おまじない食品
【3月10日特記】 我が家にはおやつみたいなお酒のおつまみみたいな食品がいろいろ置いてある。乾燥したフルーツとかナッツ類とか豆類とか、そんなものだ。
妻が大病を患った際、食べ物が食べられなかった時にこれだけは喉を通ったものとか、退院後に再発防止に役立つと聞いて時々食べるようになったものとか、そんなものだ。
今でもあまり晩ご飯が食べられなかった時でも、不思議に食後にポリポリ食べていたりする。
だから僕は、そういう食品を切らさないように、せっせせっせと買ってくる。
この歳まで働いていると、会社の「同じ釜の飯を食った」感のある先輩や同僚や年齢の近い部下などが結構倒れている。例えば癌とか、悪性リンパ腫とか、白血病とか、そんな病気である。
何人かは命を落としてしまった。そして、何人かは死の淵から戻ってきた。僕のいる職場にも、まさに「生還した」男がいる。
去年だったか、僕が妻のためにそういう食品を買っているところを、そんな彼に見咎められたことがあった。
「それは何ですか?」と彼が言うので、僕はちょっと馬鹿にされるかなと思いながら、実はこれこれで、という説明をした。
すると彼は、
「ああ、そういうおまじない食品は大事ですよ。大事にして下さい」
と言ってくれた。僕はその言葉がとても嬉しかった。
そう、確かにそういうことが人を生かすことってあるような気がするのである。
おまじないは口に入れて食べることである。
Comments