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Tuesday, September 30, 2014

ROM

【9月30日特記】 ROM という言葉を久しぶりに聞いた。

出勤途上で会社の同僚と一緒になって、話をしていたら、「ああ、なんか、facebook に書いてましたね」と言われて驚いた。彼は facebook なんか見ていないと思っていたのだ。

いや、彼が一応 facebook に登録していることは知っている。「知り合いかも」に出てきたので彼のページを見に行ったら、全く何も発言していなかったので、てっきり登録だけして放ってあるのだと思っていたのである。

通常僕はそういう人には友達申請はしない。死んでいる人とは会話ができないからである。

ところが、彼は僕が少し前に書いたことをちゃんと読んでいて、こう言った。

「ROM なんですよ」

ロム! 久しぶりに聞く響き。若い人は知らないだろうな。

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Sunday, September 28, 2014

映画『がじまる食堂の恋』

【9月28日特記】 映画『がじまる食堂の恋』を見てきた。精霊が宿ると言われる“ガジュマルの木”がある沖縄県名護市の、言わば町おこし企画映画である。

で、その企画コンペに勝って監督を務めたのが大谷健太郎である。

僕は『約三十の嘘』と『NANA』の2本ですっかり大谷健太郎監督のファンになったのだが、その後がどうもパッとしない。僕の眼から見るとずっと悪くない映画を作り続けているのだけれど、動員も評価も得られていない。

しかし、それにしても今日のこの映画のように、梅田でも三宮でも上映しておらず、HAT神戸で1日2回だけの上映というのはまことに気の毒である。

客が来ないから上映館と回数が減るのか、上映の機会が少ないから評判にならないのかは微妙で、まさに鶏と卵であるが、今回の観客はわずか5人であった。その5人のうちのひとりとして、責任をもって評価してあげなければならないと思う。

そういう訳で結論から先に言えば、この映画はとてもとても素晴らしいラブ・ストーリーだった。そう大人のラブ・ストーリー。

舞台は名護。主人公の平良みずほ(波瑠)は死んだおばあの跡を継いで「がじまる食堂」をひとりで切り盛りしている。

ある日バス停に立っていると、タクシーの中から呼びかける男がいる。男はタクシーを待たせたまま降りてみずほの側に来て、「荷物を盗まれてお金が一銭もないので貸してほしい」と言う。

みずほが貸せないと言うと、「タクシーの運転手は僕らの姿を見て、あなたを僕の友だちだと思っているはず。あなたにお金を貸してもらえないと僕は走って逃げるしかない。そうすると運転手は友だちのあなたに払えと言うだろう。そうなるとお金は返って来ない。僕に貸すのとどっちが良いか」などと変な理屈を言う。

結局その図々しさに押されて、みずほは男を定休日のがじまる食堂に連れてくる。男は城島隼人(小柳友)。東京でIT関連の会社を経営している。お金はすぐに会社から現金書留で送ってもらうので、それまでここに泊めてほしいと言う。

一方、みずほが自宅に帰ると、5年も離れていた元カレの島袋翔太(桜田通)が待っている。東京で絵の勉強をしていた翔太は、個展を開くことになったので、ここで何枚か絵を描きたい、ついては暫く泊めてくれと言う。

困惑したみずほは咄嗟に家を出て食堂に行く。食堂で話を聞いた隼人は、いろいろ質問してみずほを苛立たせたくせに、最後は「良かったら僕、あなたの恋人になりましょうか?」と言い出す。

隼人の機転で、翔太は一晩で出て行くことになる。そして、翌日、翔太ががじまる食堂に掲示した絵のモデル募集を見て、東京から旅行で来ていた菅田莉子(竹富聖花)が応募してくる。

ここから、この4人の登場人物の、少し奇妙な四角関係が始まる。

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Saturday, September 27, 2014

挨拶をしない話

【9月27日特記】 入社以来ずっと、僕は「挨拶をしない奴だ」と言われている。自分ではこれが不思議で不思議で仕方がない。

僕は今まで一度たりとも「こいつには挨拶しないでおこう」とか「今日は挨拶しなくても良いか」などと思ったことはなく、誰かと顔を合わせれば必ず軽い挨拶ぐらいはしてきたつもりである。

ただ、僕はいろんなことを考えいろんなことを気にするたちなので、例えば

こっちから挨拶しても、向こうは僕のことを憶えておらず、誰だったかと当惑したりしないだろうか?

