デジタル・ニュースペーパー購読記
【4月14日特記】 紙の新聞をやめてネット上の新聞だけを購読するようになって2週間。
紙とデジタルの違いは如実に感じる。もちろん事前に予想していたことであるが。
まず、紙は一覧性が高い。デジタルはその点では劣る。一覧性がないために記事の読み落としが出てくる。「日曜版には読書欄がある」というような事実をしっかり記憶していないと、見過ごしてしまうのである。
もちろんデジタルのほうも見出しだけをコンパクトに効率よく並べたり、メニュー画面を充実させるなどして、一覧性を高めるために工夫をしてある。
しかし、紙面全体をパッと見て、読むべき(あるいは、読みたい)記事なのかどうかを瞬時に判別する人間の能力は大したもので、長年その人間の能力に仕えてきたからという慣れの問題もあるが、紙の一覧性は確かに優れている。
記事の面積や、見出しの活字の大きさで、新聞社側が重要度をどう判断しているのかを読み取ることができる。
デジタルにすると同じポイントの活字を並べるのことになる。それが一番合理的だから。しかし、そのことが編集者の思い入れを消してしまうのである。
そして、上記に通じる話なのだが、デジタルのほうは、暫く読み始めてから初めて「なんだ、そんなに長い記事だったのか」と気づく。
スクロールしてもスクロールしても新たなテキストが出てきて、嫌になってきたりすることがあるのである。こういうところも紙の勝ちと言える。
しかし、別に紙のほうが優れていると騒ぐほどのことでもない。嫌になったら読むのをやめれば良いだけのことなのである。
基本的に新聞記事というのは、どこで読むのを終えても良いような構成にしてあるものなのだから(と高校時代の漢文の時間に習った)。
一方、操作性の点では一般にデジタルのほうが優れていると思えることが多い。例えば検索可能性──これは紙には到底できない芸当である。
他方で、例えばいっぺんに4つ前の面に戻ろうとするなら、これは紙の新聞のほうが早いかもしれない。
まあ、いろんな違いがある。だけど、それは大したことではない。紙の良さを保つために紙面をそのまま表示するオプションだって用意されているわけだし、なんであれ、僕はすぐに慣れるだろうと思う。
僕はすぐにデジタル版の新しい読み方を、デジタル版ならではの読み方を身につけて、読むことのメリットを享受するだろう。
生活ってそういうものだと思うのである。
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