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Wednesday, April 02, 2014

『円卓』マスコミ試写会

【4月2日特記】 映画『円卓』のマスコミ試写会に行ってきた。在阪民放5社の共同出資作品。

原作は『きいろいゾウ』の西加奈子の同名小説。監督は行定勲、脚本は伊藤ちひろ、撮影は福本淳といういつもの行定組である。

この映画のテーマのひとつを象徴する台詞がある。主人公の小学3年生・琴子(通称こっこ、芦田愛菜)の担任教師ジビキ(丸山隆平)が同僚の教師に言う台詞である。

「子供の考えることは分かりませんわ。自分も子供やったのに、なんでですかね?」
(記憶で書いているので正確ではない)

この台詞がこの映画を見事に集約していると思う。

こっこは大人の常識や感性では計り知れない感性で意外な反応を示し、飛んでもない行動に出る。周りは戸惑うが、こっこの頭の中では辻褄が合っている。

その突飛さとピュアさ、そして子供なりのリアリティが交錯して、途中までは「なんだ、この映画は?」という感じで少し眠くなったりもしたが、最後は心洗われる感じになる不思議な映画だ。

見始めてすぐに思ったのは、ああ、如何にも行定勲だ、ということ。──セットや衣装、小道具の、この色調と配色。ソフト・フォーカス、露出過多気味の映像の質感。そうだそうだ、これが行定映画だ、と思う。

この映画の舞台は大阪である。で、生まれたのは兵庫県だという芦田愛菜が、恐らく本人の記憶には既にない大阪弁を一生懸命練習して喋っている。

これがとても上手なのだが、やっぱり後から憶えた(あるいは甦らせた)大阪弁なので、ほんの少しだけ芝居じみた大阪弁になってしまっていて、根っからの関西人である八嶋智人や羽野晶紀、いしだあゆみらの言葉とは微妙に違っている(それを感じるのは多分根っからの大阪人だけだと思うが)。

「うっさい、ぼけ!」とか「なんでじゃ?」などという言葉をガキどもが使うことで、如何にも大阪の子供らしい活き活きとした感じが出ているのも確かであるが、でも、表現が荒っぽい分、(関西以外の観客に対しては多分)若干誇張っぽい感じも出てしまうだろうから、この辺りのバランスは難しいところである。

こっこは言葉に貪欲な少女で、新しい言葉に出会うと、文字通りそれを「採取」して、ジャポニカという名のノートに書き留める。

新しく聞いた言葉が宙に浮かんでいて、それを箸などで取り込むのであるが、こういう風に CG で文字を出す手法は守山健太郎監督の『スクールデイズ』を思い出させる。

そして、大人からすればやや不可思議な場面や展開は、(どちらの映画にも奇妙なダンサー役で森山開次が出ていたという共通点もあってか)石井克人監督の『茶の味』を思い出させる。

あの映画ほどぶっ飛んではいないのだが、どちらも観る者に一意的な解釈を許さないという点は同じである。

特にちゃんとオチまで用意してあった七福神の寿老人のエピソードが秀逸で、ああ、読んだことはないけれど、これがきっと西加奈子のテーストなんだろうな、と思う。

終盤にさしかかってからの興味は、この映画をどうまとめてどう終わるかということだったが、なるほど、これが行定流の美学だ、と納得の行く終わり方だった。

タイトルの円卓は、祖父母(平幹二朗、いしだあゆみ)、父母(八嶋智人、羽野晶紀)、三つ子の姉(青山美郷、一人三役)とこっこの合計8人の大家族が夕餉を囲む中華料理店風の回転式丸テーブルに因んでいる。とても良いタイトルだと思う。

全編を通じて、芦田愛菜のややオーバーながら元気な演技はさすが小さな名優であった。

それに加えて、こっこのクラスメートで隣に住む吃音の少年ぽっさんを演じた伊藤秀優が、巧くはないのだがとても味があり、そのぽっさんとこっこに言葉少なく人生を教える平幹二朗が渋い名演である。

行定勲の前作『つやのよる』は興行的には惨敗だったと聞く。さすがにそこまで無残な成績にはならないだろうが、逆にそんなに大ヒットもしないだろう。

でも、手前味噌でも宣伝でもなく、正直とっても良い映画だと思った。6/21封切り。

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