とか

向こうから歩いてくるあの人に対して、この距離から挨拶してもちゃんと僕を識別できるのだろうか? 挨拶するのはもう少し距離が詰まってからにしたほうが良いのではないだろうか?

とか

あまりに大仰に挨拶すると、媚びへつらっているみたいで嫌らしくないだろうか?

などと思っている(3番めは相手を思いやっているのではなく、僕が自意識過剰なだけなのだが)うちに、挨拶のタイミングを逃してしまうというようなことは、ひょっとしたらあったのかもしれない。

あるいは、何か考えごとをしている時に、挨拶されても気づかなかった、というようなことはあっただろう。そんなにしょっちゅう考えごとをしているのか、と言われると、それはしている。

かつては「我悩む、故に我あり」をキャッチフレーズにしていたくらいだから、今よりももっともっと考えごとをしていたはずだ。逆に、「他の人は自分みたいに悩まないのかもしれない」なんて考えたこともなかった。

ま、自分で分析するとそんなことなのだが、それが正しいのかどうかは知らない。ただ、なんであれ、大学を卒業して以来、ずっと挨拶しないと言われ続けている。そして、僕に自覚はない。

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Friday, September 26, 2014

あなたのそばの乗っ取り

【9月26日特記】 会社の先輩が LINE の ID を乗っ取られた。

仲間内で釣りに行った帰りに、釣り仲間を車に乗っけて走っていると、同乗者のひとりにこう言われたと言う。

「あれ? Tさん、今 LINE のメッセージくれた?」

Tさんは一瞬何のことだか分からなかったらしい。

「え? 見ての通り今運転中なんだから、そんなもん送るわけないでしょう」

「でも、iTunes カード5万円買ってくれって言ってるよ」

笑けるぐらい典型的なパタンである。その内に他の知人からも電話やメールで「乗っ取られてるよ」との指摘が相次ぎ、釣り帰りの車内は結構盛り上がった(失礼w)らしい。

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Thursday, September 25, 2014

『こころ』雑感

【9月25日特記】 新聞のWeb版で夏目漱石の『こころ』を読み終えた。そう、今非常に評判の悪い朝日新聞である(笑)
読み始めた時はまだここまで評判は悪くなかったのだが…。

この小説がちょうど100年前に朝日新聞紙面に連載された当時とほぼ同じペースで朝日新聞DIGITALに掲載されたので、僕らは明治の新聞購読者の読書を追体験したわけだ。

僕が『こころ』を読むのは多分3回めだと思う。読んだことを忘れてもう一回読む(実は時々やっているw)のでなければ、僕が同じ本を読み返すのは非常に珍しいことである。

別にこの小説にそれほど強い思い入れがあったわけではないのだが、毎朝少しずつ iPad や iPhone で読むのなら楽に読めるなと思って読み始めた。その連載が今朝終わったのである。

こんな歴史的名作にいまさら書評めいたことを書く気はないのだが、今読んでも面白いという事実に改めて驚いた次第である。

それはやはり、明治の時代に日本人のものの考え方・感じ方が大きく転換して、その「精神」が今に直結しているからだと言えるだろう。

あるいは、個人と社会の軋轢、男女観・倫理観の綻びなどの問題を、明治から今に至るまで、あいも変わらず未解決のまま引きずっている部分があるから、今読んでも胸に響くのかもしれない。

皮肉なことである。

しかし、『こころ』が昔の読者に対しても、今の読者に対しても、ものを考える材料となるのは、独り日本社会の停滞によるのではなく、やはり夏目漱石という文豪の着目点と筆力の卓越に負うところが大きいと思う。

