『オズ はじまりの戦い』
【7月27日特記】 WOWOW で放送した『オズ はじまりの戦い』を観た。サム・ライミ──本当に多彩な監督である。
スプラッタ・ホラー・ブームの嚆矢となった『死霊のはらわた』でデビューし、名作ミステリ『シンプル・プラン』を映画化し、ケビン・コスナー主演で野球映画『ラブ・オブ・ザ・ゲーム』を撮り、『スパイダー・マン』を3本撮り、そして、この『オズ』だ。
この映画は副題の通り、『オズの魔法使』の前日譚として、若き日のオズが描かれている──などと言っても、僕ら日本人は『不思議の国のアリス』と結構ごっちゃになったりして、オズの何たるかを実はあまり知らない。
ペテン魔術師だったオスカーが、如何にして偉大なる大魔術師オズとなり、また善き人間に生まれ変わって行くかが描かれている──と言われて、はあ、そう、と思ってしまう。
最初はカンザスシティのシーン。旅回りのサーカスの奇術師オスカーの、女たらしぶりが描かれる。そして、気球で逃げる途中で竜巻に巻き込まれて、気がついたら魔法の国オズにいる。
カンザスのシーンがモノクロで 4:3 の画面だったのが、オズに着いた途端に(あまりの豊かな色彩に「総天然色」という言葉が浮かぶ)カラー映像に一転し、画面が徐々に左右に広がって 16:9 になる。こういう猪口才な仕掛けは愉しい。
まあ、あとは他愛もない冒険譚である。自ら魔法使いと名乗りながら実は何の魔法も使えないオズが、奇術とトリックと花火で悪い魔女をやっつける話である。ハッピーエンドにはつきものの美女との恋もある。
その南の魔女に扮していたミシェル・ウィリアムズが『マリリン 7日間の恋』のマリリン・モンローだったと知ってびっくらこいた。
これは興行的にはそんなに当たらなかっただろうな、と思う。だって、取り立ててどうってことないもの(笑) でも、こういうのも作るところがこの監督の面白さでもあると思う。
しかし、それにしても僕は彼の代表作を悉く外している。
最初に観たのは『死霊のはらわた』と『死霊のはらわたII』の間に撮った『XYZマーダーズ』だった。はらわたは一切観ていない(笑)
原作を読んでものすごく面白かった『シンプル・プラン』も観ていない。
次に観たのは『ギフト』だった(これも WOWOW)。
そして、スパイダー・マンは1本も観ないまま、今日の『オズ』にたどり着いた。まあ、こういう見方もアリなのかな(笑)
しかし、これを観たことで無性にジュディ・ガーランドの『オズの魔法使』が観てみたくなった。こちらはディズニーではなく、当時いちはやく権利を押えた MGM の作品だったそうな。
« 映画『思い出のマーニー』 | Main | 笑顔 »
Comments