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Thursday, June 19, 2014

不思議 その2

【6月19日特記】 世の中には不思議な人がたくさんいて不思議なことをたくさんする──の続編、と言うより、人はみな、自分が便利だと思い嬉しく感じるものを他人も重宝がると思いがちだが、決してそんなこともない、という話。

例えば、映画館のチケットのインターネット予約。

僕はあのシステムが始まった時に、「遂に来たか!」と快哉を叫んだ。

思えば映画の全盛期、早めに劇場に行って窓口に並んで切符を買い、館内でまた(ひどい時には映画館の外、あるいは建物の外周に)並んで、前回上映が終わってドアが開くや否や、熾烈な座席争奪戦を行う―あの全てが嫌だった。

あのおかげで映画が始まるまでにかなり疲れてしまっていた。混雑の予想される映画にはかなり早めに劇場に行く必要があった。それでも行ってみたら次回上映は既に満員で、次々回まで待たなければならなかったりもした。

いや、毎回そういう訳ではない。空いている映画もあった。しかし、それは映画館に行ってみるまで分からないのである。それが嫌で事前に映画館に電話して、混み具合を訊いたりもした。

混み具合を訊いた後も、何時に家を出るか非常に悩むところであった。そして、実際に座席に腰を下ろすまで、一体どの辺に座れるのか見当もつかないのである。2人で観に行っても並んで座れる保証がないのである。

それが今や、事前に何列の何番に座れるかが確定しているのである。

それから、僕はアイドル映画なども観たりするので、ある時などはほとんど全員女子高生のギュウギュウの行列の中にぽつんと自分一人おっさんが混じるという体験もした。これはこれで意外に(笑)居心地の悪いものである。

それが今や、電車に飛び乗るみたいに、上映5分前に着けば即鑑賞できるのである。

よくぞこんな素晴らしい時代になってくれたものだ!と感謝感激で、ともかくネット予約システムの入った映画館では必ずネット予約し、複数の映画館で上映している映画では必ずネット予約できる映画館を選ぶようになった。

そして、そういうシステムがどんどん広がった今では、窓口でチケットを買うことがほとんどなくなり、前に窓口で買ったのはいつどこの映画館であったのかよく思い出せないくらいである(多分、元町映画館か十三第七藝術劇場かだろう)。

ところが、ところが、である。

ネット予約できる映画館でチケット売り場に並んでいる、あの大勢の人たちは何なのだろう?

全く理解ができないのである。もちろんそういう客が多いほうが発券機が混まなくて良いという点はあるのだが、しかし、それにしても何故に彼らはあえて昔ながらの苦難の道を選ぶのだろう?

  1. まさか「並ぶのは映画の醍醐味」などと思っている?
  2. まさかネットで買えるとは知らない?
  3. まさかここに並んでいる人は誰も PC やスマホを持ってない?
  4. まさかネットで買うことのほうが映画館で並ぶよりも面倒だと思っている?
  5. あるいは、家を出るときには映画を観る気なんてなかったのが、不意に思いついてふらっと映画館に入った?

え、想定5)なら納得できるって? いや、僕にはそれも摩訶不思議である。僕にとっては映画は不意に思いついてふらっと入るものではないからだ。

僕は大抵何ヶ月も前から何月何日公開なのかをマークしてその日を迎える。もちろん皆が皆そんな見方をしているとは思わない。しかし、ここに並んでいる全員が、突然今日この映画を観ようと思ったのか?

世の中には不思議な人がたくさんいて不思議なことをたくさんするのである。結局そう納得するしかないのである。

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