小説の最後で主人公の一人称に戻るのではなく、先生の遺書の文章の終了とともに話を閉じてしまうところが、逆に非常に技巧的であるように思えた。

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Monday, September 22, 2014

当たる

【9月22日特記】 あなたは懸賞やくじなどによく当たるほうですか? 僕は割合当たるほうだと思います。

「全然当たらない」と言う人の何割かは、全然、あるいは、ほとんどそういうものに応募しない人たち、つまり、当たらなくても仕方がない人たちでしょうから、割合よく応募する僕が「割合当たる」と言っても特別運が強いわけではありません。

コンスタントに当たっているわけではありません。コンスタントに当たっている人たちは「非常によく当たる」に分類される人たちです。僕の場合は時々当たるという程度です。

最初に当たったのは中学生の時、ラジオのリクエスト番組のリスナー・プレゼントに応募して、ポール・マッカトニー&ウィングスのアルバムが当たりました。

あの時代ですから当然 LP です。値段にして2,000円強といったところでしょうが、中学生にとっては大きなお小遣いになりました。

その後も、価値としてはせいぜいそんなものしか当たりませんでしたし、何かが当たって喜んでいても、いざ届いたら「騙された!」と叫びたくなるような粗悪品だったこともあります。

しかし、そうこうするうちに、社会人になってから突然ジャンボ宝くじで50,000円が当たりました。

長いこと買い続けていると良いこともあるもので、その後もう一度50,000円が当たっています。でも、言うまでもありませんが、宝くじのトータル収支は赤字です(笑)

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Sunday, September 21, 2014

9/21サイト更新情報

【9月21日特記】 サイトを更新しましたのでお知らせします(このブログではなく、併設している私のHPの更新案内です)。

今回は久しぶりにレギュラーの言葉のエッセイ1編の更新のみになってしまいました。突然の気づきについて書いています(何の答えも得られない文章ですがw)。

ということで、今回の更新は以下のとおり:

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Saturday, September 20, 2014

映画『舞妓はレディ』

9月20日特記】 映画『舞妓はレディ』を観てきた。

この映画の一番の問題点はタイトルが My Fair Lady のもじりであることが却々分からないことである。そして、それよりも問題なのは、僕が My Fair Lady を観ていないということだ(ま、観ていたとしてもどうせすぐに忘れてしまうので、同じと言えば同じなのだがw)。

だからと言って、映画を観る前に My Fair Lady を DVD で観ておくほどの気力もなく、そうなってくると、「もういいか。別に僕の観る映画じゃないということか」というムードになってしまう。

そもそも周防正行監督は、『シコふんじゃった。』『Shall we ダンス?』『それでもボクはやってない』の3本は熱狂して観たのだが、それ以降は少し僕の好みから外れてきた気がして、結局観ていない。

そういうわけで今回もパスしようかなと思っていたのだが、ネット上を見ると全く悪い評に当たらない。それなら、ということで観に行ったのだが、いやあ、これはやられた。素直に面白かった。素直に楽しかった。素直に良い映画だった。

最初は淡々と進むのだが、映画の中で最初に歌い出すシーンで一気に楽しくなる。なにしろ舞妓とジャズと津軽弁と薩摩弁が一緒になっているのだから(笑)

この映画は舞妓ミュージカルと言われているが、全編歌いっぱなし踊りっぱなしではなく、要所要所に歌と踊りが出て来る。それが見事に効いているのである。

音楽のセンスが極めて高い。それぞれの役者の歌がそんなに巧いわけではない。が、周防義和が手がけた楽曲が素晴らしい。和旋律あり、ブルー・ノートあり、ジャズの和音あり、ラテンのリズムありの見事な展開である。

