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Tuesday, May 27, 2014

正しい指示

【5月27日特記】 どこの誰の話か具体的に書くわけに行かないので、名前もシチュエーションも伏せて書くが、ある人とある人の会話である。

主に一方的に話しているのは若い男性。仕事の不満をぶちまけている。曰く、

上司が馬鹿でまともな指示も出せないから、仕事にならない

等々。不満というのを超えて、むしろ罵詈雑言である。

で、聞かされているほうもさすがに段々気分が悪くなってきて、ちょっと意地悪な反問を試みてみた:

じゃあ聞くけど、君がその上司の年代なり立場なりになったら、君は正しい指示が出せるの?

そう問いかけると、彼は破顔一笑こう言ったという:

いやあ、僕はいいんですよ。僕はこんな人間だから諦めてます

──すごい。すごいと思いませんか?

もちろん今の若い人がみんなこんな人だと言う気はない。ただ、こんな人がいるのは確かだし、こんな人が少しずつ増えているのも多分事実であろう。

昔の人間なら反論は概ね以下の3パタンのどれかだった

  1. 僕ならもちろん正しい指示が出せますよ
  2. 今はできないけど、経験を積んであの上司の年齢になったら、少なくともあの人よりは正しい指示を出す自信があります
  3. いや、僕もできないかもしれないけど、少なくとも正しい指示を出そうと努力はします。あの人はそれさえしていないから腹が立つんです

1)は今の自分のほうが上司より優秀だという主張、2)は今はダメだけれど、将来は自分のほうが良い上司になるという希望的観測、3)は自分のほうが上司より能力が上だとは言わないが、でも自分には他に優れた資質があるという問題のすり替え

このどれか以外の答えは自分の中で破綻を来すはずであった。

いや、見た目に破綻していなければ良いというものではない。上のどれもが根拠のない過信かもしれない。

しかし、そこには論理的整合性を保とうとする無意識の動きがあった。破綻を来すことなく論戦を進めようとする大前提があった。

ところが彼は「僕はいいんですよ」と笑って、ぷつんと議論を終わりにして、それが彼の中で全く破綻していない。こういう人には敵わない。

自分はあくまで採点する人であり恩恵を受ける人であり、評価されたり判断されたりする対象ではないのである。「僕はこんな人間だ」と周囲に諦めさせる(土台それは無理な話だ)のではなく、僕自身が諦めて終わりにするのである。

すごい。

ひとつだけ言えそうなのは、こういう人にまともな指示を出すのは難しいということなのだが、はて、ではどうすれば良いのだろうか?

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