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Sunday, May 25, 2014

映画『晴天の霹靂』

【5月25日特記】 映画『晴天の霹靂』を観てきた。

僕は劇団ひとりのファンであるし、役者として大変高く評価している。彼の書いた小説『陰日向に咲く』は読んでいないけれど、岡田准一・宮﨑あおい主演で平川雄一朗が監督した映画は観ていて、そんなに悪くないと思った。

今回は自分で書いた小説を自分で脚色(橋部敦子と共同)して、自分で監督し、脇の大事な役を自分で演じている。何をやってもセンスの良い人だと思う。そのセンスがこの映画で全開していると思う。

40年前にタイムスリップする話である。設定としては飽きるほどやり尽くされた感がある。

自分が生まれる直前の父親と(早くに離婚したので会ったこともない)母親に会う。主人公は大泉洋、若き日の父親が劇団ひとり、母親が柴咲コウという布陣である。

ただ、登場人物たちの置かれた境遇が却々である。

主人公はうだつのあがらないマジシャン。後輩はすでにスターになってテレビに出ているというのに、自分はキャリア20年にしていまだに場末のマジック・バーのバーテンである。

住んでいる家はと言えば、平成の時代にこんなとこ残っているのかと思えるほどボロボロのアパート。ある日帰ったら、上階の水道管破裂だとかで部屋中水浸し、ショートして電灯も消える。なんとも情けない日々である。

そこに父が死んだ知らせ。死んだときはホームレス。意気消沈する。父が死んだ鉄橋の下で、文字通りの青天の霹靂に打たれてタイムスリップする。

そこには浅草の売れないマジシャン時代の父がいる。今の自分と同じようにうだつがあがらない。そして、自分を妊娠している母がいる。

そういう設定が如何にも劇団ひとりである。走る大泉洋を正面からカメラを引きながら撮ったり、結構な長廻しをやってみたり、画としても却々面白い。

柴咲コウが病室の窓から外を見て、大泉洋に「ほら、雨が上がって晴れてきた」と言うシーンで、普通ならその後、病室の窓ガラス越しに晴れた空が映るところだが、これを逆に窓の外から、燦燦と陽が差し込む病室内の2ショットにしている──こういう感覚っていいなあと思った。

台詞廻しも非常に巧い。くすぐるように笑いを取り、乾いた悲哀を醸し出す。そして、何よりも、大泉洋と劇団ひとりという巧い役者が2人揃って、この間の取り方、台詞の返し方、はぐらかし方、いずれをとっても名人芸のやり取りである。

で、タイムスリップものの常として、最後は元の時代に戻る。どういうタイミングで戻るかも察しがついてしまう。

後はどういう形でこの映画にケリをつけるかであるが、この最後のオチは多分他の作家や監督には考えられない、如何にも劇団ひとりらしい良いオチになっている。最後に感心させられてしまった。

96分の短い作品。パンフには初監督作品でこれほどばっさり編集で落としてしまえる監督はいないだろうと褒めてあった。そういうのを読むと、ああ、やっぱりこの人は才能のあるクリエイタなんだなと、ファンとしては嬉しくなるのである。

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