単純なメロディを複雑なテンション・コードが支えるのではなく、いろいろな旋法を持ち込んでいるので、メロディ自体が意外性に飛んだ心地よさをもたらす。

音楽の楽しさだけではない。いかにもオープンセットという感じのセットがなんとなく設定にマッチしている。上七軒ならぬ下八軒という地名が良いではないか(笑) 書き割りを意識した飛び出す絵本のようなセットもなんとも愛らしい。

そして、他にもまだ非常にセンスの良い遊びがある。

冒頭の「お化け」の出し物で芸妓の里春(草刈民代)が緋牡丹のお竜に扮しているのが、その後のシーンからお茶屋の女将役で富司純子が登場するための、言わば序詞になっている。

それから、芸事の先生役で徳井優と田口浩正が連続して出てきて、これは誰もが『Shall we ダンス?』を思い出しただろう。あの時、役所広司と一緒に必死で社交ダンスを習った2人が、今回は教える側で出て来るところがなんとも楽しい。

My Fair Lady 以外にもこれだけいろいろなものを踏まえたシーンが出て来るのだから、恐らく My Fair Lady を意識した演出はそこかしこにあったのだろう。My Fair Lady を観ていたらどれだけ楽しかっただろうと、ちょっと悔しい思いをした。

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Friday, September 19, 2014

『ふしぎな岬の物語』マスコミ試写会

【9月19日特記】 映画『ふしぎな岬の物語』のマスコミ試写会に行ってきた。吉永小百合の118本目の出演映画。監督は成島出。

うーん、なんと言うか、これはきっとサユリストのための映画なんだろうな。僕はちょっと世代が違う。

吉永小百合が若かった頃は、僕らはまだ(「若い」というところまでは行かず)小さかった。そこからスタートしているから、今日に至るまで吉永小百合を格別好きだと思ったことがない。

今吉永小百合を見て感じるのは(こんなことを書くとサユリストたちが憤慨するのかもしれないが)、若々しくて小ぎれいなおばあさんだという程度のことだ。

でも、僕らよりずっと上の世代にとっては吉永小百合は永遠のアイドルなんだろうし、多分この映画を観ても「少し年はとったけど小百合ちゃんはやっぱり小百合ちゃんだ」と納得する男性ファンも多いのだろう。

これはきっとそういう人たちの映画なんだろう(一方で、サユリスト世代よりずっと下の成島出が監督を務めているところが、ある種のミソではあるんだろうけれど)。

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Thursday, September 18, 2014

風に吹かれて

【9月18日特記】 昨日 ad:tech tokyo に行って来た。2010年に初めて顔を出してからちょくちょく行っているので、このブログにも何度か記事を書いている。

ひとことで言うとネット広告業界の大イベントである。デモンストレーションを含む展示会と、スピーチやパネル・ディスカッションなどのステージが組み合わさっている。

僕はテレビ業界/テレビ広告業界の人間だが、こういうのに行くと本当にためになるし、楽しいのである。

あっち側の人たちが、ああ、そんなことを考えているのか、という発見があり、それがそのまま今後の自分の仕事のヒントに直結する。

そう、こういうイベントに参加するとものすごい刺激があるのである。

その刺激をひしひしと感じながら、僕は twitter でこんな風に呟いた:

混じる、あるいは、交わるということがないと刺激は得られないのである

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Tuesday, September 16, 2014

ドラえもんとドッジボール

【9月16日特記】 僕はちょっと驚いたのですが、映画『STAND BY ME ドラえもん』をこんな風に感じた人がいるんですね:

ドラえもんが未来から持ってきた機械を使って、まんまとしずかちゃんと結婚するなんて、ひどい映画だ。そんな卑怯な話に泣けるか? 安心して子供に見せられるか?

決してひとりじゃないようです。何人か同じように怒っている人を見かけました。

うーん、僕はそんな風に感じなかったですね。ひょっとしたら、そもそも原作をほとんど知らないということが関係しているのかもしれませんが…。

でも、そもそもと言えば、『ドラえもん』の原作からして(この映画でも描かれていましたが)、そもそものび太の子孫が自分の現在と将来を守るために、のび太のいる過去にやってきて、のび太の未来を変えようとする話でスタートしているわけです。

それって保身の話であり、卑怯なやり口じゃないんですかね?

