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Saturday, May 17, 2014

映画『闇金ウシジマくん Part2』

【5月17日特記】 映画『闇金ウシジマくん Part2』を観てきた。正直あまり期待しないで観に行ったのだが、結論から先に書くと意外に良かった。

僕は原作の漫画は読んでいないのだが、テレビの第1シリーズは大好きで、結局全回見逃さなかった。

何と言うか、合法も非合法も関係なく笑い飛ばすようなユーモアのセンスが素晴らしかった。

それは切羽詰まってくると法律などという尺度では動かなくなる人間の弱さであり、面白みである。そう、面白さではなく面白み(前にその両表現の違いについて書いたことがあります)。

ところが、主人公の丑嶋社長(山田孝之)にはまるで弱さがない。何も怖がらない。迷いもない。決して逃げないし、その場で即断できる。

その人間らしからざるキャラクターが、他の登場人物と並べた時に明らかに浮いていて、そういうアンバランスな面白さが構造的に出ていると言える。その事実をデフォルメして象徴的に描いているのが、例えばオムライスのケチャップだと思う。

その非人間を囲む(ヤミ金の社員といえども幾許か人間的な)部下のキャラが絶妙だ。柄崎(やべきょうすけ)と高田(崎本大海)、そして、テレビの第1シリーズだけで消えてしまったが、片瀬那奈のちょっと外れた感じが良かった。

それが、続編からはなんだかシリアスな方向に走ってしまって、突然面白みがなくなってきた。

映画の Part1 のほうは仕事の絡みもあって観たが、テレビの第2シリーズのほうは、結局頭の何回かを観ただけで止めてしまった。

だから、あまり期待せずに観に行ったのだが、しかし、この映画 Part2 では昔のテーストも幾分戻ってきた感があって、意外にすっと入って行けた。

テレビの第2シリーズから登場した情報屋・戌亥(綾野剛)と丑嶋の軽妙なやり取りに(というか、丑嶋のほうはいつもクソ真面目なのだが、それ故に)素直に笑える。

そして、もっと単純な要素として、ストーリーに引っ張られる部分も大きかった。いくつかバラバラに仕込んだ設定とエピソードが終盤に向けて繋がり始める。よく練った脚本だと思う。

さらに、今回は特に客演陣が凄い。

丑嶋のカウカウファイナンスに見習いで入ってくる、典型的に考えの甘い若者・マサルに最近めきめき売り出し中の菅田将暉。

安物の暴走族のヘッド愛沢に中尾明慶。その妻でホストクラブに入れ込んでいる明美に木南晴夏。ナンバーワンを目指しているホスト・麗に窪田正孝、麗に貢ぐフリーター・彩香に門脇麦、高級クラブのホステスに本仮屋ユイカ(これはパンフを見るまで気づかなかった)、丑嶋のライバルのヤミ金の社長・犀原に高橋メアリージュン…。

役者の格としては中堅ばかりとはいえ、僕は随分豪華なキャストだと思った。

もうちょっと上の世代ではヤクザ熊倉に光石研、丑嶋の客にバカリズム、犀原の部下にマキタスポーツ、ホストクラブの客にキムラ緑子。

そして、何よりも彩香につきまとう日雇い労働者・蝦沼に扮した柳楽優弥がすごかった。僕は『誰も知らない』で彼を初めて見た時には、まさかこんなに多様な役がこなせる役者になるとは思わなかった。

いや、多分あの映画1作で消えるだろうと思っていた。

それが、『クローズ EXPLODE』と言い、この映画と言い、この極端なキャラへの対応力は、これはもう怪優と呼んでも良いのではないか。この映画でのストーカーぶりの何と気持ち悪いこと(笑)

ともかく、しっかりと演技力のある役者を揃えて、結構見応えのあるエンタテインメントになっている。

そして、この映画の素晴らしいところは、やっぱりヤミ金を描く際のトーンである。

この映画は決して丑嶋を賛美していない。闇金を肯定していない。しかし、否定もしていない。と言うか、教訓的に描こうという魂胆がない。ただ、淡々と人間の弱さと、弱さゆえのおかしさが描かれる。

最初は丑嶋の言葉に唯々諾々と従っていた彩香が、最後に丑嶋をクズ呼ばわりしたシーンの後、丑嶋は「あいつも初めて自分の頭でものを考え始めた」と言う。良い台詞だと思う。すごい台詞だと思う。

最後の最後に出るお断りのテロップに、テレビの第1シリーズのころの独特のユーモアが戻ってきたのを感じた。

面白かった。そして、結構濃い印象が残った。

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