覚める
【10月9日更新】 これから書くことは僕以外の人にはほとんど当てはまらないと思う。ただ、自分と同年代、もしくはそれより上の人が日本に何千万人かいるとしたら、そのうちの100人やそこらは「私もおんなじ」と思ってくれるかもしれない。
それは年を取るとだんだん睡眠時間が短くなるという話だ。僕も確かにここ数年で睡眠時間が短くなった。
しかし、それは若い頃に上の世代の人たちから何度も何度も聞かされた、「5時や6時に目が覚めてしまい、もうそれ以上は寝ていられない」というようなことでは全然ない。
僕は5時や6時に目が覚めてしまうなんてことはめったにない(僕と同年代でも、そんなことを言い始めている人が周りにチラホラいるのが不思議である)。
ま、逆に、たまたま朝早く(ったって、空が明るくなってからであるが)目が覚めてしまったら、もうそれ以上無理して寝ようとはせず、すっと起きてしまうという側面はあるが、それは毎日早くに目が覚めてしまって眠れないというのとは根本的に違っている。
僕の場合は夜床に就くのが遅くなったのである。
世の中には睡眠時間が短くても割合平気な人と、充分眠らないとやって行けない人の2つのタイプがあるが、僕は若い頃からずっと後者のタイプだった。
で、自分がよく寝ていないとダメな人だと思っているから、よく眠れないまま朝を迎えてしまうと恐慌を来したものだ。恐慌とは大げさな、と思うかもしれないが、文字通りの恐慌である。心の中で不安の嵐が吹きまくるのである。
寝てないとダメだという意識があるから、その夜のうちにやっておきたいことが途中までしかできていなくても、ともかく眠るために打ち切った。
誇張でも何でもなく、生活の時間設計はまず睡眠を中心に組み立てていた。意識して睡眠を優先していた。
さすがに学生時代には徹夜で遊ぶこともたまにはあったが、そんな後はともかく不安で、午後までずっと寝ていた。
翌日何か大事なことがあったり、嫌なことをやらなければならないような場合は努めて早く寝ようとした。しかし、そんなことを意識すると却々眠れるものではないのである。悪循環である。
そもそも僕はむちゃくちゃに寝つきが悪かった。寝ようと意識するから余計寝つけなかった。時計の針の音は時間の経過を意識させるので、極力音のしない時計を選んだ。
仕事がものすごく辛かったということもあったが、早く寝ようとして眠れずに、朝から不安で、仕事をしてもっと不安になり、神経が昂って眠れなくなった。
しかし、正確な時期は憶えていないが、30歳前後にあること(長くなるのでここには書かないが)をきっかけにして寝つきの悪さを僕は克服した。
そして、仕事をしていると、たまにものすごく短い睡眠時間で頑張らなければならない側面に遭遇するわけで、そういうことを何度かやっているうちに「僕は意外に大丈夫だ」と気がついたということもある。
睡眠時間が短くても死にはしない、と思えるようになってきた。
若いころは「睡眠時間が短くても死にはしない」というような発想や表現にまず強く反発していた。「人間って死ななければそれで良いというような存在なのか!?」と噛みついていた。
年を取って考えが浅くなり(笑)、ま、とりあえず死なないという事実は受け入れられるようになった。
それで、夜遅くまで起きているのが割合平気になった。それで睡眠時間が短くなってきた。
明日眠たくて会社のデスクで眠りこけて笑われてもまあいいか、と思えるようになってきた。昔はともかく嗤われたくなかった。
そういう訳で睡眠時間が短くなってきた。なるほど、そういう訳で人は年とともに睡眠時間が短くなるのか、と思ったのだが、いや、多分他の人は違うんだろうな、と思い直した。
どちらにしても、早朝に目が覚めたりはしない。それは今後やってくるのだろうか?
« 繋がる | Main | ある種のリテラシー »
Comments