この映画を否定するのであれば、それは『ドラえもん』全体を否定することにはならないんですかね?

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Monday, September 15, 2014

映画『るろうに剣心 伝説の最期編』

【9月15日特記】 映画『るろうに剣心 伝説の最期編』を観てきた。

ひょっとしたら最初の1作だけ観て終わりかな、と思って見始めたのだが、第2作の京都大火編がことのほか面白く、最後の1作まで見通すことになったでござるよ。

この手の作品が面白いのは、良い役者を使っているということもあるが、それぞれのキャラが見事に立っているところだ。

今回の映画では、緋村剣心(佐藤健)の最終的な敵は全身包帯ずくめの志々雄真実(藤原竜也)である。しかしその前に、志々雄の手下であり、前作で剣心の逆刃刀を折った瀬田宗次郎(神木隆之介)を倒す必要がある。こちらは常に笑っている美少年である。

その周りには、武闘の面では大したことはないだろうが、参謀格の佐渡島方治(滝藤賢一)というエキセントリックな男がいる。そして、志々雄の側には元々花魁であった駒形由美(高橋メアリージュン)という女が侍っている。

なんと個性的な面々か。さらに今回はそこに不気味で魁偉な坊主・悠久山安慈(丸山智己)という新しいキャラも配されている。

そして、その志々雄一味に辿り着く前に、横槍を入れてくる(と言うか、二刀流で斬りかかってくる)四乃森蒼紫(伊勢谷友介)の存在が鬱陶しい。やたらと強いだけになおさら鬱陶しい。

こちら側で言えば、剣心が戦うときには必ず相楽左之助(青木崇高)が現れる。牛若丸に対する武蔵坊弁慶、『緋牡丹博徒』の第1作における緋牡丹お竜にとっての不死身の富士松みたいな存在である。

さらに、決して行動を共にするわけではないが、常に剣心を支える側にいる元新選組の斎藤一(江口洋介)がいて、この京都編では御庭番衆の翁(田中泯)と操(土屋太鳳)が絡んでくる。江戸には神谷活心流の道場主・薫(武井咲)と女医の恵(蒼井優)が待っている。

そして、前回の終わりに、岸に打ち上げられた剣心を担いで帰った謎の男が比古清十郎(福山雅治)だ。映画の冒頭から、「なんと、この男はそんな人物だったのか!」と驚かされることになる。よくできたお話である。

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Sunday, September 14, 2014

歯医者

【9月14日特記】 患者の側から見れば、何科の医者にも当たり外れがあるものだが、特に分かりやすいのは歯医者である。

小学校の時には随分外れの歯医者にかかっていた。悪いことにウチの近所の歯医者だったので、家族のうちの3人がそこで治療をしてもらい、あまり時間を経ずに別の医者を探すことになった。

特に母などは、治したはずの虫歯が痛むので別の医者に診てもらうと、「何の治療もせずに蓋だけしてあります」と言われたとのこと。ひょっとして医師免許もないもぐりの歯医者なんじゃないの?と家族で語り合った。

その歯医者は後に飛行機事故で亡くなったが、ウチの家族は誰一人「お気の毒」などとは言わなかった。みんなで口をそろえて「バチが当たった」と言っていた記憶がある。

入社したてのときに通っていた大阪市内の歯医者も名医だった。その時奥歯に結構難しい手術をしたのだが、その歯はいまだにびくともしていない。

そして、東京勤務時代に通った会社の近所の歯医者も名医だった。

磨き残しが赤くなる液体をつけてチェックした後、正しい歯ブラシの持ち方と磨き方、歯間ブラシの使い方などを懇切丁寧に教えてくれた。

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Saturday, September 13, 2014

