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Saturday, December 07, 2013

映画『SPEC ~結~ 爻ノ篇』

【12月7日特記】 映画『SPEC ~結~ 爻ノ篇』を観てきた。変な言い方だが、これはもう僕がこんなところに映画評なんか書いている場合の作品ではないのだ。

まさかテレビ・シリーズの初回(甲)から映画『SPEC ~結~ 漸ノ篇』まで観て、そこでやめる人はいないだろう。愛してきたシリーズが完結するのである。お祭りである。

マニアというのはファンの究極的な形であると思うのだが、このシリーズほどマニアの客を大事にした作品はないのではないか。前にも書いたかもしれないけれど、定年になったら『ケイゾク』から全部を見直してみたいと思う。

さて、今回フィナーレとなる作品の特徴は、何と言っても「くどい!」こと(笑)。

この作品にあまり思い入れのない、あるいはここまでの作品に充分馴染んでいない観客からは、「内容に乏しいシーンを引き延ばしている」とか「前後篇にするために薄めている」などという批判が必ずや寄せられるだろうが、それは違う。

このくどさはそんな消極的な結果ではない。演出者の意図として、積極的にくどいのである(笑) SPECファンならこの感じ、解ってくれると思う。

それ以外の人間がどう入り乱れてどう絡んでいるのかはまだ分からないが、敵はどうやらセカイ(向井理)と潤(大島優子)であることは前作で分かった。

その2人がとにかく死なない。何しろ生死を超えた存在だから死ぬわけがない。そんな死なない奴をどうやって殺すかが今回の見せ場である。

周り360度が(後から CG を嵌めるための)ブルーベースというセットでの死闘は、観てると確かに途中飽きるけど、二転三転する展開は結構面白い(笑)

僕の知人で、「結局何の SPEC も持っていない瀬文(加瀬亮)が一番強いのではないか」とシリーズ途中で見切った人がいるが、まさにその通りである。この発言はこのシリーズをひと言で言い表している。

刑事魂があるから、何があっても彼は死なない。死なないどころか、肉が裂け血が溢れ骨が見えていても、街を駆け抜け壁をよじ登って当麻(戸田恵梨香)を助けに来る。

今回はこの2人の胸中を表すのにたっぷり時間を取った。まあ、歌舞伎役者が大見得を切るようなものだ。

設定やら展開やらは、はっきり言って僕の頭ではもう何がどうなっているのか、こんがらがってついて行けず、さっぱり解らない。それで良いのである。だから、もう一度観たくなる。もう一度観たら必ず発見があるという確信がある。

そして、もう一度観たら必ず前回は気がつかなかった様々な遊びに気づくだろうという確信もある。こういうシリアスなのかふざけ半分なのか分からない、というか、2つがころころ切り替わっていくところがキモなのである。

そして、当麻の SPEC からして、死んでしまった SPEC ホルダーを次々と甦らせるのではないかという想像は誰にでもつくだろう。そういう期待は裏切らない。もう一度会いたかった冷泉さんもサトリもマダム陽も、もちろん一十一も、みんな出て来る。

それをセカイの台詞で「まるで平成仮面ライダー大集合だな」と自ら茶化すセンスも大好きだ。

そして、エンディングで佐野元春のあの曲が流れる。ピアノのイントロ1小節目で、「なんと、この曲を持ってきたか!」と驚き、意外に映画の内容とマッチしていることにもう一度驚く。

テレビ・シリーズで当麻の父親を佐野元春が演じた時に、「なんでこの人なんだろう?」と不思議だったのだが、これを聴いて制作チームの誰かの佐野元春に対するリスペクトがはっきりと感じられ、そのキャスティングにも改めて納得した。

音楽とも相俟って、このラストはとても美しい、良いシーンである。

パンフレットで宇野常寛が見事な解題を書いている。こういうのを書かせてしまうところが、この映画、というか、このシリーズの力量なんだなあと感心してしまう。

ファンとしては大満足である。今年のベストテンなんかには投票しないけど(笑)

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