通勤電車の盲点
【2月6日特記】 僕は朝乗る電車が一定していない。準備が整ったら家を出るというスタイルである。
Sleep Cycle という iPhone アプリを目覚まし時計代わりにして以来、起床時間が一定でなくなった(セットした時間の30分前からセットした時間までの間で、睡眠が浅くなったところでアラームが鳴る)ので、そもそもスタート時間に30分の差が出る。
その上でトイレに時間がかかったとか、うっかりテレビに見入ってしまったなどの理由で遅くなったりもするので、なおさら通勤電車は一定しないのである。
しかし、そうは言いながら実際に検証してみると、大体はある時間帯の4本ぐらいの電車のうちのどれかに乗っている。
で、そういうわけで時刻表なんか全く頭に入っていないのであるが、その電車が早い電車なのか遅めの電車なのかは周りの顔ぶれを見ると分かるのである。電車によってそれぞれしょっちゅう顔を合わせる人がいて、僕は密かにニックネームをつけている。
- 岩石担ぎ
小さいしょぼくれた初老の男なのだが、大きなデイバッグを背負っていて、電車の中で邪魔になって仕方がない。しかもそのバックパックが色褪せて汚らしくて、満員の時などに体が当たるとやたら硬いのである。何が入っているのだろう?
- 管弦楽の父
いつもイヤフォンでクラシック音楽を聞いているサラリーマン風のおじさん。漏れてくる音は間違いなくクラシックで、しかし、(多分通勤中に聞き終わるためだろう)交響曲ではなくて、もう少し短い曲である。小学校の運動会のBGMのようなけたたましいのもある。
- 永八輔
永六輔に似ているが、もう2世代ほど若い。
- 小倉三郎
同様に、俳優の小倉一郎に似ているが、もうちょいと若い。
- ヤニ男
この人は僕が駅まで歩いている道沿いのマンションに住んでいて、僕が通りがかった時によく煙草を咥えて煙を吐きながら出て来る。日によっては駅前の煙草屋の灰皿の前で一服吸ってから改札を通ったりもする。
自分が煙草をやめて初めて気づいたのだが、猛烈に煙草臭い。
- 四角四面部長
典型的なサラリーマンの部長のイメージ。髪の毛を七三に分けて、四角い顔に四角いメガネ、車中で四角い新聞(当たり前かw)を読んでいる。
- 謡いもの
この人は多分心の病気だ。電車の中で謡うように何だかぶつぶつ言い続けている。
- ミズ・キャサリン
コーカサス系(つまりは白人)の中年女性である。どこの国の人かは知らないが、なんとなく印象がアメリカ人の学校の先生という感じ。キャサリンというのは単なる僕のイメージ。
- ドイツの木こり
この人も白人、で、男性。頬髭と顎鬚が繋がっていて、でかくて逞しい。多分英語圏の人なのだが、イメージがなんとなくドイツの木こり。
以上が概ね電車が早い順で、僕は「あ、ヤニ男がいるから、今日は一番良く乗る電車か」とか、「管弦楽の父と永八輔がいるということはちょっと早いのか」とか、「ありゃ、ドイツの木こりがいる。今日はめっちゃ遅いぞ」などと思うのである。
で、先日驚いたのは、管弦楽の父、永八輔、ヤニ男、四角四面部長、謡いもの、ミズ・キャサリンが同じ1台の電車に乗っていたのである(当然そこに僕も乗っていたのであるが)。
つまり、僕は彼らを時計代わりにしていたというのに、彼らも必ずしも毎日毎日同じ電車に乗っているわけではなかったのだ!
これは盲点だった(笑)
Comments
通勤電車の登場人物の描写だけでも、
なにかドラマが始まりそうです。
管弦楽の父、永八輔、ヤニ男、
四角四面部長、謡いもの、
ミズ・キャサリンも
さぞや当日は驚いたことでしょう。
いつも自分だけをジロジロ観察している人が
きょう自分以外に5人もいたことを知って...。
Posted by: バーモント蜜山 | Thursday, February 06, 2014 19:43