映画『海を感じる時』

【9月13日特記】 映画『海を感じる時』を観てきた。

市川由衣という女優はあまり好きではない。監督の安藤尋という人は聞いたこともなかった。

なのに何故観たかと言うと、中沢けいの同名の原作のせいだ。

僕はこの小説は読んでいない。ただ、19歳の少女が群像新人賞を受けて大センセーションを巻き起こしたのはよく憶えている。1978年のことだ。

どんな話だか詳しくは知らなかった。が、なんだかものすごい女性性を描いた小説のような気がして、手が出せなかった。自分にはまだ無理のような気がした。

いや、そんな風に具体的に思ったわけではない。でも、自分より年下の女性が自分より性的に進んでいるような匂いを嗅ぎとって、そのコンプレックスの裏返しから、若かった僕は多分恐れをなして逃げ出したのだと思う。

あれから三十数年経って、さすがにもう大丈夫かな、という気がして映画を観に行った。そして、ああ、こんなに単純な構図の話だったのかと知って少し驚いた。

主人公は女子高生の恵美子(市川由衣)。高校1年から、大学受験に失敗して働き始めた頃までが描かれる。観客は彼女の髪の毛の長さと髪型で年代を判別することになる。

話は逸れるが、市川由衣は今までロングヘアーが多かったように思うのだが、今回の映画での成人してからのショートのほうがよっぽど似合うと思った。最初の全裸シーンでとても綺麗な顔だと思った。

話をストーリーに戻そう。

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Friday, September 12, 2014

『英国一家、日本を食べる』(その2)

【9月12日追記】 訳書を初めて読んだので、寺西のぶ子さんにメールで連絡を取った。彼女が結婚退職してから初めてのことだ(その辺りの経緯についてはここをお読み下さい)。

返事はすぐには来なかった。その間に、僕のブログの自分の訳書に関するところだけでなく、他の記事も結構読んでくれたようだ。

一緒に渋谷界隈を歩いたことは憶えていてくれた。「年間に本を100冊読む人?」という問いについては憶えていないと言う。まあ仕方がないよね。何十年も前の話だもの。

で、僕が書いたことに対して、彼女がひとつだけ「誤解されているかも」と思ったのは、僕が「良い原文に当たって本当に良かったね」と書いたところだと言う。

なんとなれば、彼女はたまたまラッキーなことに誰かから「この本を訳してみれば?」と持ちかけられたのではなく、「これまでずっと、自分から原書を探しに行って、出版社に紹介するというスタイルでやってき」たのだそうである。

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Thursday, September 11, 2014

『彼が通る不思議なコースを私も』白石一文(書評)

【9月11日特記】 白石一文を読むのはこれが4冊目か。そろそろホームページの「僕の読書遍歴、その周辺」で取り上げなければ。あのコラムは自分の本棚に3冊以上本が並んだ作家について書いているので…。

この人の小説を読んでいると、若いころの宮本輝を思い出す。テーマの選び方など、よく似ているのではないかな。白石のほうが少し幻想的な気もするが。

いずれにしても、緻密に言葉を積み繊細に表現を編んで行く作家ではない。ストーリーで押して行くタイプ、そう、ストーリー・テラーだ。そして、動画の一番良いところをストップ・モーションで切り取ったような、鮮やかなシーンが描ける作家でもある。

ただ、タイトルは巧くない気がする。この小説の、このリズムの悪い題も一体何なんだろうと思う。

いつものように、一見何でもない人生のひとコマを描いているようで、実はこれも不思議な話だ。

主人公の霧子は親友であるみずほにつきあって別れ話に同席する。ところがどうしてもみずほと別れたくない優也は衝動的にビルの屋上から飛び降りてしまう。そこを通りがかったのが林太郎で、彼は何故だか優也が無傷で助かることを予見していて、飛び降りるところを見ていたにも拘らず立ち去ってしまう。

霧子はその不可解な行動に納得が行かない。そして、数日後、コンパの席で霧子は林太郎に再会し、あの時のことを問い質す。しかし、なんだかはぐらかされ、そして、あれよあれよという間に2人は結婚してしまう。

