかのシーンが、そのカメラワークとともに脳裏に蘇って来る映画というのがあって、そういうのは結局良い映画なのだと思う。

まさにこの映画がそうであった。

映画の一部がいつまでも脳裏に残っているの良い映画だ、とは言わない。ただ、映画の一部がいつまでも脳裏に残っているの紛れもなく良い映画だと思う。

僕は実は、そんな風に自分の感覚が変わって行くことも楽しみにしながら、映画を観たあとの思いを書きつけている。そういうところも映画の面白さだと思っている。

ちなみに、映画『魂萌え!』は、2007年のキネ旬ベストテンの第8位に入った。

どうだ、俺の鑑賞眼はすごいだろう!と言いたいのではない。みんなにも僕と同じように脳裏を離れないシーンがあったのではないかな、と言いたいのである。

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