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Monday, July 28, 2014

笑顔

【7月28日特記】 もっと早くに知っていても良いはずなのに、年を取ってから初めて知ったということはないだろうか? 僕はたくさんある。

クロールでの息つぎの仕方、顔を洗うときの両手での水の掬い方、雑巾の絞り方、下り坂を歩くときの足運び…。誰もちゃんと教えてくれなかった。結婚して初めて知ったことも多い。

ある人にとっては箸や鉛筆の持ち方だったり、瓶から飲料を口飲みする仕方だったり、うがいの仕方だったりするのかもしれない。

要するに、みんな自分と同じやり方をやっているものだと信じていたのだが、実はそうではなかった、ということである。

それから、僕にとってもう一つの例は、そういうのとは少し趣が異なるかもしれないが、笑顔である。

僕は小さい時から愛想が良くないとか無表情だとか言われてきたから、持って生まれた部分もあったのだろうが、しかし、ある時期(多分中学入学くらい)からは意識して笑顔を避けてきた面がある。

人と会ったらまず笑顔で挨拶、なんて言うのはとんでもない話で、ある意味潔癖で意固地な少年だった僕からすれば、別に何か面白いことがあったわけでもないのに笑顔を作って他人に取り入ろうとするなんて薄汚いことだった。

当時そういう表現で考えていたわけではないかも知れないが、思っていたのは大体そういうことだ。

おかしいことがあったとか、嬉しいことが起きたとか、そういう時だけ笑えば良いではないか。それでこそ自然である。他人の気を惹くために笑うなんて欺瞞ではないか──そんな風に感じていた。

だいいち、何も面白いことがないのにうまく笑えるはずがない。面白いことがあったら自然に笑えるのである。それで良いと思っていた。

そして、それに加えて当時の時代の傾向もあって、むやみに笑わないのが男の美徳だ、みたいな感じ方もしていた。言わば、「男は黙ってサッポロビール」であり、「巧言令色鮮し仁」「剛毅木訥仁に近し」みたいなものである。

そう、何も調べずに、この2つのフレーズを『論語』から引用できる辺りに確かに僕のメンタリティが表れている。

ところが、最近テレビを見ていると、「対人関係を良くするためにはまず笑顔」「笑顔で第一印象を改善しよう」みたいな話がよく出て来る。たまたまかもしれないが、ここのところ連続して何度か目にして、僕はどぎまぎしてしまったのである。

そして、僕は今ごろになって驚く:

えっ、みんな、昔からそんな風に思ってたの? みんな僕と同じように「むやみに笑うのは欺瞞的だ」と思っていると思っていたのに…。

もう何十年もの間ずっとずっと、僕は「愛想がない」とか「挨拶をしない」などと言われ続けてきたが、僕自身はと言えば全くピンと来ていなかった。その秘密はここにあったのだ。

笑顔の効用から始めて、そのことによって人に笑顔を勧めるのか! ふーん、なるほど、そこから話を進めるのか…。

僕はこの年になって初めて、そんな考え方もあるのかと気づいた。

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