霧子は結婚を後悔してはいないが、それにしても自分でもどうしてそんな流れになったのか、いまイチ解らない。

しかし、林太郎はその結婚さえ予見していたフシがある。

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Wednesday, September 10, 2014

消耗品

【9月10日特記】 最近僕自身の「消耗品」に対する認識が変わってきた。

昔は消耗品と言えば、醤油とかシャンプーとか歯磨きとかしかイメージできなかった。要は使うと減るものである。

それ以外では、見た目が減りはしないが、いつかは使えなくなるものとして、歯ブラシとか乾電池なんかも、もちろん消耗品である。

僕の昔の消耗品の認識は、まあ、そんなとこ止まりだった。

それが最近では、なんか会社に着ていくもの、例えばワイシャツやネクタイ、スーツなんかも消耗品であるような気がしてきた(まあ、ウチの会社ではそういうものを着て出社する人は少数派だが)。

それに対して、普段着は消耗品という感じがしない。多分毎日着ないからだろうな。いや、背広やネクタイだって決して同じものを連日着ているわけではないのだが、やっぱり月~金のあいだ毎日着るものは消耗品という気がする。

で、消耗品だったら何なのだ、と言われると、まあ、あくまで一般的な感じ方なんだけれど、消耗品だったらあまりお金をかけても仕方がない気がしてくる。

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Tuesday, September 09, 2014

不可解な銀狐

【9月9日特記】 唐突だが、銀狐というのが分からない。

僕は自ら「日本ポップス史の研究家」を以て任じているが、1969年の大ヒット曲に『夜の銀狐』というムード歌謡がある。

いちいちここでリンクを張ったりしないが、年配の方であれば間違いなく聞いたことのある歌だと思う。試しに検索してみてほしい。

その「銀狐」が何だか分からない。歌詞を読んでも分からない。多分、その歌で歌われている、愛する女のことをそう称しているのだろうが、何故銀狐なのかが分からない。銀狐の襟巻きでもしてたんだろうか?

もっと分からないのが、歌詞に突然出て来るソーロ・グリース・デ・ラ・ノーチェだった。スペイン語である。

あの当時の流行歌には『コモエスタ赤坂』みたいにスペイン語があしらわれているものが少なくない。なんでスペイン語なのか分からないのだが、多分流行りだったのだろう。

で、デ・ラ・ノーチェは解る。往年のビッグ・バンド「有馬徹とノーチェ・クバーナ」のノーチェである。英語で言えば night である。

昔はよく「ノー・チェック」に掛けて、「ノーチェックバーナでやってしもた」(あるいは、「ノーチェックバーナでやってモーターボート」)などとおどけたものだが、ノー・チェック・バーナではなく、ノーチェ・クバーナ、「キューバの夜」である。

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Monday, September 08, 2014

変わる映画評

【9月8日特記】 僕は映画を観たその日に映画評を書くことにしている。

早く書かないと忘れてしまう、というのはもちろん大きな理由のひとつだが、では早く書くほど良いものが書けて、正しい評価が下せる、などとは思っていない。

単に他の映画記事も観たその日に書いているので、バラつきがないようにその日のうちに書いておこうと思っているだけだ。

映画というものは(いや、映画だけではないのかもしれないが)面白いもので、何にもしなくても自分の評価が変わってくることがある。

別に誰か他の人の意見や論評に影響されたわけではない。もちろん、そういうこと、つまり、誰かの評価を聞いて自分の意見が変わるということもないではないが、それはそこに自分が気づかなかった視点を見出した時の話だ。

そういうことではなく、別に誰とその映画の話をしたわけではなく、誰かが書いた分析を読んだわけでもなく、ただ一晩置いておいた煮物に味が染みるみたいに、時間が経つだけで映画に対する感じ方が変わって来るということがある。

僕の少ない経験から言うと、阪本順治監督、風吹ジュン主演の『魂萌え!』(2007年)がそういう映画だった。

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Saturday, September 06, 2014

映画『南風』

【9月6日特記】 映画『南風』を観てきた。「みなみかぜ」ではなく「なんぷう」。

監督は萩生田宏治。僕が最初に観たのは2005年公開の『帰郷』だった。高崎映画祭の若手監督グランプリを獲ったが、あまり注目はされなかった。

でも、僕はものすごく良い映画だと思った。当時僕は「重い重い映画」と書いている。「キネマ旬報ベスト10に入る期待あり」とも書いている(結果は48位だった)。

主演は西島秀俊。すでに映画では主演級だったが、テレビには出ておらず、まだ知名度はほとんどなかった。片岡礼子が共演していた。

その次が2007年の『神童』。「前作の『帰郷』が素晴らしかったので、この映画も是非とも観ようと思った」と書いている。主演は成海璃子と松山ケンイチ。そして、ここにも西島秀俊が出ていた。

僕は「この映画、そんなに面白くはないけど、とても良い映画だよ」と書き残している。

そして、翌年『コドモのコドモ』を観た。なんと11歳の少女が同級生とセックスして妊娠・出産する話である。

これも良い映画であった。僕は「しかし、この映画はまさにそういう固定観念から飛び立つ材料なのである。図式的な考え方から解き放たれる契機なのである」と書いている。

とても考えさせる監督なのである。画も台詞も素晴らしい映画を撮る監督なのである。

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Friday, September 05, 2014

9/5サイト更新情報

【9月5日特記】 サイトを更新しましたのでお知らせします(このブログではなく、併設している私のHPの更新案内です)。

今回はレギュラーのことばのエッセイの更新と、音楽のエッセイのリストへの追加があります。

言葉のエッセイは「結構」の変な用法についてです。それから音楽のエッセイは転調名作選に1曲追加しました。どの曲を追加したかについてはいつもここには書いていないのですが、今回は書いておきます。

それは殿さまキングスの『恋は紅いバラ』です。転調自体は短調から同名調の長調へというありふれたものなのですが、楽曲の素晴らしさと、演歌にタンゴという発想の奇抜さに拍手を贈りたいと思います。

というわけで、今回の更新は下記の通り:

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Thursday, September 04, 2014

アンビバレントな野菜たち

【9月4日特記】 4年前からベランダでいろんな野菜を栽培している。ゴーヤは最初の年からずっと育てているのだが、今年は極めて不作である。

と思って、過去の記録を調べてみると、2010年:11個、2011年:21個、2012年:22個、2013年:40個で、今年が今日までのところ22個。

あれ? 去年が格別豊作であっただけで、むしろ今年は例年並みではないか?

──こういうことはデータを読み返さないと気がつかない。思い込みがあるからつい誤った印象が固定化してしまう。

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Tuesday, September 02, 2014

金魚すくい

【9月2日特記】 会社の開局記念のイベントで何十年ぶりかで金魚すくいをやった。世の中にはいろんなことを知っている人がいるもんで、身近なところに昔友だちにテキ屋の息子がいたという先輩がいて、いろいろ教えてくれた。

まず、あの金魚を掬う虫眼鏡型の道具を「ポイ」と呼ぶということ。

ポイには、素人が見た目では区別がつかないかも知れないが、5号、6号、7号の3種類があり、5号が一番紙が厚いとのことだ。

で、テキ屋は小さな子供や女性には5号のポイを渡し、おっさんには7号のポイを渡すのだそうだ。

で、輪っかに紙が貼ってあるわけで、ポイには当然裏と表がある。どっちを上にして掬うほうが破れにくいかは自明である。さらに本当なら紙の張り具合を見て、良いポイを選べるなら選んだほうが良い。

それから、極意はいきなり掬い始めないこと。まず水平に持って、全体を水に濡らすこと。濡れたところと乾いたところがあるとその境目から破れやすいのだ。

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